表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
65/78

第五話 辺境の祭り

ロボオタのおっさんが、ゲームによく似た異世界で好き勝手やる話です。

機兵、遺跡、秘密基地。好きなものを全部詰め込みました。

ガタゴト。


ガタゴト。


街道を一台の大きな馬車が進む。


普通の馬車ではない。


全長は大型荷馬車を超え。


幌の下には、機兵二機。


シルフィネ。


そして。


ブラックパワード改。


通称、ペンギン。


「……」


ノアは不満そうだった。


『レン様』


「ん?」


『何故ペンギンを積むのです』


「乗るから」


『シルフィネだけで十分です』


「まあな」


『私もおります』


「そうだな」


『ならば十分です』


「そうだな」


『何故です』


「まぁ趣味だな」


『理解できません』


ノアはペンギンの方を見る。


丸い。


黒い。


鈍重。


『ダサいです』


「ひどいなぁ」


『古いです』


「味があるだろ?」


『野暮ったいです』


「硬派といってくれ」


『私の方が格好いいです』


「そうだな」


『私の方が可愛いです』


「そうだな」


『では何故』


「趣味だな。」


『理解できません』


結局そこへ戻る。


リアはクスクス笑った。


「ノアさん、まだ怒ってるんですね」


『怒っていません』


「嫉妬か?」


『違います』


「拗ねてます?」


『違います』


「可愛いです」


『そうでしょう』


「ペンギンさんも」


『違います!』



ガタゴト。


馬車は進む。


レンは窓から外を眺めていた。


「しかし」


「不思議だよなぁ」


「?」


リアが首を傾げる。


レンは床を軽く叩く。


「この馬車」


「普通の馬車より大きいのに」


「普通の馬で引けるんだ」


それどころではない。


機兵二機。


荷物。


食料。


人間三人。


本来なら数十頭必要な重量。


それを二頭で引いている。


「人工魔晶石の力ですね」


『重量軽減』


『動力補助』


『衝撃緩和』


ノアが説明する。


「便利ですよね」


「便利なんだけどなぁ」


レンは腕を組む。


「これだけできるなら」


「浮き島くらい作れそうなんだけどな」


『また始まりました』


「浮遊島構想」


『諦めてください』


「嫌だ」


『家を飛ばしたいのですか』


「飛ばしたい」


『畑も』


「欲しい」


『温泉も』


「欲しい」


『欲張りです』


「男のロマンだ」


『理解できません』


「そうか」



「レンさん」


「ん?」


「獣の国ってどんな所なんですか?」


リアが尋ねた。


「東だ」


「東?」


「この大陸のずっと向こう」


「そこに獣人達が住んでる」


リアは少し不安そうだった。


「敵なんですか?」


「んー」


レンは考えた。


「どうだろうな」


「?」


「少なくとも」


「こっちから見れば敵だ」


「向こうから見ても敵だろうな」


「……」


「最近見つかった遺跡都市」


「あの土地を巡って争いになる」


「争い……」


「放っておけば」


レンの目が少し真面目になる。


「森も巻き込まれる」


リアの表情が変わった。


「森が?」


「ああ」


「戦争だからな」


「町も壊れる」


「畑も」


「家も」


「下手すりゃ王都まで行く」


「……」


「だから」


レンは笑った。


「祭りなんだよ」


「?」


「面倒臭い祭りだ」


リアにはよく分からなかった。


だが。


レンが行く理由だけは分かる。


守るためだ。


森を。


子供達を。


皆を。


だから。


「私も頑張ります」


「ほどほどにな」


「はい」


『リア様』


「?」


『シルフィネは嫌ですか?』


リアが困った顔になる。


嫌いではないが今や「妖精姫」の代名詞。


有名機体として騒がれている。


「……恥ずかしいので」


レンが笑った。


『マスターにシルフィネを貸してください。』


「えええ??」


「お前どんだけペンギン嫌いなんだ!?」


『仕方ありません』


ノアは納得していない顔だった。



「そういえば」


リアが思い出す。


「バルドさんの領地ってどんな所なんです?」


「噂でしか聞いたことはないが面白いぞ」


レンが笑う。


「昔からあいつ、あの遺跡に気付いてたらしくてな」


「数年前から砦を作って」


「人を集めて」


「今じゃ結構な都市らしい」


「すごいです」


「すごいな。」


「あと」


レンが笑う。


「機兵コロシアムってのがあるみたいだ。」


「コロシアム?」


「機兵同士の試合だ」


「冒険者達が集まってる」


「強い人がいっぱい?」


「いっぱい」


「なんでですか?」


「バルドの趣味」


『違います』


ノアが訂正した。


『戦力集積です』


「同じだろ」


『違います』


「そうか?」


『猛者を集めることで有事に備える』


『合理的判断です』


「つまり趣味」


『違います』


「でもあいつ」


「盛り上がるだろ!」


「祭りだ!」


「酒だ!」


とか言ってたぞ」


『……』


ノアが黙った。


『八割趣味ですね』


「だろ?」



夕暮れ。


街道の向こう。


巨大な城壁が見えてくる。


その先。


バルド辺境伯領。


そして。


遺跡都市。


「久しぶりだなぁ」


レンが呟いた。


『祭りですか?』


「祭りだ」


『面倒ですね』


「面倒だな」


『帰りたいです』


「俺も」


『私です』


「そうだったな」


リアはクスクス笑う。


夕日に照らされながら。


大きな馬車は。


ゆっくりと。


辺境の祭りへ向かって進んでいった。



その頃。


東の空の彼方。


誰も知らぬ古代都市で。


静かに。


最初の扉が開かれていた。


読んでいただきありがとうございます。

面白かったら評価、ブックマークで応援していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ