第131話 優太_素肌に唇を落として
「いつもファンデーションは塗らないの?」
「基本は塗らないかな。日焼け止めは塗るけど。あんまり顔にあれこれ塗るの好きじゃないんだよね」
「そうなんだ。女性って外出る時、みんな化粧してると思ってた」
「普通はそうだよ」
ニヤッと笑って莉奈さんは服に着替えるとポットにお水をいれてお湯を沸かす準備をしてくれている。それを見ながら俺は服をきた。
「あ、コーヒー持ってきているんだった。さめちゃったけど、どうする?紅茶飲む?」
「コーヒーでいいよ。お湯ありがと」
並んでソファーに座り、ケーキと常温になったコーヒーを飲む。ケーキは無料にしてはけっこう美味しかった。
「あ、そうだ。お土産渡すよ」
危ない、忘れるところだった。鞄からお土産を入れた袋を取り出し、莉奈さんに渡す。
「ありがとう」
「ハスカップのジャムと、木でできた栞なんだけど、良かったら」
「へぇ!ハスカップのジャム、初めて食べるわ。え、栞、可愛いね」
袋からお土産を取り出したながら、栞を眺めている。莉奈さんが栞を特に気に入ってくれてようで良かった。北海道産の木材を削って作られた栞には、北海道特有の動物が彫られており、実用的で邪魔にならいから良さそうだと選んだが正解だった。
「ありがとう。ありがたく頂戴するね」
鞄に大事そうにしまう様子を見ながら、愛おしさのあまりそっと頭を撫でた。
「そろそろ時間だよね。ぼちぼちでよっか」
「うん」
鞄を手に取り玄関に一緒に玄関に向かう。サンダルを履いている莉奈さんの身長が5cm程高くなる。身長が153cmしかないことを本人は気にしてサンダルでも靴でもヒールがあるものを履くようにしている、と言っていたが、ヒールを履いてようが履いてなかろうが小さいくて可愛いな、と思う。
少しだけ身長差が縮まりキスしやすくなったので、かがんで唇を落とした。
「そのサンダルよく履いているね。」
「これ、クリムトの接吻をイメージしたデザインなの。お気に入り過ぎてサンダルもパンプスも両方持ってる。」
「クリーム党?」
「クリムト。画家の名前だよ。」
笑いながら莉奈さんが言った。
気になるお店がある、ということでマークシティのレストラン街に向かった。メイン通りの途中で右に曲がると、暖簾が掛かったおばんざいのお店があった。
暖簾を手で持ち上げて店内に入ると、すぐにスタッフがやってくる。人数を告げて、奥のカウンターテーブルに通された。
一番端の席に莉奈さんを通して、その隣に腰かけるとぐるっと店内を見渡した。13時過ぎ、お店にとってはランチのピークなのだろう。広々としたオープンキッチンにそって木材のカウンターがあり、料理人たちが忙しそうに手を動かしている。




