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第七話 海辺の女神

ロボオタのおっさんが、ゲームによく似た異世界で好き勝手やる話です。

機兵、遺跡、秘密基地。

好きなものを全部詰め込みました。

「おお……」


馬車の窓から外を眺めていたリアが感嘆の声を漏らした。


「すごいです」


「そうか?」


「機兵だらけです」


「ああ」


レンも外を見る。


冒険者。


傭兵。


騎士。


そして。


街の至る所に機兵が立っていた。


まるで機兵の展示会である。


「壮観だなぁ」


レンが呟く。


ロボおたくのレンにとっては


それこそ夢の様な世界が広がっている。


砦の中は、大きな街と化し賑わいをみせる。


それだけ遺跡都市の噂が広がっているということだろう。


『騒がしいです』


ノアが少し不満そうに言う。


「祭りみたいなもんだからな」


『私は静かな森の方が好きです』


「わたしも」


『私です』


リアが小さく笑う。


「そうだったな」


馬車はそのままバルドの居城へ向かう


はずだった。


「お?」


「あそこだけ何か人がいっぱい……」



 大通りの中央。


歓声が上がっている。


「おおー!」


「美しい!」


「流石最新鋭!フォレストシリーズ!」


「海辺の女神だ!」


『うるさいです』


「ちょっと見てくるか」


「えー」


今度はリアがめんどくさそうだ



 人混みの中央。


そこには一機の機兵。


青と白を基調とした流麗な機体。


女性を思わせる優美なシルエット。


そして。


「諸君!」


いかにも貴族らしい男が胸を張った。


成金趣味で歴戦の兵にはみえない。


「これこそ!」


「今、王都で最も新鋭の機兵!」


「その名も!」


「シーナ!」


「海辺の女神である!」


歓声。


「おおー!」


「流石!」


「噂のフォレストシリーズ!」


「幻の名工実在したのか!!」


「まさに天才的だ!」


「次代の魔工技術!」


「美しい!」


レン。


「……」


リア。


「……」


二人揃って頭を抱えた。


「レンさん」


「うん」


「シーナちゃんですね」


「シーナだな」


「本人が見たら、悶絶するな。」


「絶対怒る」


『兄弟に対する尊敬は感じます。』


ノアが呆れた。


『このような思考の人物はただ一人です。』


「本人に知られたら泣くぞ」


「泣きますね」


「うん」


貴族はさらに熱弁する。


「謎の名工トト!」


「その正体は誰も知らない!」


「王都の貴族ですら接触できぬ!」


「まさに幻の天才!」


レン


リア


「トト・・・・・」



 その時だった。


貴族の視線が止まる。


馬車の後ろ。


そこにいた。


黒く。


丸い。


何とも言えない機体。


「……」


「…………」


沈黙。


そして。


「ぶっ!」


吹き出した。


「な、何だそれは!」


周囲も見る。


「丸い……」


「古い?」


「機兵か?」


「いや鉄塊?」


「何だあれ」


レン。


「俺の愛機に用か?」


「ほう!」


貴族は爆笑した。


「はははは!」


「素晴らしい!」


「農作業用か!」


「いや失礼!」


「骨董品か!」


「珍品か!」


「博物館にでも飾るつもりか!」


周囲からも苦笑が漏れる。


『失礼な人です』


「そうか?」


『そうです』


「でも丸いぞ?」


『丸いですが』


「古いぞ?」


『それは認めます』


「だろ?」


『ですが私の方が不愉快です。』


「そうか」


『私です』


「そうだったな」


リアがクスクス笑う。


「あれだけ、嫌がってたのに」


『違います』


「そうか?」


『私以外は馬鹿にしてはいけません。』


「そうか」


「まあ」


レンはペンギンを見上げた。


「まぁ、慣れてる」


『悲しいです』



「貴様!」


貴族が指を突きつける。


「機兵乗りだな!」


「そうだな」


「ならば!」


「この海辺の女神シーナの力!」


「思い知らせてやる!」


「コロシアムで勝負だ!」


歓声。


「おおー!」


「決闘!」


「面白い!」


「やれ!」


『面倒です』


「そうだな」


「断ります?」


リアが尋ねる。


「いや」


レンは少し考えた。


「久しぶりだしな」


「え?」


「運動するか」


『反対です』


「そうか」


『機能的には勝率二十五パーセント恥を晒します』


「負けると思う?」


『…起動及び戦闘データがありません。』


ノアが黙る。


そして。


『しかし悔しいです。』


「だろ?」


『提案。ネストで迎撃勝率一〇〇パーセント』


「ひどい」


『私の方が』


「可愛い」


『はい!』


「でも駄目だから。」



その頃。


バルド辺境伯居城。


「閣下」


「おうどうした」


「レン殿らしき一行が街に到着した模様です」


「おお!」


バルドが立ち上がる。


「ようやく来やがったか!」


「現在、居城へ向かっているものと思われます」


「そうか!」


レオンも少し表情を緩める。


「もうすぐ到着か。」


「この砦を見て奴もプレーヤーなら」


「今頃熱くなってることだろうな。」


「ははは!」


バルドが豪快に笑う。


「色々寄り道して、遅くなる気もするが・・」


「だろうな。予想できる・・」


レオンも即答だった。


二人とも。


レンという男をよく知っていた。



「……来た」


エレノアが小さく呟く。


「エレノア?」


「い、いえ!」


「何でもありません!」


結婚させられるかもしれない


相手の到着の知らせに


少し落ち着かない。


レオンだけが苦笑した。


(まあ、気持ちは分かる)



 そして。


レンも知らない。


国王をはじめ


国の重鎮たちが会合で


この砦に待っている


レンに対する好奇心。


どんな人物なのかと


期待するアレス六世。 


不安と緊張の第二王女エレノア。


バルドの様子を伺うエレノアに気が付き


見守るレオン騎士団長


当の妖精王と目される男は砦について早々に


トラブルに巻き込まれそうになっていた。


次回、ペンギンVSシーナ です。

ノアは終始不満です。

読んでいただきありがとうございます。

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