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第24話 優太_わかっていても寂しさは拭えない

「あー、あそこお蕎麦屋じゃない?」

 2軒先にそれらしき店を見つけて指をさす。

「行ってみよう」

 連れだって行列ができているお店を見に行った。

 名物の川越抹茶そばをたべ、ゆずが食べたいと言っていたスイーツポテトにサツマイモチップスを仲良く半分こした。途中で有名らしいおからのドーナツを見つけて揚げたてを食べながら時の鐘を眺める。

 ゆずはいつも良く笑い良くしゃべる。ご飯をいつも美味しそうに食べる。その幸せそうな様子に俺も心温まる思いがする。

 さんざん食べ歩き、最後に川越銭洗弁財天で年季の長さがうかがえる輪を片手に、金運の棒をめがけて輪投げした。

 あっという間に着物を返却する時間が迫ってきたので足早にお店へ向かう。

 着物を脱ぐのを手伝ってもらい、いつもの普段着に着替えるとホッとした心地になる。

「夕飯どうする?」

「帰って勉強したいから、手早く食べれるものでもいい?」

「全然いいよ」

 ゆずは2級建築士の資格を持っている。今度は1級建築士の資格を取るために通信講座を受けながら勉強に励んでいる。

 多くのお客様に喜んでもらうために、仕事しながら資格勉強に励む。俺はゆずのこの向上心の高さと努力家なところを心から尊敬し、憧れている。

 川越駅近くのラーメン屋で夕飯を済ませると東武東上線で池袋まで向かう。友達が先生をしている陶芸教室に月1で通い始めた、と楽しそうに話しているゆずに相槌をうち、今度一緒に体験に行こうよ、との言葉にいいね、と返事をした。

 俺は会社で行われたピザの販売イベントのおかげで企画部に異動できそうだと伝えると、自分の事のように喜んでくれるゆずをほほえましく思う。

 あっという間に池袋駅に着き、副都心線を利用するゆずを改札口まで見送る。別れ際、軽く両手を広げゆずとの距離を縮めると、わずかにゆずの体が後ろに引いた。

 それはゆずにとっては反射神経によるもので、仕方のない反応だったのかもしれない。それでも、寂しさがどうしようもなく、じんわりと広がる。

「勉強頑張って。気をつけて帰ってね。」

 一瞬済まなさそうな表情をしたゆずに気づかないふりをして手を振る。

 またね、と手を振り返して改札口を通るゆずを姿が見えなくなるまで見送った。

 帰ったらジムに行こう。思いっきり筋トレをして、ランニングマシーンの傾斜をマックスにして走ろう。

 余計なことを考えなくても済むくらいクタクタになって眠りたかった。


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