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第八話 幻獣ペンギン

ロボオタのおっさんが、ゲームによく似た異世界で好き勝手やる話です。

機兵、遺跡、秘密基地。好きなものを全部詰め込みました。

「まだ来ないのか?」


アレス六世が腕を組む。


「街へ到着したとの報告から随分経つぞ」


「ですな」


バルドも首を傾げる。


「何かあったのでしょうか」


レオンは苦笑した。


「いや・・多分な・・」


「寄り道してる」


「……」


「……」


「……」


「そんな馬鹿な」


国王が呆れる。


「国王様達が来られているなど奴はしりませんので。」


レオンは断言した。


「うむ・・」


その時。


「閣下!」


伝令が飛び込んできた。


「例の一行を発見!」


「おお!」


「どこだ!」


「コロシアムです!」


「……」


「……」


「……」


レオンがため息をつく。


「やっぱりか」



 コロシアム。


試合開始前の熱気に包まれひと際おおきな歓声が上がる。


「海辺の女神シーナ!」


「最新鋭!」


「フォレストシリーズ!」


「決闘だ!」


「パワード改!」


「農作業用ってあれ、パワード??」


「ペンギンって、飛ばない幻獣か?」


「言われてみればそっくりだな。」


「ははは!」


「いや、原型がないって。」


歓声が飛び交う。



 試合間際、観客席についた一行があった。


レン達到着の報を受け待ちきれなくなった


国王御一行である。


「陛下!」


バルドが指差した。


「彼こそ!」


「噂の妖精王と目される男!」


「ほう!」


「どれだ!」


「……」


「……」


「……」


そこにいた。


いたのだ。


黒く。


丸く。

 

何とも言えない。


ずんぐりした機体。


「……」


アレス六世。


沈黙。


「……」


エレノア。


沈黙。


「バルド」


「はい」


「余は少々混乱している」


「奇遇です」


「私もです」


 

 コロシアムで対峙する2基を見て全員が少し冷静に


なった頃バルドは口を開く。


 「レンのやつの機体・・」


 「ありゃ、完全防御型か?ペンギンにそっくりだ。」


 「面食らったが」


 「まぁ、あいつの戦法を知っている俺たちには納得の機体だがな。」


 「しかし、シーナといったかあの機体。」


 「華奢だが、あいつにそっくりだ。」


 「ん?」


レオンが聞き返す。


 「魔核機マルシーナ」


 「ああ、雰囲気と言い似てるな。」


 「南部都市が聖都になったせいでここに出てきたか?」


 「しかし、機兵でしかも武装も違う。」


バルドは考えこむ。


 「だったら、あれがレジスタンスのリーダー「ガイル」か?」


 「いや、逢ったことはないがあんな似非貴族の様な風体ではなかったぞ。」


 「だよなぁ、あんなのに何度もぼこぼこにされてたとか思いたくもないな。」


二人の会話がよく分からずに横に立つエレノア。


 「あ、動きましたよ。」


レンの機体がゆっくりと動く。


のろい



一方レンの方は


「その骨董品では勝負にもならん!」


貴族崩れが胸を張る。


「この海辺の女神シーナ!」


「最新鋭の力を見せてやろう!」


レンは苦笑した。


ペンギンを見上げる。


「確かにな」


「普通の奴が乗ればな」


『そもそも盾しか持っていません。』


 ペンギンは両腕にバックラーの様な小型の縦を装備して


見るからに素手。


相手もおそらく自分の機兵を自慢する


サンドバッグ位としか思っていないようだ。


ノアが腕を組む。


『欠陥機です』


『ダサいです。今からでもネストへの交代を推奨します。』


「ひどいな」


レンはコックピットに乗り込んだ。


「確かに」


「こいつは普通の奴が使っても」


「普通には動かない」


「でもな」


操縦桿を握る。


レンは笑った。


「相棒はこう操る!!」


「結界展開!!」


ゴウン!!


ブラックパワード改。


起動。



「行けぇ!」


試合開始。


「先手必勝!」


シーナが突撃しようと構える。


しかし。


ドゴォォォン!!


「!?」


「なっ!?」


ペンギンが地面を砕きながら突進した。


砲弾。


いや。


隕石。


黒い鉄塊が一直線に飛ぶ


「馬鹿な!」


シーナのパイロットが悲鳴を上げる。


紙一重。


ギリギリで回避。


ゴガァァァン!!


ペンギンはそのまま闘技場の壁に激突。


石壁が吹き飛ぶ。


「……」


「……」


観客席。


沈黙。


「自爆した?」


「いや!」


「違う!」


「速すぎる!」


「なんだ今の動き!」


シーナのパイロットの額に汗が浮かぶ。


(なんだあれ!?)


(旧式だぞ!?)


(重機体だぞ!?)


(なんであんな速度が出る!?)


ノア


『なるほど推力に劣化魔核石(光る石)を利用した突進ですね。』


すると。


通信越しに。


「ははは!」


レンの笑い声。


「まだまだ」


「ショータイムは始まったばかりだぜ」


「!?」



ゴォォォ!!


「飛んだ!?」


歓声が止まる。


ペンギンが空中にいた。


結界を纏い。


背中。


腰。


脚。


全身から光る石が爆ぜる。


ドン!


ドン!


ドン!


爆発推進。


まるで空を泳ぐように。


「馬鹿な!」


「機兵が飛んでる!」


「あり得ない!」


「何だあれ!」


アレス六世。


「……」


エレノア。


「……」


リア


「……」


全員。


口を開けていた。



カラン。


カラン。


カラン。


「?」


小石。


十数個。


「石?」


「何を……」


レンが笑う。


「プレゼントだ」


「え?」


次の瞬間。


ドドドドドドドドドン!!


「うわぁぁぁ!!」


爆炎。


爆煙。


衝撃。


シーナが慌てて逃げる。


「どこから!?」


「なんなんだよ!」


「なんなんだよお前ぇぇぇ!!」


『マスター騎士道精神もない戦い方です。』


「ひどくない?」


逃げる。


また石。


爆発。


逃げる。


また爆発。


上。


横。


後ろ。


全部。


「ひぃぃぃ!!」


完全に逃げ回るシーナ。



「いやいやいやさすがにやり過ぎでーす。」


栗色の髪。


銀の髪飾り。


リアが笑顔で手を振っていた。


「レンさーん!」


『……』


確かに。


レンは笑っていた。


「いいぞ!」


「シーナ!」


「避けろ避けろ!」


「そうそう!」


「その動きだ!」


「くそぉぉぉ!!」



爆煙の中。


ゴォォォ!!


「こんばんは!」


「ひっ!?」


ペンギンが飛び出す。


「ぎゃあああ!!」


ゴン!!


頭突き。


シーナが吹き飛ぶ。


「ははは!」


「いいぞ!」


「楽しくなってきた!」


追いかける。


逃げる。


完全に逆だった。


「なんで最新鋭が逃げてる!」


「追ってる方がおかしい!」


「怖い!」


「なんなんだあれ!」



「……」


アレス六世。


絶句。


「レオン」


「なんだ」


「余は夢を見ているのか」


「違う」


「現実だ」


「そうか……」



隣で。


バルドの肩が震えていた。


「おい」


レオンが小声で言う。


「笑うな」


「無理だ」


「耐えろ」


「無理だ」


「なんだよあれ」


「知らん」


「妖精王じゃねぇだろ」


「やめろ」


「皇帝ペンギンだろ」


「ぶはっ!」


レオンが吹き出した。


「ぶははは!」


二人とも涙目だった。



そのころ南部都市


「聖都」


マルシーナ商会


シーナ代表


「……くしゅん!!」



ついに。


ボロボロになったシーナ。


剣も。


盾も。


既に限界。


「ま、参った!」


「降参だ!」


「お願いだから降りてきてくれ!」


「怖いんだよ!」


「お?」


レンは苦笑した。


「降参か」


ゴトリ。


ペンギンが着地する。


「やりすぎるなよ」


ぽんぽん。


機体を叩く。


「よく頑張った」


そして。


ボロボロの海辺の女神を見て。


「シーナ」


「トト」


「すまんな」


「勝っちまった」


「また今度、謝っとく」


ぷしゅー。


蒸気を吹きながら。


皇帝ペンギンは。


のそのそと退場していく。



その背中を見送りながら。


エレノアは呆然と呟いた。


「……可愛いかも」


「ん?」


アレスが振り向く。


「い、いえ!」


「機体です!」


「そうか。」


アレス六世は真顔だった。


「バルド」


「はい」


「余は決めた」


「なんでしょう」


「ぜひ欲しい」


「男ではない」


「は?」


「あの、幻獣のような姿の機体がだ。」


「陛下」


「冗談だ」


「……半分な」


そして、ペンギンはいずれ王家に献上される事となるがまだ先の話だ。

ちょっとふざけたバトル回でした。


読んでいただきありがとうございます。

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