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第35話 知夏_安定収入への戦略

 高額な収入が狙えるが保証がない業界で収入を安定させるためには、定期的に通って来てくれるお客様、つまり本指名をどれだけ獲得するか、が鍵である。新人期間を終えた風俗嬢にとって、本指名の数が生命線といっても過言ではない。

 本指名をとるにあたって、まずお手本となる目標を設定することにした。

 新人期間に指名してくれたお客様の中で、本指名としてリピートしてくれる方もいるが、新人好きなお客様は新たな新人がでるとそちらに流れやすい。キャストの指名希望がないフリー客は優先的に新人に回すので、私を初めて指名したお客様をいかに本指名にするか、その割合をとにかく上げたい。

 自分の売上を上げるにあたって参考になる教えがある。それは前職の上司が教えてくれた『自分が目指したい目標を達成している奴の真似をしろ』だ。

 前職は新卒から入社したIT商社の営業を5年務めていた。私は入社当初から退職するまで一貫して、そこそこの努力で仕事を行っていた。成績上位を目指して日々案件を獲得するために、がむしゃらに努力をするような体育会系のメンツにはついて行けず、私はノルマを達成する程度に努力をする省エネタイプだった。

 そのため私は、残業はそれ程せずともノルマをそつなくこなし、程よく手を抜いているタイプの先輩を目標とした。

 目標設定をしたおかげで私の成績は常に中の中、ノルマは達成するものの突出した成績を収めたこともなく、可もなく不可もなくといったところだ。

 しかし、そこそこの収入を上げるために風俗嬢に転職したわけではない。前職のような省エネタイプの働き方では、借金返済にとんでもなく時間がかかってしまう。

 新人期間は稼ぎやすいが問題は新人期間が過ぎた後、いかに稼ぐかである。例えば入店してから1か月たったら他店に入店をし、また新人として働く。

 そして1か月たったらまた他店に移る、渡り鳥のように色んな店舗に在籍し続ける方法があるが、店によって客層や店の雰囲気が合う合わない、が生じるだろうから私にはそのやり方は合わない。

 前職を退職して借金返済のために風俗嬢として働く期間は3年間の期間限定、と決めてこの業界に足を踏み入れたが前倒しで返せるなら前倒しで返したい。そのためにはトップの成績を取って、高収入を維持する必要がある。

 私は目標設定をするために、事務スタッフの立場を最大限利用して在籍キャストの収入、本指名数を調べた。

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