第65話 優太_弾む雑談
「莉奈さんが話しやすい方でよかった。どんな人がくるのかずっとドキドキしてました」
「そう言って頂けて良かったです。どうしてこのお店を選んだのか伺っても?」
ぱっちりした大きな二重が興味津々といった様子で俺を見つめている。好奇心が強そうだ。一大決心をして風俗にきたが、立派な理由があるわけではないような気がしてなんとなく極まりが悪くなる。
「あの、人妻が好きとかそういうわけじゃないんです。すみません。年上の女性なら色々話を聞いてくれるかなと思って…。」
静かに黙って聞いている莉奈さんが頷き、目で続きを促してくれる。
「社会人になりたての時に友人と一緒に初めてこういうお店利用したんですが、ホームページに乗ってる年齢とは全然違うおばさんがきてあんまり楽しくなかったのでそれ以来利用してなかったんですけど…。少し年上で落ち着いている女性と話がしたくて、色々探していたらこのお店を見つけました。」
一気に話すとペットボトルのお茶を飲む。
「お店の女性が書いてるブログみたいなやつ、色々読んでみたら莉奈さんと愛花さんのやつがすごく良くて。どちらにするか迷ったんですが、莉奈さんの方が愛花さんより年が近そうだなと思って莉奈さんを指名させて頂きました。」
軽く会釈しつつも確かに歳が近いのも選んだ理由の一つだが、それ以上に写メ日記の内容がすごく良くて興味を持ったのが本音だ。
しかし、あんまり写メ日記の内容について話すと、コイツすごい読み込んできてるじゃんw、って引かれてしまうのではと俺の中のチキンが発動した。
「いや、こちらの方こそご指名頂きありがとうございます。」
丁寧に頭を下げる莉奈さんに俺は少なからず好感を覚えた。本当に普通の女性って感じだ。
莉奈さんが質問をふってくれたことで、スムーズに雑談が始まった。俺は自分の話や、小学生のころからずっと野球をやっており、今ではたまにバッティングセンターにいくこと、休日の過ごし方など気づくとペラペラと話しいた。
俺の話しに莉奈さんは共感し、笑い、楽しそうに質問を重ねる。莉奈さんは驚くほどの聞き上手だった。
莉奈さんがはっとしたように腕時計を確認して謝った。
「あ、ごめんなさい。おしゃべりに夢中になってしまって。そろそろシャワー浴びます?」
「あ、はい…」
さっきまでの楽しい気持ちは一瞬で吹き飛び、急に緊張してきた。
「良かったら一緒にシャワー浴びますか?」
「いや、恥ずかしいんで一人で浴びてもいいですか?」
我ながら女子みたいなセリフだと思いながらも、ここ数年、AVの動画は別として生身の女性の裸をろくに見ていない。照明が明るい浴室で女性の裸を見るのも、俺の裸を見られるのも気恥ずかしい気がして、俺は童貞か、と心の中でつっこんだ。
「もちろんです。お待ちしてますね」
ニッコリ笑いながらバスタオルを手渡してくれる莉奈さんに会釈をして、そそくさと浴室に向かった。




