表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【異世界スゴロク】止まったマスで転移する呪いの冒険譚 ~ゴールしなければ生き残れない~  作者: 幸運な黒猫
転移の秘密

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/76

第69話・疑念

「それって、さっき(あおい)さんに頼んでいた事と関係あるの?」


 葵さんが転移する時、(かなめ)はなにかを言いかけた。それに対して葵さんは『覚えているよ』とだけ返事をした。


「そうっスね、ちょっと頼み事があったんス」

「なにを頼んだの?」

「う〜ん、その……」


 要は言いにくそうに、小声で話し始めた。鈴姫(べる)さんや颯太(そうた)に聞かれてはまずいのだろうか?


(青のポーションが売っていたら、手に入れて欲しいって頼んだんス)


 青のポーション。これは要が最初に転移した先で、必死の金策の上で購入した上級薬。颯太の骨折を十分ほどで完治させてしまうとんでもない薬だった。


(持って帰らなきゃ()()()()()()()


 ……なんだろう、この引っかかる言い方は。


 ◯◯が欲しい。ではなく、◯◯を手に入れなければならない。つまり、本人の希望ではないのか?


 異世界のアイテムや魔法は、当たり前だけど現代にないものばかり。持ち帰ればとんでもない力を手にする事ができるだろう。


 特に、どんな大怪我も一発で治してしまう青のポーションは、医療の在り方すら変えてしまう可能性があると思う。


(まだ半分くらい残っていると思うけど?)


 そう聞きながら、僕は、嫌な事を想像してしていた。もし要が事前に情報を得ていて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と。


(そうなんスけどね、ちょっと、必要で……)

(ちょっとってなんだよ。話せない事があるのか?)

水音(みな)っち、なんか怖いっスよ)


 もちろん目的はわからない。医学の発展のためかもしれないし、売って大儲けをするためかもしれない。


(他の世界で売ってればそれでもいいんスよ。行ける世界を選べるなら、ポーションがある世界に行きたいっス)


 要はチラリと颯太(そうた)を見て、言葉を続けた。


(颯ちんには内緒にしておいてほしいんスけど……)

(うん)

(オレ、弟がいるんスよ……) 

(なんで颯太に内緒なの? ていうか、どこに関係あるのかさっぱりわかんないんだけど)


 自己弁護するつもりはないけど、この時点で関連性がわかる人なんていないと思う。


(あいつ、重度の喘息だから……)


 要の弟は小さい頃から喘息持ちで、中学に上がった今でも強い発作が起こる事があるそうだ。以前は『発作が起こると窒息死する可能性がある』とまで主治医に言われるほどで、つい最近やっと改善の兆しが見えてきたらしい。

 

(実は……Ruins CLUB(ルインズ クラブ)に登録しているのは、オレじゃなくて弟なんス)


 喘息の原因はいろいろあるけど、咳や発作のトリガーになるのは大抵ホコリだ。廃墟散策なんてもってのほかと言える。


 だから要は弟の代わりに廃墟に行き、写真を撮ってお土産にしているそうだ。きっと、会った人の話や出来事を面白おかしく弟に聞かせているのだろう。


 (ルーレットに触ってしまったのは、ホントみんなに申し訳ないと思っているっス。だけど、そのおかげで青のポーションの存在を知る事ができたんスよ)


 それで二カ月も金策を頑張って手に入れたのか。青のポーションがあれば、弟の喘息を直せるのではないかと期待して。


(あ……でもそれ、颯太に使ったんじゃ)

(仕方ないっスよ。見るからにポッキリ逝ってたじゃないっスか)


 軽く言ってはいるが、要はあの場面で即決していた。苦労して手に入れた物を惜しげもなく、それもまだ出合って間もない他人に、だ。


 あの場面で、僕にそんな事ができただろうか? できたとしても悩む時間が相当あったはず。


(だから颯ちんにはこの話を聞かせたくないんスよ。スゲー優しい人だから、絶対気にすると思って……だから、黙っててほしいっス)


 僕は、後悔の念に駆られていた。糸目の言葉に踊らされて、こんな綺麗な心を持つ仲間を疑ってしまった事を。


(……ごめん)

(え、なんスか急に)

(いや、なんかこう……とにかくごめん。そう言う事にしといて!)


 ――決めた。もう糸目(ヤツ)の言葉には踊らされない。騙されてたまるかってんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ