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第62話 優太_予約当日

 待ち合わせ当日、照りつける日差しをなるべく避けながら道玄坂を登る。前日に予約内容を確認する旨のメールがお店から届いた。指定された場所は、道玄坂を登ったところにある交番近くのスーパーの入り口だ。

 まず、交番の近くというのに抵抗がある。悪いわけをしているわけではないのに、交番の近くで風俗嬢と落ち合うのは、お巡りさんに咎められたりしないのだろうか、と想像してしまう。

 待ち合わせ時間の10分前に到着した。指定されたスーパーの入り口付近に立ち、あたりを見渡したがまだ誰もいない。携帯で莉奈さんのページを見ていると非通知で電話がかかってきた。

「はい」

 慌てて出ると女性の声が聞こえた。

『こんにちは。莉奈です。今どちらにいらっしゃいますか』

「あ、スーパーの入り口あたりにいます」

『わかりました。すぐに向かいますのでお待ちください』

電 話を切ると交番の目の前にある横断歩道が青信号になり、ぞろぞろと人が歩いているのをなんとなく見つめる。

「あの、シラカワさんですか?」

 下の方から声がして思わずびくっと肩が揺れた。

「え、あ、はい・・・」

 声がした方に目をやると小柄な女性が俺を見上げている。

「驚かせてごめんなさい。莉奈です。今日はよろしくお願いします。」

 えっ、若くないか?俺よりも年下じゃない?ってか思ってたより小さい…。

 ネットには30歳と書かれていたが40歳くらいの人が来ることを想像していた俺は、どう見ても自分より年下に見える彼女に驚きつつも頭をさげた。

「あ、よろしくお願いします・・・」

 こちらこそよろしくお願いします、と頭を下げた莉奈さんがにこっと笑った。

「さっきお電話した時、渋いお声だったので思ったよりお若くてびっくりしました」

 その笑顔に思わず手で頭を掻きながら、俺も微笑む。

「よく友達からも電話した時の声がおじさんみたい、って言われます・・・」

「渋くてかっこいいですよ」

 ふふ、と微笑む彼女は予想していたより綺麗で俺は一気に緊張した。意味もなく手を握ったり開いたりしてしまう。

「さ、行きましょうか。どのホテルがいいとかありますか?」

 しまった。ホテルのリサーチを全くしていない。

「あ、ここらへん来るの初めてで・・・。あまりよくわからないんです」

「そしたらどういうホテルがいいでしょう?安いところとか、広いところとか、ケーキが無料で食べれるところとかありますよ」

 お任せにして高級ホテルに連れていかれたらどうしよう。

 ゆっくりとホテル街を歩く莉奈さんの横を歩きながら、俺はカッコ悪いだろうなと思いつつも答えた。


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