第113話 優太_星野リゾートでのひととき
3時間の移動はあっという間にすぎ、旭川の星野リゾートに到着した。
去年、星野リゾートに彼女と泊まりに行った圭介から、いかに素晴らしいかを熱弁されてずっと興味を持っていた。千歳エリアから旭川方面は移動に時間がかかるが、泊るだけの価値があるのでは、と思いゆずに提案したところ大喜びで快諾してくれた。
荷物をもってホテルに入ると広々としたロビーにチェックインを待つ客が大勢いた。さすが、人気ホテルだ。
「あそこにあるの、蛇口をひねるとジュースがでるやつじゃない?」
ゆずが指さした方をみると、家族連れがコップを手に蛇口をひねっている。
「え、良く知ってるね」
「楽しみすぎて、めっちゃ調べた」
ホームページだけでなく紹介サイトも色々とチェックしたと話すゆずに、こういうところがすごいよな、と思う。興味を持ったことに対しては熱心に調べ、取り組む情熱が羨ましいくらいだ。
チェックインを済まし、部屋に入るとなんともオシャレな壁紙に囲まれている。昨日泊まったホテルとは別ジャンルのオシャレさだ。
「すごい!この壁紙の色の組み合わせオシャレ!」
建築士であるゆずはもう大興奮。壁紙を手で触り、照明器具やクッション、調度品を手で触りながら何かを言っている。こうなると気が済むまで見させた方が良いので、俺は荷物を床に置いてベットに腰かけた。
確かにオシャレな部屋だ。正式な色名はわからないが緑っぽい水色に紫色の壁紙が使用されている。
シングルベットがL字に配置されているのもあまりホテルでは見たことないレイアウトである。窓側のベットの上に黄色いクッションが置いており、こういう配置をアクセントを利かすというのだろうな、とゆずが話していた知識を朧げに思い起こす。
「せっかくだから、ホテルのロビーをもう一回見に行ってもいい?」
楽しそうで仕方がない、と言った様子に苦笑しつつ、こんなに嬉しそうに喜んでいるのなら提案して良かったな、と思う。
ロビーには広々とした共有スペースがあり、自由に本が読めるようになっている。木製のオセロや、見たことないゲームも置いてある。無料でできる体験コーナーがあり、コーヒー豆のカスを消臭剤がわりに袋に詰めて持って帰ることもできるし、ドライフラワーと岩塩を半透明の小袋に入れれば、入浴剤としても芳香剤としても使えるそうだ。
ロビーではスタッフが地図の前で旭川の町を紹介しており、何人かが聞いている。ゆずがその様子を見ながら言った。
「ね、夕飯のお店、スタッフお勧めに聞いてみない?」
「いいね。美味しいところ教えてもらおう」
わくわくした足取りでスタッフの元へ向かうゆずについて行きながら、旅行にきて良かったな、と温かい気持ちになった。




