第十一話 新天地を探した子供達
ロボオタのおっさんが、ゲームによく似た異世界で好き勝手やる話です。
機兵、遺跡、秘密基地。
好きなものを全部詰め込みました。
森は静かだった。
少なくとも。
最初はそう思っていた。
――街よりマシだ。
少年は何度もそう自分に言い聞かせた。
名前はまだ無い。
スラムでは名前なんて大して意味を持たない。
誰かに呼ばれることも少ない。
今日を生き延びる方が大事だからだ。
だから仲間達も。
お互いを呼ぶ時は適当だった。
「おい」
「お前」
「チビ」
それで通じる。
そんな世界だった。
少年達がスラムを出たのは五日前。
理由は簡単。
もう無理だったからだ。
冬を越えた頃から状況が悪くなった。
食べ物が減った。
病人が増えた。
大人が消えた。
朝起きたら死んでいる。
そんな事が増えた。
最初は一人。
次は二人。
次は三人。
ある日。
いつもパン屑を分けてくれた婆さんが死んだ。
その翌週。
顔見知りの男が死んだ。
その次の週。
仲間の一人が消えた。
もう戻らなかった。
皆分かっていた。
ここにいたら死ぬ。
だから。
誰かが言った。
「街の外へ行こう」
誰が言ったのか覚えていない。
でも。
皆賛成した。
街の向こうに村があるかもしれない。
森の向こうに畑があるかもしれない。
別の街があるかもしれない。
何も無いかもしれない。
それでも。
ここよりマシだと思った。
だから出た。
五人で。
荷物は少し。
食べ物はもっと少し。
希望だけは多かった。
そして。
三日で無くなった。
食べ物が。
最初に。
その後。
元気が。
そして。
病気のルウが倒れた。
歩けなくなった。
熱が出た。
咳が止まらない。
「置いていくか?」
誰かが言った。
皆黙った。
ルウも黙った。
答えは出ている。
このまま連れて行けば全員危険だ。
でも。
「嫌だ」
少年は言った。
「俺も嫌だ」
「俺も」
「俺も」
結局。
誰も置いていけなかった。
だから交代で背負った。
食べ物も分けた。
水も分けた。
そして皆腹が減った。
そんな時だった。
家を見つけたのは。
森の奥。
こんな場所にあるはずのない家。
煙が上がっていた。
人が住んでいる。
それだけは分かった。
だが。
近付けなかった。
「絶対怪しい」
一番小さい子が言った。
「盗賊かもしれない」
「奴隷商かも」
「悪い貴族かもしれない」
全部あり得た。
スラムでは。
知らない大人は敵だ。
だから隠れて見ていた。
一日。
二日。
三日。
見ているうちに。
変な事に気付いた。
住人も変だった。
一人は若い女。
一人は子供。
そして。
もう一人。
おっさん。
どう見ても冒険者ではない。
貴族でもない。
盗賊でもない。
何か作っている。
畑もある。
変な家だった。
ある日。
肉が置かれていた。
結界の外に。
堂々と。
「罠だ」
少年は言った。
「絶対罠だ」
皆頷いた。
誰も触らない。
翌日。
まだあった。
その翌日。
まだあった。
腐り始めていた。
「……」
皆で見つめる。
腹は減っている。
でも怖い。
結局。
夜になってから回収した。
食べた。
毒は無かった。
皆泣くほど美味かった。
だから。
木の実を置いた。
お礼だった。
その日から。
少しだけ。
変な家への警戒が下がった。
少しだけ。
本当に少しだけ。
そして今。
ルウが倒れている。
熱い。
息も苦しい。
皆分かっている。
限界だった。
「どうする」
誰も答えない。
その時。
声が聞こえた。
「反則だろ」
おっさんだった。
いつの間にか近くにいた。
皆飛び上がる。
逃げようとする。
でも。
ルウは動かない。
置いていけない。
少年は震えながら前に出た。
殴られるかもしれない。
捕まるかもしれない。
奴隷にされるかもしれない。
それでも。
ここで終わりたくなかった。
「……助けて」
声は小さかった。
情けなかった。
でも。
初めてだった。
大人に助けを求めたのは。
おっさんは頭を掻いた。
面倒そうだった。
本当に面倒そうだった。
そして。
大きなため息を吐く。
「お前ら」
少年達が固まる。
「どこ行くつもりだった」
答えられなかった。
本当に分からなかったから。
だから。
正直に答えた。
「分からない」
おっさんは少し笑った。
どこか。
懐かしそうに。
「そうか」
そして。
倒れたルウを抱き上げた。
「失敗したな」
その言葉に。
少年は初めて気付いた。
この人も。
昔どこかから逃げてきた人なのかもしれない。
そんな気がした。
【エターナルWiki No.006】
アストラ王国の主要組織
アストラ王国は大きく三つの勢力によって支えられている。
■王国
アストラ王国を統治する国家機関。
軍事力と行政機能を担う。
国王
アレス六世
現アストラ国王。
王国の最高権力者。
王国騎士団
王国最強の軍事組織。
国内外の脅威から王国を守る。
剣帝レオン
王国騎士団長。
王国最強の騎士として知られる。
専用魔核機『グラム』を駆る。
東方辺境伯
バルド
王国東部を治める大貴族。
魔獣討伐や国境防衛を担当する。
■世界樹神殿
大陸最大の宗教組織。
世界樹信仰を広めるとともに、
人々の生活を支えている。
聖女オフィーリア
世界樹神殿の象徴。
世界樹の加護を授かるとされる。
神殿騎士団
神殿を守護する武装組織。
王国騎士団と並ぶ戦力を持つ。
■王立学院
アストラ王国最大の教育研究機関。
魔法・機兵・歴史・錬金術など、
あらゆる学問を研究している。
学院長ミスト
大陸屈指の魔導師。
古代文明研究の第一人者。
補足
王立学院は王国直属の機関だが、
神殿や貴族からも多くの支援を受けている。
そのため政治的には中立的な立場を保っている。
■現在の勢力図
王国
↓
軍事と統治
神殿
↓
信仰と民衆
学院
↓
知識と技術
三者は協力関係にあるが、
それぞれ異なる影響力を持っている。
プレイヤーメモ
ゲーム開始時点では、
王国・神殿・学院の三勢力が大陸の中心となっている。
プレイヤーはストーリーの進行に応じて各勢力と関わることになる。
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