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第130話 優太_肩を寄せて、湯気の中で

 しばらく莉奈さんの鼓動の音を聞いていたが、お腹がぎゅる、と鳴った。彼女は肩を震わせるように笑い、「お腹すいた?ケーキ食べる?」と言った。

「お風呂入ってから食べよう」

「湯船ためようか?」

「いや、俺やるよ」

俺はベットから出ると、バスルームへ向かった。浴室の扉をあけると洗い場がフローリングのような床になっており、広めのバスタブには小さなテレビがついている。蛇口から目一杯お湯をだすと、かなりの勢いでお湯が出てきた。このペースならすぐに溜まりそうだ。ベットにいる莉奈さんに声をかける。

「一緒に入る?」

「お!どうしたの?いつもは恥ずかしいから一人で入るって言ってたじゃん」

 茶化すような言い方にちょっとムッとする。

「別に恥ずかしいから、とは言ってないだろ」

 掛布団にくるまって芋虫のような状態で、あはは、と笑う彼女にバスタオルを渡す。

「一緒に体洗いっこする?」

「いや、それはいい」

「なんで?恥ずかしいから?」

「うるさい」

 仕返しできたようで、ちょっと気分が良い。

「優太、先に入ってて。終わったら行くから」

 わかった、と返事をして浴室に戻る。しっかりと体を洗い、ついでに顔も洗う頃には湯船に半分くらいのお湯が溜まっていた。

「いいよー」

湯船につかるとベットルームに声をかけると、髪の毛をお団子状にまとめた莉奈さんがやってきた。片膝をついた状態で座り俺に背を向けて体を洗う様子を後ろからじっくり眺める。

「ね、こっちむいて洗ってよ」

「やだ」

 絶対に断ってくるだろうなと思いながら言ったら、予想通りの返事が返ってきて笑った。

 シャワーを止めると俺に背を向ける形で湯船に湯船に入ろうとするので、足を広げて間に入れるようにスペースを作った。ふぅ、と息をつきながら寄りかかってくる彼女のお腹に腕を回す。

「足長いと大変だね。足伸ばしきれなくて狭いでしょ」

「まぁ、しょうがないね。温泉でもない限り中々足は延ばしきれないよ」

「私の足、ちんちくりんだから余裕で伸ばせるわ」

 振り返りながら足を上げて、短さをアピールしてくる。こういう仕草が、子どもみたいで可愛いなって思う。彼女の頬に手を添えて唇を重ねた。顔を離すと俺が手で触れた箇所が濡れている。しまった。

「ごめん、化粧落ちちゃったよね」

「あ、私、ファンデーション塗ってないから大丈夫だよ」

「え、すっぴんってこと?」

「さすがにすっぴんではないよ!アイメイクだけしてるよ」

 笑う莉奈さんの顎をつかんでまじまじと見つめた。え、肌、綺麗すぎじゃない?毛穴、どこ行った?

「ちょっと見過ぎ」

首 をふって俺から逃れるとそのまま湯船を出ていく。手早く体をバスタオルで拭いている彼女を見ながら聞いた。


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