第142話 優太_下北沢でお買い物
「これと、これ、上にはこれ着て。」
大和に言われるがまま、服を手にすると更衣室に入る。履いていたチノパンとTシャツをぬぎ、普段なら絶対着ないない短パンと柄シャツにジャケットを羽織った。
更衣室のカーテンを開けて、試着した姿を現す。
「ふっ」
大和と千早は思わず噴き出し、慌てて取り繕った顔をしている。
「やっぱ、足が長すぎて短パンは逆に変だな。」
「そもそも秋服を買いに来たんだから、短パンチョイスはおかしいだろ」
大和に文句をいいつつ、次はこれ、と次の服を渡される。
「優太はイエベのオータムタイプだと思うから、ここら辺の色とか似合うんじゃないかなぁ」
家で…?え、なんだって?
「さ、着替えて」
カーテンを閉められ、着せ替え人形の気分になりつつ手渡された服を着る。濃い色のジーパンに、白いシャツ、深いカーキ色のカーディガンを羽織った。
カーテンを開ける前に鏡で自分を見た。パンツは細身を履くことが多いが、ゆったりとしたサイズ感も悪くない。なんだかしっくりくる。
カーテンを開けると千早がいいじゃん、と言い、大和はガッカリしながら言った。
「いやー、やっぱ優太はこういうシンプルな服が似合うんだよな。柄シャツ選びたかった~。」
そう残念がる大和は幾何学模様というのだろうか、細かい柄の茶色のような深緑色のような柄シャツを着ており、不本意ながらおしゃれだと感じてしまう。
「カーゴパンツとかは?」
千早が何本か手に持ってきた。
「カーゴパンツは持ってるよ」
そういいつつも受け取ってとりあえず体に当ててみる。残念ながら丈が短い。
「この足長族が」
理不尽に悪態をつかれ、千早はカーゴパンツを元の場所に戻しに行った。元の服に着替え、更衣室をでたところで圭介がTシャツを手に戻ってきた。
「これ、いいと思う」
そういって渡してきたTシャツには左胸元にロゴのように小さくピザが刺繍されており、その下にはI am hungry!と書かれている。圭介らしいチョイスに笑った。
「これも可愛いよ」
ピザのシャツと同じシリーズなのだろうか。これまた左胸元におにぎりの刺繍がされており、おにぎりの下にはRice is the best!と書かれていた。
「こういう遊び心いいよねぇ。」
「圭介の方が似合うんじゃない?」
「おれ、ご覧のお腹だからたぶん入らない。」
ポッコリ膨らんだお腹をさすりながら言った。もともと、同い年にしてはお腹が出ているとは思っていたが、結婚が決まってからさらに腹回りが裕福になったような気がする。
俺はピザが刺繍してあるTシャツを手に取り、鏡の前に当ててみた。確かにちょっと面白いワンポイントがある服もいいかもしれない。会社でピザのイベント販売を行うようになってから、ピザ柄には愛着が湧くようになっていた。




