第三話 冒険者リア
ロボオタのおっさんが、ゲームによく似た異世界で好き勝手やる話です。
機兵、遺跡、秘密基地。
好きなものを全部詰め込みました。
孤児院建設が始まってから数日。
森の家の朝はいつも通りだった。
レンは畑にいた。
ルウは薬草畑の世話をしている。
トトは工房で昨日の続きをしている。
レオは朝から木剣を振っていた。
そんな中。
「レンさん」
リアが声を掛ける。
嫌な予感がした。
レンは振り返る。
「なんだ」
「ギルドで依頼受けてきます。」
やっぱり嫌な予感だった。
「何を選ぶつもりなんだ?」
「討伐依頼です」
レンは鍬を置いた。
少し考える。
「街の話題のやつか」
「はい」
先日、ギルドで話題になっていた南の森の魔獣騒動。
あれだろう。
「受けるのか?」
「受けたいです」
リアは真面目な顔だった。
孤児院建設にはまだまだ金が必要だ。
資材も足りない。
食料も欲しい。
少しでも役に立ちたい。
そんな気持ちが伝わってくる。
レンはため息を吐いた。
「止めないんですか?」
リアが少し驚いた顔をする。
「止めても行くだろ?」
「行きます」
「だろうな」
即答だった。
トトが工房から顔を出した。
「リア姉、また怒られてるんですか?」
「怒られてません」
「そうか?」
レンが突っ込む。
リアは聞こえないふりをした。
少しだけ笑いが起きる。
「ただし」
レンが言った。
全員が見る。
「必ず調べてから動け」
リアの表情が引き締まる。
「分からない相手に突っ込むな」
「はい」
「まず、敵わないと思たらすぐにげろ。」
「はい」
「無理をしないのが、生き残るコツだ。」
最後だけ少し声が低かった。
リアは一瞬だけ目を見開く。
そして。
「はい」
今度は真面目に返事をした。
レンは頷く。
「レオ」
「おう」
「ついて行け、二人なら無理もできないだろう。」
「任せろ」
レオが胸を叩く。
本人は護衛のつもりだ。
レンはリアにおもり役をさせるつもりだった。
認識に少し差がある。
だが言わない。
その方がやる気を出すからだ。
朝食後。
リアとレオは街へ向かった。
南辺境都市は寒波以前より活気を取り戻していた。
商人達の声。
荷馬車。
職人達。
孤児院建設の影響もあり、人の出入りが増えている。
冒険者ギルドも例外ではなかった。
「リアちゃん!」
受付嬢が手を振る。
「久しぶり」
「こんにちは」
リアも笑顔で返した。
冒険者登録は二年近く前。
大きな依頼は受けないが、採取や運搬などで顔は知られている。
「今日はどうしたの?」
「依頼を見に来ました」
受付嬢の表情が少し真面目になる。
「もしかして南の森?」
「はい」
「おすすめしないなぁ……」
珍しく歯切れが悪い。
リアも察する。
やはり簡単な話ではないらしい。
依頼書の前には多くの冒険者が集まっていた。
中級冒険者向け共同討伐。
報酬も高い。
その分危険だ。
「機兵持ちが何人かやられてるらしい」
「見つけても逃げられるそうだ」
「速いんだとよ」
周囲の冒険者達が話している。
リアは依頼書をじっと見つめた。
その時だった。
「お前も受けるのか?」
後ろから声がした。
振り返る。
見知らぬ男だった。
黒髪。
冒険者風の服装。
年齢はよく分からない。
少し変わった雰囲気がある。
「はい」
リアは答えた。
男は依頼書を見る。
「やめておけ」
即答だった。
レオが眉をひそめる。
「なんでだ?」
「敵うはずがないからだ」
男は肩を竦める。
「少なくとも子供が手を出す依頼じゃない」
レオの機嫌が悪くなる。
「子供だから負けるとは限らねぇ」
「そうだな」
男はあっさり頷いた。
「だが強い奴ほどそういう事を言わない」
レオが黙る。
妙に説得力があった。
男は笑う。
「まあ、好きにしろ」
そう言い残して立ち去っていく。
「なんだあいつ」
レオが呟いた。
リアも首を傾げる。
知らない人物だった。
だが。
どこか強者の匂いがした。
◇
時間は少しさかのぼる。
王都。
王国騎士団本部。
一人の男が報告書を眺めていた。
レオン。
王国騎士団長。
王国最強と呼ばれる男である。
机の上には二枚の報告書。
一枚は寒波事件。
一枚は南辺境都市の異常報告。
その中には最近話題になり始めた、少年、少女の名前も書かれていた。
そして。
特殊機兵出現の記録。
「偶然にしては続き過ぎだな」
レオンは呟く。
妖精王事件。
寒波。
謎の機体。
どれも知りうるゲームではなかった情報
妙に引っ掛かる。
報告書を閉じる。
「少し見に行くか」
誰にも聞こえない声だった。
◇
後に。
髪を黒く染め変装して南部都市に赴き
リアとレオと出会い
ギルドで二人に助言をすることとなる。
「やめておけ」
そしてレン達の運命を大きく変える出会いへ繋がっていくことになる。
読んでいただきありがとうございます。
面白かったら評価、ブックマークで応援していただけると嬉しいです。




