第78話 優太_レモンサワーと窓越しの景色
サイトで夜景をアピールしているだけあって、席の目の前は全面ガラス張りだ。
「すごい素敵なお店ですね。予約して頂いてありがとうございます。」
「いえ、友人に勧めてもらったところを予約しただけです。思ったより雰囲気がよくてびっくりしました。」
とりあえず莉奈さんが気に入ってくれたようで良かった。圭介、ありがとう!
ドリンクを選ぼうとメニュー表を広げると莉奈さんがほほ笑みながら言った。
「ここの席なら夕日がきれいに見えそうですね」
「ですね。なに飲まれますか?」
彼女の笑顔にホッとし、メニュー表を見やすい用に広げ彼女の方に滑らす。莉奈さんがメニュー表を覗き込んだとき、距離が縮まりいい香りがした。香水だろうか。石鹸のような何かの花のようないい香りがする。
莉奈さんがめくっているノンアルコールメニューをみると、色んな種類のドリンクが写真付きで載っている。結構種類が多そうだ。
「せっかく素敵なお店に連れてきて頂いたので、1杯だけお酒頂いてもいいですか?」
顔を上げて尋ねてきた莉奈さんに頷いた。こうやって飲食店でゆず以外の女性の隣に座るのは数年ぶりだ。見上げてくる様子が可愛らしいと思う。
「もちろんです。なにがいいですか?」
「じゃあレモンサワーで」
俺は呼出しボタンを押すと、ウェイターににレモンサワーとビールを注文した。
「お腹すいてますか?苦手な食べ物とかありますか?」
フードメニューを広げながら、好きなものなんでも注文してください、と伝える。莉奈さんは、じゃあ、遠慮なく、というと楽しそうにメニューを選び始めた。
「シーザーサラダと、コブサラダだったらどっちがいいですか?」
「生ハムの盛り合わせとチーズの盛り合わせならどっちがいいですか?」
ゆずもよく、どっちがいいと思う?って聞いてくるけど、この、どっちがいい?という質問は女性特有の共通認識か何かなのだろうか。
しかし、好きなもの注文して、と大人ぶったけど、もしかしたら俺に気を使ってくれているのかもしれない。俺は苦笑しそうになるのをこらえて、シーザーサラダとチーズの盛り合わせをそれぞれ指さした。
ドリンクを運んできたウェイターに先ほど選んだメニューを注文し、乾杯する。ジム帰りのビールはいつ飲んでも美味しく、一気に半分ほど飲み干してしまう。




