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第21話 優太_彼女と川越デート

 平日とあって川越はすいていた。土日なら車道まで人が溢れるくらい観光客で混んでいただろうが、今日はスイスイ歩ける。

 ゴールデンウイークに出社した分の振替休日をゆずと合わせて平日に休みを取ったのだが、川越観光したいゆずと、登山に行きたい俺で意見が分かれたので公平にジャンケンをした結果、今、川越にいる。

「どうしよう。私も男物の着物にしようかな」

「俺よりイケメンになるからやめてくれ」

 レンタル着物店で色とりどりの着物を選びながら、ゆずは楽しそうに着物を選んでいる。俺は着物に興味がないので、店員に言われるがままにお勧めを選んだ。

 光沢のある灰色の長襦袢の上に紺色のシンプルな着物を着せてもらい、薄い茶色と濃い茶色がグラデーションになっている帯を締めてもらった。

 姿見の前に立って確認をする。うん、結構いい感じ。

 俺が着付けを終えても、まだゆずは着物選びに精を出していた。こっちとこっちの着物どっちがいい?と聞かれ、こっちとこっちの帯ならどっちがいい?と聞かれ、この中の帯留めならどれがいい?と聞かれる。

 どうして女性って何かを選ぶときに、どっちがいい?って聞きたがるんだ?と思いつつも、はしゃいでいるゆずをみて、まぁいっか、と思う。

 必要なものをやっと選び終え、着付けを終えたゆずをみて綺麗だな、と思う。

 灰色っぽい青緑色の着物に、白地に金や青、緑、黒の色とりどりで模様がかかれた華やかな帯を締めている。どちらも先ほどどっちがいい?と聞かれて俺が選んだものだ。しかし、帯留めは俺が選んだ黄色いものではなく濃い茶色のものをつけている。

 女性にしては高めの172cm、誰が見ても小顔といえるほど顔が小さく、黒髪のショートカットが良く似合う。前髪をセンター分けにすれば韓国風アイドルさながらのルックスだ。

 宝塚歌劇団の男役をしていてもおかしくない容姿を兼ね備えていると個人的には思っており、本人からは街中のスカウトがうざい、と見方によっては自慢と取られてしまう話をよく大学生の頃に聞いていた。

 いつもパンツスタイルでシンプルな格好をしているので、女性らしい雰囲気をした着物をきたゆずは新鮮だ。久々にドキドキする。

 ゆずは姿見の前に立つと満足げに頷いた。荷物を預け、これまたどっちがいい?と聞いてきた小さなハンドバックと下駄をはくと一緒に店をでる。背筋が伸びるような気がした。どうして和装をするとちゃんとした気持ちになるのだろう。

「一度、着物着て散策っていうのやってみたかったんだよね。」

 川越名物の蔵造りの街並みをゆっくり歩きながら気持ち良さそうに歩いている。

 ちらほらと観光客がいるなか、意外と着物を着ている人が多いことに驚いた。男女カップルで着物を着ている人も多いんだな、と観光地を眺めるよりも楽し気に手をつなぎ、もしくは腕を組みながら歩いている人たちを目で追いかけてしまう。

 俺はゆずの半歩後ろを歩きながら、着物姿をじっくりみつめ、手をつなごうと伸ばしかけて辞めた。


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