第200話 知夏_卒業までの時間
風俗嬢を卒業する日は12月23日、事務スタッフを辞める日は12月24日に決めた。
もう少し早めに辞めようかと思ったが、クリスマスイブは馬鹿みたいに忙しい。昨年のクリスマスイブは渋谷店も他の姉妹店も年間でトップ3に入る売上をたたき出し、終電間際まで働いた。
残念ながらその時、私は生理中だったため、キャストではなく事務スタッフとして勤務していたが、SNSの更新をしている暇がないほど電話が鳴りっぱなしだった。
ちなみに渋谷店が年間で最も売上が上がる日は12月30日である。どうやら妻子持ちの旦那様の多くが日中は暇らしい。そして独り者のお客様からの問い合わせ件数が群を抜いてすごい。
昨年の12月30日は終電で帰らせてもらったが、店長達は清算作業や閉店作業があるため終電で帰ることを諦めていた。打って変わって大晦日の日は暇だった。
出勤しているキャスト人数が少ないこともあるが、お客様達は流石に家族サービスをしているのだろう。
優太と出会う前までは、大晦日の日に卒業しようとなんとなく考えていた。
しかし、優太を好きになった今、クリスマスは優太のためだけに時間を使いたかった。そして、待つと言ってくれてた彼に、自分から告白したい。我ながら乙女な発想だと思う。でも、これくらいのご褒美は自分にあげてもいいはずだ。
私は店長にお店を辞める日を伝えて、写メ日記に卒業する旨を記載した。そこからの反響が予想以上にすごかった。
今までずっと指名し続けてくれていた本指名のお客様はもちろん、以前、指名してくれた久々のお客様からのお問い合わせだけでなく、新規客からの問い合わせも増えた。
私は店長にお願いして1日にとる客を2人までにしてもらった。ロングコースのお客様が多いので時間的に3人までしか取れないが、体力的に3人はきつかった。
今までのお客様に感謝の気持ちを込めて、質を落とすことなく接客することを考えると体力的に2人が限界だった。そして、新規客ではなく本指名のお客様を優先的に予約に入れて欲しい旨を伝えた。
おかげで、待機時間がほぼ無くなり、事務スタッフを行う余裕がなくなってしまったが、それはそれで嬉しい悲鳴だった。




