第128話 優太_嬉しい本音
「…それは、もう俺とはしたくないってこと?」
「いや、そういうことじゃなくて」
「どう言うこと?」
「あのー、察してもらえると…」
彼女は両手を組みながら目線を手元に落としている。
一体、何を察しろって言うんだ?
少しかがみ込んで、莉奈さんの目線に合わせた。心なしか顔が赤いような気がする。
「もしかして体調悪かったりする?」
「いや、全然元気」
じゃあ一体なんなんだ。
「ごめん、何を察すればいいのかわからないんだけど…」
焦りながら必死で考えるが、追加料金を受け取ってくれない、と言うことは俺ともうしたくないってことにしか思えない。
つまり、と言いながら莉奈さんが言った。
「追加なしでもしてもいいってこと」
「え、どういうこと?」
莉奈さんは小さくため息をつく。
「だから、優太にはいつも気持ち良い思いさせてもらってるから、追加をもらうのは申し訳ないな、って思ってるってこと。追加なしでも、私はしてもいい、って思ってるってこと」
両手で顔を隠しながら「こんな恥ずかしいこと言わせないでよ」と、怒ったように呟く。意味がわかった途端、驚きが入り混じった喜びが込み上げてくる。
「それって、俺とのが、その、良かったってこと?」
そうだよ、と怒ったような返事が返ってくる。あ、怒ってるんじゃなくて、照れてるのか。
思いっきり彼女を抱きしめると、苦しいよ、と声が聞こえたが無視してそのまま横に飛び、ベットにダイブした。笑いが込み上げて腹の底から笑う。あー、やばい、涙出てきた。
「どうしたの」
俺の目を指でぬぐいながら莉奈さんが聞く。
「すごく、嬉しいんだよ」
泣き笑いしながら俺は答えると、クスリと笑いながら彼女は言った。
「追加なしにやれるんだ、ラッキー!ぐらいに思ってよ」
「そりゃ無理だよ」
笑い合い、お互いどちらからともなくキスをする。
「なんか甘い味がする」
味わうように口をもごもごさせて莉奈さんが言った。
「さっきメロンパン食べたからかな」
「ふふ、この前も食べてたよね。甘党なの?」
「わりと」
キスを繰り返しながら彼女のシャツのボタンに手をかけると、待って、と声が聞こえた。
「…シャワー浴びないと」
「このままがいい」
「じゃあ、電気暗くしたい」
「やだ」
わがまま、と笑うように息をつくと大人しく俺に身を任せてくれる。電気をつけたままの状態は、実は初めてである。気恥ずかしさもあったが、彼女の表情がよく見える嬉しさには及ばない。
目が合うと莉奈さんははにかんだように微笑んだ。




