第74話 優太_風俗報告会
「で、風俗どうだった?」と聞く千早に「え、なにそれ、初耳」と好奇心むき出しの圭介に挟まれて、俺はできる限り簡潔に事実を述べたら「緊張して勃たなかった」と、事実すぎる説明に終わってしまった。
腹を抱えてゲラゲラ大笑いしている二人を目の前に、俺は黙ってビールをあおった。ほんともうヤダ。
「いや~、優太も可愛いとこあるよな」
千早は笑いすぎてヒーヒー苦しそうに息を吸いながら言い、圭介は目に涙をためながら言った。
「いや、わかるよ。俺も彼女と初めてやる時、緊張して勃たなかったもん」
いや、その初めてというのは童貞を捨てる時か?それとも婚約している彼女の時の話か?それだけで状況は全然違うぞ。
「ごめん、笑っちゃって。そんなにしかめっ面しないで」
圭介が笑いながらビールジョッキを俺のグラスに当ててくる。ガラスとガラスがぶつかる小気味いい音がなる。
「今回もギガンデスだったの?」
ギガンデス事件を知っている圭介は千早の質問に噴出した。
「いや、普通に、ってか結構、美人だった」
海老とキノコのアヒージョにバケットを浸しながら、あの子の顔を思い出す。
「え、いいじゃん。いつあったの?」
まるで恋バナを聞く乙女のように、圭介は両手で頬杖をつきながら尋ねてきた。
「先週の土曜日」
「次、いつ会うの?」
「今週の土曜日」
我ながら素直に答えてしまった。
「2週間連続で会いに行くなんて、気に入ってるんだね」
圭介は女子みたいに、きゃっ、と言いそうな雰囲気で両手を叩く。
「いや、気に入っているというか、リベンジしようとしただけ」
そう答えた俺に隣に座ってる千早が、またまた~、と肘で突っついてきた。
「今週はその子とのみ行くんでしょ?」
「え、どういうこと?」
千早以上に面白そうだ、という顔をして圭介が身を乗り出してくる。
「元々予約していたんだけど、女性の日が来たって連絡が来たから。食事なら大丈夫みたいだから、色々話そうかなと思って」
「女性の日?」
「生理」
首を傾けた圭介に察しがよい千早が答えた。圭介が、あー、なるほど、という顔をする。
「その分、料金って安くなるの?」
ビールから白ワインに切り替えた千早がグラスを揺らしながら言う。
「いや、変わらない」
「え、マジかよ」
「エロいことできないのに?」
二人の反応をみて、そりゃそうなるよな、と俺でも思う。
「お金持ちですな~」
厭味ったらしく言う千早に、俺はお返しとばかりに千早を肘でつっついた。
「俺は真面目にコツコツ貯金してきたら、余裕があるんだよ」
「これだから遊ばない人間は。もっと散財しろよ」
意味不明なつっこみをする千早を楽しそうに見ながら、圭介が言った。
「なんかいいよね。雄って感じで」
「え、それ、ほめてる?」
「ほめてるよ。俺なんて全然してないもん」
「新婚でしょ?ラブラブなんじゃないの?」
「ラブラブだよ」




