表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【異世界スゴロク】止まったマスで転移する呪いの冒険譚 ~ゴールしなければ生き残れない~  作者: 幸運な黒猫
【童話全修】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/76

第62話・【童話全修 その11】

「ここでなにやってんだよ」

「まあ、ちょっとした捜査やで」

「……お前は敵なのか?」


  我ながら意味のない質問だった。『敵か?』と問われて『はい』なんて答えるヤツはいないだろう。それに、そもそも僕の中では、敵として認識しているのだから。


 今までの事から、彼は……糸目のナローは、異世界スゴロクを知っているはずだ。知っていて、僕が転移する世界に現れているのは間違いない。


「答えろ、何者なんだ。異世界スゴロクの事を知ってんだよな?」


 そこには悪意がある。でなければ僕らを監禁したり、死ぬような冒険に放りだしたりしないのだから。


「落ち着きなはれ。質問はひとつづつやで、ミナミナはん」

「僕たちを廃墟部屋に閉じ込めた理由はなんだ? お前がこのゲームの黒幕なのか?」


 そして、最も重要なのは、コイツがどこまで関わっているのか、だ。


「なんやもお、ひとつづつ()うとるやろ」

「……お前がチビヤギを誘拐したのか?」

「そやからひとつづつや()うて……あ、ひとつやな」


 糸目のナローは、頭をかきながらその場にドカッと座った。あぐらを組んだまま空を見上げるその姿は、執事長よりもカシラの時に近い。


「NOやで」

「じゃあ、犯人は誰なんだよ」

「そないなもん、すでに答えがでとるやないか」


 そう、答えはでている。顔に傷のある、灰色オオカミだ。だけど、だからと言って、目の前の男が潔白だという証明にはならない。現にオオカミの姿をしているし、他のオオカミと繋がっている可能性もあるのだから。


「やっぱり信用できん」

「だから落ち着きなはれって」

「お前を疑わない理由があれば言ってみろよ」

「ほんまもお、どんだけ疑っとんのや」

「80……いや、90%黒だな」

「よう思いだしてみぃ。ワイに殺す気がおうたら、バルバトスの城でアッサリやで?」


 確かにあの時は、僕ら四人に対して細目のナローと海賊どもで二~三十人はいた。襲いかかられたらひとたまりもなかっただろう。

 

「事故に見せかけて船から突き落として溺れさせてもええし、クラーケンやセルケトに頭からバリバリと食わせる事も可能やな」

「……っ」

「つまり、や」


 と、細めのナローは指でピストルを作って僕に向けると、弾を撃つジェスチャーをしながら言葉を続けた。


「危機感のないあんさんを殺るだけなら、こんな回りくどい事はせんっちゅうねん」


 なんかムカつくけど言っている事は正しいと思う。実際今も、短剣を構える僕に対して一切の敵対行動をとっていない。


「……殺すのが目的じゃないのなら、なんのためにこんな事をするんだよ」

「カマかけは無意味やで。ワイはミナミナはんたちを陥れた犯人やないさかいな」


 なんのためにこんな事をするのか? この質問は、異世界スゴロクの首謀者でなければ答えられない質問だ。


 ――つまり、すぐに『カマかけ』と気づくのは、当事者ではないからと言える。


「その手は”桑名(くわな)の焼き(はまぐり)“や。少しは信用してもろて~」

「まだ50%だ。これは簡単に白黒つけられる話じゃない。」

「渋いなぁ。ま、今はそれでええわ」

「似合ってんだろ。灰色オオカミだし」

「それはお互い様や、グレ子はん。似合(にお)うとるで、ぴちぴちグレータイツ」

「……うるせっ」


 人から言われると無性にイラッとくる。全身タイツが似合ってると言われて喜ぶヤツがいるわけない。


「でもま、そのくらいが丁度ええのかもしらんな」

「なんの話だよ」

「半分しか信用されてへんって事や。あんな、今から重要な事()うで。ミナミナはんの命に関わる話や」

「なんか怖い事をさらっと言ってない?」

「信じるか信じないか、それはミナミナはん次第やけどな」


 わざとイライラさせる、もったいぶった回りくどい話し方。これが彼の話術なのだろう。こちらのペースを乱し、自分のペースに持ち込むやり方。まさしくドラマで見たペテン師のようだ。


 ならば彼の話に耳を傾けず、自分のペースを崩されなければいい。わかっている以上は騙されないようにするだけだ。そう思っていた。


「ええか。異世界スゴロクを仕掛けた黒幕は……」


 ……しかし、糸目のナローが発した言葉は、ペースを崩すどころの話ではない、思考をかき乱すひと言だった。


()()()()()()()()()()()()()()()

「……は?」


 ……今、なんて言った?


「誰かやで〜」

「……はああ???」


 僕らの中に首謀者がいるだと?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ