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第十七話 分岐点

ロボオタのおっさんが、ゲームによく似た異世界で好き勝手やる話です。


機兵、遺跡、秘密基地。


好きなものを全部詰め込みました。

 神殿を後にして、俺たちは再び下層の探索を続けていた。


あれから数日。


この階層の地図も、少しずつ形になり始めている。


石畳の道。


小川の流れる場所。


魔物の縄張り。


採集できる木の実や薬草の場所。


紙いっぱいに書き込まれた地図を見て、少しだけ達成感を覚える。


「結構広いな……。」


最初は生き残ることに必死だった。


それが今では、探索そのものを楽しめるくらいには余裕が出てきていた。



その日も、いつものように道なりに進んでいた。


だが。


「……ん?」


俺は足を止めた。


石畳の道が、そこで途切れていた。


いや。


正確には――。


分かれていた。


「これは……。」


右。


左。


正面。


さらに坂を下る道。


上へ向かう階段。


崩落して途中で塞がった通路。


今まで一本道だった地下都市が、突然迷宮のような姿を見せ始める。


「急に増えたな……。」


後ろからサクラとツバキもやって来る。


二人も驚いているようだった。



そして。


その中心に、それはあった。


「……。」


巨大な扉。


今まで見てきた石造りの建物とは、何もかもが違う。


白い壁。


滑らかな表面。


風化した様子がほとんどない。


まるで。


そこだけ別の世界が切り取られているようだった。


「なんだ……ここ。」


近づく。


壁に触れてみる。


冷たい。


石でも金属でもない。


見たこともない素材だった。


扉は閉じている。


押しても引いてもびくともしない。


そして。


静かだ。


この場所だけ、音が死んでいるような気がした。



サクラが紙を差し出してくる。


『こわい』


その一言に、思わず頷いてしまう。


「……分かる。」


ツバキも、俺の服の裾を掴んでいた。


怯えているらしい。


普段は好奇心旺盛な子なのに。


俺はしばらく扉を見上げた。


行こうと思えば、行けるかもしれない。


でも。


嫌な予感がする。


それも、とびきりの。


冒険者の勘。


そんな曖昧なものだが、今までそれに助けられてきた。



俺は紙を取り出す。


『ここから先はやめよう』


サクラがすぐに頷く。


『うん』


ツバキも、こくこくと何度も頷いた。


全員一致だった。


「探索は……。」


俺は小さく笑う。


「帰れる時に帰るのが基本だ。」


二人には意味は伝わらない。


それでも、俺が帰ると言ったことだけは分かったらしい。


少しだけ安心したような顔をした。



俺たちは、その場を後にすることにした。


だが。


帰ろうとしたその時。


「……。」


ふと。


俺はもう一度だけ振り返った。


巨大な扉。


その上。


何かが刻まれている。


文字……?


だが遠い。


ここからでは読めない。


「……気のせいか?」


首を傾げる。


結局、それ以上気にすることなく歩き出した。



その頃。


扉の向こう側。


誰もいないはずの場所で。


小さな光が、一瞬だけ灯っていた。


そして。


何かを待つように。


再び静寂へと沈んでいく。

読んでいただきありがとうございます。


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