第30話 知夏_新婚の若妻という役目
このお客様がきっかけで、私はお客様に対する認識を改めた。
あのホステスが教えてくれた一対一の関係を構築する事、お客様の心に沿うこと、そのためにはお客様が何を求めているのか、会話や仕草から必死に読み取るようになった。
そもそもお客様が20代の女性が在籍している店ではなく30代~40代の女性が在籍しており、なおかつ人妻専門店を選ぶ理由は何か、真剣に考えるようになった。
私は人妻キャストになりきるために、自分自身の設定を決めた。
まず、私は結婚して間もない新婚、という体にした。これは人妻慣れてしているお客様から、人妻感が全くない、と指摘されてしまうことを防ぐためだ。
そして、なぜ新婚なのに風俗店で働いているのか、と聞かれた場合は、旦那は海外へ単身赴任中なのでその間に、このお店で働いて奨学金を完済させたいから、という設定にした。
私の本職はウェブライターのため時間の融通が効きやすく、そのためこのお店に頻繁に出勤している、という設定も添えた。
この設定はお客様を納得させ喜ばせた。また、奨学金の返済のため、という理由も同情を引き出すようで、チップをくれるお客様もいた。
私は若妻、というポジションで比較的若い世代のお客様から指名を受けるようになり、肉体的な満足感だけではなく、精神的にもご満足頂けるように心を砕いた。




