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第44話 知夏_借金100万を切った夜

 よしっ!やっと100万きった!

 ATMからルンルン気分で出る。夜になっても梅雨らしくシトシト雨が朝から続いているが、そんな天気でも上機嫌で傘をさした。やっと終わりが見えてきたことに喜びを隠せない。私は嬉しくて絵麻に電話した。ワンコールで絵麻がでる。

『え、どうした?』

「聞いて!あと90万ちょいで借金終わるわ!」

『良かったじゃん!ってか返済スピード速いね!?』

「毎月稼いでますから」

 風俗嬢に転職して1年半。最初の半年は10万程ずつしか返せなかったが、常連客がつくようになってから収入が安定し、かなりのハイペースで借金の返済を行えるようになった。

「このペースなら8月には完済できそう。誕生までに全部返して、30歳迎える!」

『え、あと2カ月ちょっとで90万近く返すの?さすが人気嬢だわ』

「ランキング入り維持してますから」

 どや顔で答えながらも、少しだけ涙が出てくる。今度、遊びに行こう、と絵麻と約束し電話を切った。

 風俗嬢に転職してから新しい習慣ができた。それは仕事が終わるとATMに速攻で向かい、その日の収入の9割をメインの口座に、残りの1割を貯金用の口座に入金することである。

 そして毎月決めている返済額に達したら、即座に返済に充てていた。普段は月末に返済を行うが、今月は一足早くボーナスが出た常連客達がいつもよりロングコースで指名してくれたため、かなりのハイペースで稼ぐことができた。

 私の売上を支えてくれる常連客に感謝しつつ、それ以上に頑張っている自分をほめちぎった。ご褒美に今日は外食して帰ろう。駅に向かい地下鉄に乗ると、電車に揺られながら久しぶりに風俗嬢に転職することを決意した日を振り返った。


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