第137話 優太_上野で落ち合う
美術館の外に出るとちょうど太陽が真上に登っている時間でこの上なく暑い。上野公園の中を歩きながら、無性に誰かと話したい気分だった。お祭りのように賑やかな広場を通り過ぎ、とりあえずラーメンでも食べようとアメ横に向かう。
観光客でごった返す道をなるべく避けて、以前食べに行った鴨とネギのラーメン屋を目指した。お店に着くと相変わらず行列がすごかったが、ここは並んででも食べる価値はあるし、ラーメンだから客の回転が早い。俺は食券を買うと最後尾に並んだ。
ゆずからLINEが来ていたので、確認して返事をする。通っている陶芸教室で作ったお茶碗が完成したようで、写真が送られてきた。渋い琥珀色っぽいお茶碗は売り物のような出来栄えだ。
何通かやりとりした後、勉強始めるからまたね!とゆずの返信に、柴犬が旗を振って応援しているスタンプを送って連絡を終えた。
やっと順番が回り、カウンター席に通される。すぐに出てきたラーメンをすすっていると、大和からLINEが来た。
『今日、ヒマ?』
「わりとヒマ」
『今、飲んでるんだけど来ない?千早もいるよ』
「おけ、ラーメン食べるから終わったら連絡するわ」
真昼間から酒を飲んでいるとは楽しそうだ。ラーメンを食べると店を出て、大和に電話をする。
「どこで飲んでるの?」
『上野で飲んでるよ』
「あ、まじ?俺も今、上野にいる」
『まじか!店変えようって千早と話してたから、待ち合わせしよ』
電話越しにうるさい程の騒ぎ声が聞こえた。どうやら随分賑やかな店で飲んでいたようだ。
とりあえず上野駅前にあるマルイで待ち合わせをし、合流すると昼飲みができるエリアに向かった。
大和はすでにまぁまぁ出来上がっていて、上機嫌に道行く女性をナンパしようとしている。その度に俺は大和の二の腕を引っ張って歩かせた。適当に安居酒屋に入ると奥の空いてるテーブルに通される。
安居酒屋らしく、やや狭めなテーブルに丸椅子。席に座ると全員170cm越えなので圧迫感がすごい。とりあえずビールと枝豆、きゅうりの浅漬けを頼んだ。
「どこで飲んでたの?」
「上野公園のなんかイベントやってたところ」
「なんのイベント?」
「アジア料理?エスニック料理?色んな屋台がでてたよな」
「そうそう。美術館近くの広場のところ。せっかくこっちも2人組だから女の子2人組声かけたのに上手くいかなかったわ」
やっぱり暑すぎるとダメだな、と言いながら大和が運ばれてきたビールを煽った。俺は店員に水を注文してとりあえず大和の目の前に置いた。




