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アルビー  作者: アオハル
2/7

市場の人たち

朝食の後。


エレノアが年少の子供たちの前に立つ。


「アルビーは今日からマルク班です」


マルクは頷いた。


ミアがアルビーを見る。


「同じ班だね」


アルビーはミアを見返した。



井戸から水を運び、桶を並べる。


廊下を掃く。


ミアが途中で立ち止まった。


「つかれた」


「あと少しだ」


マルクは桶を受け取り、アルビーは最後の一つに手を伸ばす。


ミアは小さく息を吐いて、二人の後を追った。



第四環第七区の市場は賑やかだった。


荷車が行き交い、商人たちが客を呼び込んでいる。


行く先々で声がかかり、エレノアは慣れた様子で応えていた。



吊るされた肉が揺れている。


店先では大柄な男が客の相手をしていた。


「こんにちは、ガレスさん」


「ああ、エレノア。干し肉ならウサギのがたくさんあるぞ」


「いえ、今日はこの子の紹介に来ました」


ガレスはアルビーを見る。


「……ん?」


「ご存知なんですか?」


「何度か目にした。教会へ辿り着いたなら良かった」


店の中から少年の声が飛んだ。


「父ちゃん、そいつ?」


「教会の新入りだ」


少年は近付いてくる。


「俺はリアム」


「アルビー」


「市場の仕事も手伝ってもらう予定なんです」


エレノアが言った。


「なら、分からないことがあったら聞けよ」



青果店。


雑貨屋。


荷運び人。


エレノアは一人ずつ紹介していく。


「明日から配達を手伝ってもらいます。少しずつ道を覚えてくださいね」


アルビーは通りを見渡した。


店も人も多い。


覚えることは多そうだった。



「ここも覚えてくださいね」


花の鉢植えが並んでいる。


「この前来たばかりじゃない?」


「なくなったんだから仕方ねえだろ」


金色の髪が揺れ、少女が顔を上げる。


「その子?」


リアムが振り返った。


「ああ」


「昨日から孤児院へ来ました」


エレノアが言った。


少女は店先へ出てくる。


「私はリリー」


「アルビー」


「ここは野菜の種なんかも売ってるんだぜ」


「なんでリアムが言うの?」


「いいだろ別に」


エレノアは小さく笑った。



夕方。


孤児院では子供たちの声が響いていた。


エレノアと門をくぐる。


庭ではマルクたちが薪を運んでいた。


マルクがこちらに気付く。


「おかえり」


アルビーは少し間を置いた。


「ただいま」


ミアが駆け寄ってくる。


「どうだった?」


「人が多かった」


「市場はだいたいそうだ」


マルクが言う。


「花屋も行った?」


「ああ」


「リリーいた?」


「いた」


ミアは少し嬉しそうに笑った。


「明日から配達だな」


マルクが言う。


「ベイルが連れていく」


「ベイル?」


「配達組のリーダーだ」


ミアは顔をしかめた。


「ちょっと厳しいよ」



夜。


大部屋には静かな寝息が広がっている。


リアム。


リリー。


市場の人たち。


アルビーは天井を見上げ、孤児院へ戻った時のことを思い返した。


「ただいま」


アルビーは静かに目を閉じた。

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