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第六話 辺境の主

ロボオタのおっさんが、ゲームによく似た異世界で好き勝手やる話です。

機兵、遺跡、秘密基地。

好きなものを全部詰め込みました。

東方辺境。


バルド辺境伯領。


元々、この土地は豊かな土地ではない。


荒野。


岩山。


砂漠。


冬は寒く。


夏は暑い。


農業にも向かない。


商業路も遠い。


領主として見れば。


「大外れ」


そんな土地は誰も欲しがらなかった


一人を除いて。



「ここまで栄える領になるとはな」


アレス六世は感心したように辺りを見渡した。


王都からのお忍び。


同行するのは。


騎士団長レオン。


そして。


第二王女エレノア。


三人とも旅装束である。


馬車の窓から眼前に広がる光景は。


まるで小さな王都だった。


市場。


鍛冶屋。


宿屋。


酒場。


冒険者。


そして。


数えきれないほどの機兵。


「陛下」


レオンが苦笑した。


「私としても、予想以上ですね」


「うむ」


アレス六世は上機嫌だった。


「バルドめ」


「面白いものを作りおった」



「陛下!」


「おお!」


「バルド!」


豪快な声。


バルド辺境伯が駆け寄ってくる。


「遠路ご苦労様です!」


「相変わらず元気そうだな」


「これくらいしか取り柄がありませんので!」


豪快に笑う。


その姿を見て。


「……」


エレノアが固まった。


「?」


アレス六世は気付かない。


「?」


バルドも気付かない。


しかし。


レオンだけは気付いた。


(そういうことか)


ほんの少し耳が赤い。


目が泳ぎおち着きがない。


「エレノア?」


「は、はい!」


「大丈夫か?」


「だ、大丈夫です!」


「……バルド様ごきげんよう」


「お久しぶりですなぁ、エレノア様」


「益々お美しくなられておる。」


エレノアはその言葉に再度俯く。


レオンは何も言わない。


(こいつ、天然か?)



執務室。


机の上には地図。


遺跡都市周辺。


そして。


無数の赤印。


「現在の探索状況です」


バルドが指差す。


「遺跡都市への入り口はまだ未発見」


「しかし」


「地下反応は間違いなく存在します」


執政官達が頷く。


「そして」


「獣人どもの出現頻度が増えております」


「ほう」


「小規模なものですが」


「ここ一月で十件弱。」


「全て討伐済み」


「しかし数が増えている」


法王からも同様の報告。


王都の学者達も異変を指摘していた。


アレス六世は腕を組む。


「いよいよか」


「恐らく」


部屋の空気が重くなる。


しかし。


「まあ」


バルドは笑った。


「祭りですな!」


「お前は変わらんな」


「酒と戦は景気が良くなります!」


「不謹慎だぞ」


「すみません!」


全く反省していない。



「陛下」


バルドは珍しく真面目な顔になった。


「一つ、お聞きしてもよろしいですか」


「なんだ」


「危険を承知でこの地までお越しになったのは」


「やはり妖精王と目される例の人物を」


「重要視しているからですか?」


静かになる執務室。


アレス六世は少し考え。


そして笑った。


「もちろんだ」


「国を豊かにし」


「妖精姫を従え」


「奇跡を起こした人物だ」


「そのような者が存在するなら」


「王家としても迎えたい」


「出来れば味方になってほしい」


「出来れば家族にな」


エレノアが紅茶を吹きそうになる。


「お、お父様!」


「何だ」


「王家として当然であろう」


家臣達が苦笑した。


「しかしな」


そこで。


アレス六世の顔が変わる。


「それだけではない」


「……」


「国難だ」


「数百年ぶりの戦だ」


「そんな時に王が王都に引きこもっていてどうする」


「我が王族の沽券に関わる」


「余はアストラ王だ」


「民のために前へ立つ」


「それだけだ」


部屋が静まり返る。


そして。


バルドは深く頭を下げた。


「……恐れ入りました」


「いや」


「バルド」


「お前も同じであろう?」


「はっ」


「この地を守るため」


「死ぬ覚悟は出来ております」


「うむ」


「ならば良い」


レオン。


頭を抱える。


「……血気盛んだな」


エレノア。


苦笑。


「お父様ですから」



夜。


城壁の上。


「レオン」


「なんだ」


「本当に危なくなったら」


「王族だけは帰せ」


「当然だ」


「ここまでよくなった歴史だ」


「守らねぇとな」


レオンは静かに頷く。


「国は亡ぼせない」


「そのためなら」


「俺達が死ぬ方が安い」


「だな」


しばし沈黙。


「まあ」


バルドは笑った。


「戦が始まれば」


「俺は好き勝手やるだけだが」


「お前らしい」


「だろ?」


二人は笑った。



翌日。


城壁の上。


アレス六世は感心していた。


「見事だ」


眼下。


機兵。


機兵。


機兵。


国中から集まる冒険者。


傭兵。


騎士。


コロシアムの猛者。


「壮観ですな」


家臣達も頷く。


「これだけ集まれば」


「新人連合とやらも恐るるに足らず!」


「うむ!」


国王も豪快に笑う。


「我が国も捨てたものではない!」


「この武威!」


「そう簡単には負けん!」


少々。


気が大きくなっていた。


誰もがそうだった。


数百年ぶりの大戦。


しかし。


これだけの戦力があれば。


負けるはずがない。


そう。


思っていた。



読んでいただきありがとうございます。

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