第177話 知夏_プロとしての線引き
翌日、目が覚めると右目瞼がガッツリ腫れあがり、普段の半分しか目が開いていなかった。家から一番近い眼科を調べ、出かける支度をする。受付時間開始と同時に病院の入り口を開き、診察を受けると案の定、ものもらいだった。
薬局で目薬を2種類もらい、家に帰ると店長に1週間ほどキャストの仕事を休みたい旨を連絡した。事務スタッフとしては勤務できるので、出勤して良い日を店長に尋ねる。
店長からはすぐに返信があり、来週の火曜日は事務スタッフとして出社。来週の水曜日からキャストとして通常通り出勤する予定でお願いした。
元々入っていた予約はやむなくキャンセルしてもらった。生理なら食事コースで提案できるが、この顔では客前には出られない。私は、ものもらいにならなければ手元に入っていたであろう収入をざっくり計算する。くそ、15万は損失した。
これが借金返済中なら焦燥感に駆られていただろう。しかし、収入が15万減ったところで、生活には困らないくらいの金額を月の前半で稼いでいる。
事前に予約をしてくれたにもかかわらず、キャンセルをお願いしたお客様は全員常連客だ。おそらくこの常連客の方々はまた予約をしてくれるだろうから、今週末にお詫びの品を買って持参しよう。
私は、毎週のごとく週末に予約を入れてくれていた優太のことを考えた。お客様との連絡先の交換は禁止されているから、連絡ができないことはしょうがないが気にかかる。
優太は先週末に彼女と旅行していたはずだ。彼女との関係が良好なのか気になっていたが、旅行に行くくらいなら、いい感じなのであろう。
優太のことはお客様としてではなく、一人の人間として好感を持っている。それを否定する気はないが、やはり客と風俗嬢として線引きをしっかり行わなければ、と改めて自分に言い聞かせた。




