第一話 新しい居場所
ロボオタのおっさんが、ゲームによく似た異世界で好き勝手やる話です。
2章開始です。
妖精王の奇跡から二週間。
南辺境都市は少しずつ活気を取り戻していた。
寒波で失われたものは多い。
だが同時に。
救われた命も多かった。
街の外れ。
かつてスラムだった一角では、新しい建物が次々と建てられている。
木の香り。
人々の声。
金槌の音。
以前とはまるで違う光景だった。
◇
「その柱もう少し右です!」
シーナの声が飛ぶ。
大人達が慌てて柱を動かした。
「ここ?」
「あと少し!」
「おお!」
ぴたりと収まる。
周囲から感心した声が上がった。
まだ十代半ばの少女。
それなのに誰より現場を把握している。
「シーナちゃんすごいな」
「計算通りです」
本人は平然としていた。
だが耳だけ少し赤い。
◇
その隣。
マルは巨大な丸太を運んでいた。
二人がかりでも重い木材を一人で担いでいる。
「マル君!」
「そっち置いてくれ!」
「わかった」
短く答える。
相変わらず無口だ。
だが頼りになる。
気付けば現場の大人達も彼を信頼していた。
力仕事。
運搬。
建築。
何でも出来る。
そして文句を言わない。
理想的な働き手だった。
◇
一方。
カイルは避難民達と話していた。
「体調はどうですか?」
「大丈夫だよ」
「困った事はありませんか?」
自然な会話だった。
誰かに教わったわけではない。
元々そういう性格なのだ。
困っている人を見ると放っておけない。
だから人が集まる。
だから相談される。
本人は気付いていないが。
既に小さな責任者になっていた。
◇
その様子を見ていたアリシアは小さく微笑んだ。
神殿から派遣された支援隊。
その責任者として視察に来ている。
来る前と印象が全く違った。
もっと混乱していると思っていた。
もっと助けが必要だと思っていた。
実際には違う。
ここには既に中心がある。
カイル。
シーナ。
マル。
三人が支えていた。
「本当にすごいですね」
隣の神官が頷く。
「ええ」
アリシアも同意した。
「この子達はきっと……」
そこまで言って言葉を止める。
まだ早い。
だが神殿は既に決めていた。
支援する価値があると。
◇
その頃。
森の家。
「乗ります」
「駄目だ」
「乗ります」
「駄目だ」
リアとレンが睨み合っていた。
ノアは無言。
既に結果を予測している。
「玩具じゃないんだぞ?」
「知ってます」
「まだ、動かしてもない。」
「知ってます」
「危ないぞ」
「大丈夫です」
レンは頭を抱えた。
目の前には新型魔核機。
シルフィネ。
本来は自分用だった。
厳密にいうとネストは目立つので趣味を兼ねて作った
セカンド機だ。
高機動に特化した、偵察、移動用。
そんな機体である。
ところが。
見せた瞬間からリアが目を付けた。
「デザインがレンさんに似合いません!」
言われたい放題だ。
「絶対似合います」
「何がだ」
「私に」
意味が分からない。
◇
リアは機体を見上げる。
緑を基調とした装甲。
羽を思わせる意匠。
美しい曲線。
ネストとは色も雰囲気も違う。
だがどこか似ている。
それが嬉しかった。
理由は自分でも分からない。
ただ。
少しだけ。
本当に少しだけ。
お揃いみたいだと思った。
「乗ります」
「まだ言うか・・」
「乗ります」
レンは深いため息を吐いた。
こいつに見せたのは失敗だったかも。
ノアが宣告する。
『統計上』
『レンの敗北確率九十九パーセント』
「お前、裏切ったな」
『事実です』
リアが勝ち誇る。
「やりました」
「まだ負けてない」
だが。
誰の目にも結果は見えていた。
◇
そして、その日の夕方。
「よし!」
シルフィネの操縦席から元気な声が響く。
リアだった。
満面の笑みで座っている。
「乗ってるじゃねぇか……」
レンが頭を抱える。
『予測通りです』
「お前は黙ってろ」
『事実です』
リアは得意げだった。
ノアもどこか満足そうである。
完全に味方がいない。
レンは諦めたように空を見上げた。
「まぁいいか……座ってる位なら。」
どうせもう遅い。
こうなったリアは止まらない。
森の中に笑い声が響く。
平和な午後だった。
誰も知らない。
この少女と。
この機体が。
やがて世界の運命を大きく変えることになるなど。
今はまだ。
読んでいただきありがとうございます。
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勢いで書いているので誤字やわかりにくい表現がまだまだあるとおもいます。
読み直すと台詞や、文章の改稿したいところが次々と出てきますね(笑)




