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第十八話 長い季節

ロボオタのおっさんが、ゲームによく似た異世界で好き勝手やる話です。


機兵、遺跡、秘密基地。


好きなものを全部詰め込みました。

 それから、どれほどの時が流れただろうか。


半年か。


それとも一年か。


地下にいると季節が分からない。


朝も夜もない。


ただ、三人で起きて、食べて、探索して、眠る。


そんな日々を繰り返していた。



最初は恐る恐る進んでいた下層も、今では随分と様変わりした。


壁には簡単な地図が貼られ。


探索済みの場所には印が付けられている。


どこに何があるか。


どこが危険か。


どこで採集ができるか。


今では大体把握できていた。


「……ここも終わり。」


俺は地図に新しい線を書き込む。


これでまた一つ、空白が埋まった。



結局。


あの巨大な扉の先へは、一度も行かなかった。


どうしても嫌な予感がする。


三人とも、同じ意見だった。


だから、それ以外の道を片っ端から探索した。


上へ続く階段。


下へ向かう坂道。


崩落した通路。


行き止まりの部屋。


そして。


今まで見たことのない建物。


何もない場所など、一つとしてなかった。



便利なものも、たくさん見つかった。


丈夫な金属の容器。


よく切れる刃物。


保存に使えそうな箱。


用途は分からないが、何かに使えそうな道具。


地下都市のガラクタ置き場も、随分と賑やかになっていた。


「そのうち、全部使い道が分かるんだろうか。」


そう思いながらも、結局ほとんどが飾りになっている。



狩りも安定した。


狼に似た魔物。


大蜥蜴。


地下に棲む鳥。


そして魚。


肉には困らなくなった。


保存食の蓄えも十分だ。


木の実もある。


薬草もある。


もう、生きるだけなら何も困らない。



そして何より――。


食事が美味い。


「……うまい。」


思わず声が漏れる。


今日の夕食は、魚の焼き物に野菜の汁物。


それと、木の実を潰して作った団子のようなもの。


どう見ても和食だ。


異世界なのに。


地下なのに。


どうしてこうなる。


「さすが、元同郷……。」


思わず呟いてしまう。


サクラが首を傾げた。


「いや、何でもない。」


もちろん通じない。


だが、最近では言葉が通じなくても、なんとなく会話になっていた。



ツバキが、魚を頬張りながら笑っている。


サクラも、そんな妹を見て微笑む。


それを見ていると。


不思議と、心が落ち着いた。


「……。」


いつの間にか。


ここが、自分の居場所になっていた。


上へ戻る必要もない。


戦争もない。


誰かに追われることもない。


食べる物もある。


眠る場所もある。


隣には、気を許せる仲間がいる。


「……。」


俺は焚き火を見つめた。


火が、ゆらゆらと揺れている。


「このまま……。」


小さく呟く。


「このまま、ここで暮らすのも悪くないか。」


言葉は通じない。


それでも、サクラがこちらを見た。


少しだけ、驚いた顔をしている。


そして。


ふっと笑った。


その顔を見て、俺も笑ってしまう。



その夜。


いつものように三人で眠りについた。


だが――。


翌日。


それまでの日常を変える出来事が起こる。



探索の帰り道。


俺は足を止めた。


「……。」


何かいる。


気配。


魔物ではない。


今まで感じたことのないものだった。


サクラも気付いたらしい。


ツバキの表情も強張る。


しばらくすると。


遠くから、低い足音が聞こえてきた。


ドス……。


ドス……。


何か大きな生き物だ。


俺は二人を後ろへ下がらせた。


そして、機兵を前へ出す。


やがて。


木々の向こうから、その姿が現れる。


「……犬?」


いや。


犬にしては大きすぎる。


馬ほどもある、巨大な獣。


だが。


俺が驚いたのは、その背中だった。


「……。」


「……え?」


そこには。


一人の人影が乗っていた。


小さい。


人間より、ずっと背が低い。


髭。


頑丈そうな服。


そして。


腰には見たことのない武器。


その人物も、こちらを見て固まっていた。


しばらくの沈黙。


やがて。


小さな人影が、ゆっくりと口を開いた。


「……ほう。」


その声は。


今まで聞いたことのない言葉だった。


けれど。


なぜか。


その表情だけは――。


驚いているように見えた。

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