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第七話 森のルール

ロボオタのおっさんが、ゲームによく似た異世界で好き勝手やる話です。


機兵、遺跡、秘密基地。


好きなものを全部詰め込みました。

 翌朝。


 リアは何かがぶつかる音で目を覚ました。


 ドン。


 ドン。


 ドゴン。


「……」


 嫌な予感しかしない。


 窓を開ける。


 そこには。


 鹿型の魔獣がいた。


 結界へ頭突きを繰り返している。


 必死だった。


 そして。


 また馬鹿がいた。


 ドゴォン!!


 派手な音と共に吹き飛ぶ。


 地面を転がる。


 立ち上がる。


 また突っ込む。


 リアはしばらく見守った。


 五回目。


 魔獣は動かなくなった。


「……」


 何も言えなかった。



 食堂へ向かう。


 レンが朝食を食べていた。


 カイルはスープを作っている。


「おはよう」


 レンが言った。


「おはようございます」


「良い朝だな」


「鹿が死にました」


「ああ」


 レンは頷く。


「春だな」


 意味が分からない。


「春なんですか?」


「春だ」


「何で」


「頭の悪い魔獣が増える」


 カイルが吹き出した。


 リアも思わず笑う。


 レンは真面目だった。


 本気でそう思っているらしい。


「という事で」


 レンが立ち上がる。


「今日は解体だ」


「またですか」


「まただ」


 外へ出る。


 昨日の鹿が転がっていた。


 近くには結界の跡。


 かなり派手にぶつかったらしい。


 レンは慣れた手付きで解体を始める。


 リアも手伝う。


 カイルは肉を運ぶ。


 いつの間にか。


 三人でやるのが当たり前になっていた。


「そういえば」


 リアが聞いた。


「魔獣って結構来るんですか?」


「来る」


 レンは頷く。


「月に何回くらいです?」


「週に何回か」


「多くないですか!?」


「だから肉に困らん」


 レンは嬉しそうだった。


 リアは呆れる。


 普通は危険と考える。


 この人は食料と考える。


 発想が違う。


 しばらくして。


 解体が終わる。


 レンはいつものように胸の辺りを探り始めた。


「また魔核探しですか?」


「また魔核だ」


 リアは苦笑した。


「そんなに欲しいんですか」


「欲しいな」


 即答だった。


「魔核一つで世界変わるからな」


「そんなに?」


「そんなにだ。」


 レンは真面目だった。


 そして。


 ため息を吐く。


「無いな・・」


「無いですね」


「無いな」


 三人で頷いた。


 もう様式美だった。



 昼頃。


 カイルは畑へ向かった。


 最近の日課だ。


 雑草を抜く。


 土を整える。


 種を植える。


 水を撒く。


 完全に管理人になっていた。


「本当に変わりましたね」


 リアが言う。


 畑は見違えるほど綺麗になっていた。


 まだ収穫は少ない。


 だが。


 ちゃんと畑だ。


 以前とは違う。


「レンさんが何もしなかっただけです」


 カイルが苦笑する。


「聞こえてるぞ」


 後ろから声がした。


 レンだった。


 工具箱を抱えている。


「何作るんです?」


「まだ決めてない」


「決めてないんですか」


「工具買うと作りたくなるだろ」


 ならない。


 二人ともそう思った。


 レンは畑を見る。


 そして。


「凄いな」


 素直に感心した。


「何がです?」


「畑っぽい」


 カイルは笑った。


 リアも笑った。


 以前なら。


 こんな風に笑うことは無かった。


 少なくとも。


 リアはそうだった。



 夕方。


 三人は食卓を囲んでいた。


 肉。


 スープ。


 パン。


 少しだけ増えた野菜。


 以前よりずっと豊かだ。


「そういえば」


 カイルが言う。


「森にもルールってあるんですか?」


 レンは少し考えた。


「ある」


「どんな?」


 レンは指を折りながら答える。


「結界の外で寝ない」


「はい」


「知らない果物食うな」


「はい」


「赤いキノコは大体毒」


「はい」


「あと」


 一度区切る。


「変な物拾うな」


 リアとカイルが首を傾げた。


「変な物?」


「変な物」


「例えば?」


 レンは少し遠くを見る。


「昔」


「はい」


「喋る骨とか・・」


 沈黙。


「喋る骨?!」


「喋る骨。」


「本当に?」


「三日喋って消えた」


 リアは頭を抱えた。


 この森。


 思った以上に怖い。


「あと」


 レンは続ける。


「光る石拾ったら爆発するぞ。」


「何で拾うんですか!?」


「光ってたからな。」


 理由になっていない。


 カイルが笑う。


 リアも呆れる。


 だが。


 どこか楽しかった。



 夜。


 食後。


 リアは窓の外を見ていた。


 静かな森。


 結界の淡い光。


 遠くで鳴く魔獣。


 危険なはずの場所。


 だけど。


 不思議と安心する。


 ふと。


 髪に触れる。


 昨日買ってもらった髪留め。


 まだ少し恥ずかしい。



 後日


 朝食後。


 リアはカイルと一緒に工房の掃除をしていた。


 理由は簡単だ。


 散らかりすぎている。


 機兵の腕。


 機兵の脚。


 設計図。


 工具。


 金属片。


 謎の箱。


 謎の部品。


 謎の石。


 謎の何か。


 ほぼ全部謎だった。


「これ本当に整理されてるんですか?」


 リアが聞く。


 レンは机の下から顔を出した。


「されてるぞ」


「どこがです」


「俺には分かる」


 リアは諦めた。


 カイルも諦めていた。


 その時だった。


 棚の奥から白い物が転がり落ちる。


 コトン。


「ん?」


 リアが拾い上げた。


 白い骨の様なものだった。


 腕ほどの長さ。


 妙に綺麗な表面。


 何となく人工物っぽい。


「何ですかこれ」


 リアが持ち上げた瞬間。


 骨が喋った。


『おはようございます』


「ひゃああっ!?」


 リアは思わず投げた。


 骨が床を転がる。


 カイルも飛び退いた。


「しゃ、喋った!?」


『おはようございます』


 もう一度。


 同じ声。


 同じ調子。


 レンが顔を上げた。


「あー」


 少し懐かしそうだった。


「まだ動いたのか」


「何ですかこれ!?」


「喋る骨だ。」


「見れば分かります!」


 リアが叫ぶ。


 骨は続けた。


『本日の天候は晴れです』


『良い一日をお過ごしください』


 そこで止まった。


 静かになる。


 数秒待つ。


 何も起きない。


「終わり?」


「終わりだな」


 レンは頷いた。


 実際には骨ではない。


 古代文明時代の乗り物や施設に搭載されていた案内装置に似ている。


 ゲーム時代にも似たような物が存在した。


 もっとも。


 今では決まった言葉しか話せない残骸だ。


 説明しても二人には伝わらない。


 だからレンはいつも通り呼んでいる。


 喋る骨と。


「本当は何なんですか?」


 リアが聞く。


「たぶん道案内する奴」


「骨が?」


「昔はもっと喋ったと思う」


「何で分かるんです?」


「勘だな。」


 絶対違う。


 リアはそう思った。


「どこで拾ったんです?」


「森の遺跡の近くだ」


「持ち帰ったんですか?」


「面白かったからな」


 いつも通りだった。


 カイルが小さく笑う。


 リアは頭を抱えた。



 その後。


 掃除を続ける。


 そして今度はカイルが木箱を見つけた。


「レンさん」


「ん?」


「これは?」


 箱の中。


 青白く光る石が入っていた。


 宝石みたいに綺麗だった。


 レンが見た瞬間。


「あ」


 嫌そうな顔をした。


「触るな!」


 珍しく即答だった。


「危ないんですか?」


「危ないぞ。」


「呪い?」


「もっと危ない」


 レンは真顔で言った。


「爆発するぞ」


 沈黙。


「……え?」


「この前言ったやつだ。」


「何でそんな物持ってるんですか!?」


 リアが叫ぶ。


 レンは少し視線を逸らした。


「昔拾ったものだ。」


 嫌な予感しかしない。


「綺麗だったからな。」


 予感通りだった。


「拾ったんですか?」


「おう。」


「爆発したんですか」


「まぁ、したな。した。」


「したんですか!?」


 レンは頷いた。


「工房一個吹き飛んだ」


「笑い事じゃないですよ!」


「笑ってないぞ?だから触るなと言っている。」


 少し笑っていた。


 リアは頭を抱えた。


 レンは石を見る。


 正確には。


 人工魔核系の何かだろうと予想している。


 ゲーム内にも似たような遺物が存在した。


 劣化したエネルギー結晶。


 放置された試作品。


 そんな類だ。


 ただし。


 推測でしかない。


 確実なのは一つだけ。


 爆発する。


「何で二個目持ってるんです?」


「今回は爆発しないかもしれない」


「前回しましたよね!?」


「した」


「学習してください!」


 レンは少し考えた。


「ロマンだからな」


「便利な言葉ですね!」


 午後。


 三人は薬草採取のため森へ入った。


 いつもの森。


 いつもの道。


 風が吹く。


 鳥が鳴く。


 平和だった。


 その時。


 レンが立ち止まる。


「ん?」


「どうしました?」


 リアも止まった。


 レンの視線の先。


 地面に何か落ちている。


 小さな石。


 青白く光っている。


 見覚えがあった。


「駄目です」


 リアが即答した。


「まだ何も言ってないぞ」


「駄目です」


「綺麗だぞ?」


「駄目です!」


「たぶん爆発しない」


「たぶんが信用できません!」


 レンは渋々諦めた。


 カイルが笑う。


 リアも苦笑する。


 そんな二人を見て。


 レンも少し笑った。


 その頃。


 森のさらに奥。


 誰も近寄らない遺跡の地下では。


 同じ光を放つ石が。


 無数に眠っていた。


 まるで。


 何かが目覚める時を待つように。

 リアは思う


 口数が少なくて、何を考えているのか、いまいちわかりづらい。



 けれど。


 嫌ではない。


 そんな事を考えていると。


 遠くからレンの声が聞こえた。


「うおおお!」


 工房だった。


 何か作っているらしい。


 その直後。


 ボンッ!!


 小さな爆発音。


「……」


 リアはため息を吐いた。


 やっぱり静かじゃないかもしれない。


 そんな事を思いながら。


 少しだけ笑った。


【エターナルWiki No.004】


■キャラビルド


エターナルでは搭乗者の能力が機兵へ反映される。


そのためビルド選択が重要となる。


■フィジカル型 火力特化職 1番スタンダードに活躍できる。


■フィジカル型 HP,耐久型 ステータス依存のタンク職


■魔法型 攻撃火力系 遠距離支援火力がある。


■魔法型 結界師 ほぼ100パーセント防御だが攻撃手段なし。


最後に。


【補足】

魔法系を選択すると、約8割以上のボーナスステータスを持っていかれるので基本魔法職は難易度が高く紙装備なので、人気がない。


結界師は超不人気職。序盤パーティー必須。

通称「亀」。


初心者、コミュ障 非推奨。


読んでいただきありがとうございます。

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