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第89話 王子達を入れた会議開始

いつもお読みいただきありがとうございます!前回、暴走する『プロット・メーカー』のハッキングと王子たちの最強魔力によって、ついに現実世界の6畳一間に次元を超えて現れてしまった4人の王子たち……!ただでさえ存在感のありすぎるイケメンたちが、狭いボロアパートに集結したことで部屋の密度は限界突破!?リリィーナと赤ん坊姿の作者(神様)の運命やいかに……。前代未聞のリアル会議が、いま幕を開けます!

「オフィカール、少しは静かにできないのか。リリィーナが怯えているだろう」


次に口を開いたのは、カルトナージュ

だった。きらびやかな漆黒の軍服に身を包んだ彼は、狭い部屋のせいで天井に

頭がぶつかりそうになりながらも、尊大な王族としての態度を微塵も崩さない。


カルトナージュは不快そうに狭い部屋を見渡しながら、私とリリィーナが床の上でぎゅっと抱き合っているのが気に入らないのか、スタスタと長い足でこちらへ歩み寄ってきた。


そして、無慈悲にも私とリリィーナの

体を強引に引き剥がしたのだ。


「僕の前で、堂々と他のやつと抱き合っている場合ではないと思うけれど?

それとも、そんなにお仕置きでキスでもされたいのかな、リリィーナ?」


カルトナージュは口元を不敵にニヤッと歪め、楽しそうにニコニコと私達二人を見つめていた。


お仕置き発言の破壊力があまりにも凄まじすぎて、リリィーナの顔がみるみるうちに真っ赤に染まっていく。


(にしても、なんだこの狭い部屋は……。あちこちホコリっぽいというか、空気も淀んでいる。こんな劣悪な

環境に、僕のリリィーナが何時間も滞在しているなんて、それだけで体に害を受けるじゃないか。一刻も早く連れ出さなくては……!)


心の中の重すぎる過保護っぷりと独占欲のギャップが本当に凄まじい。顔は笑っているが、目の奥にある独占欲の炎は

全く隠せていなかった。


一方、ミキラカーデは、人差し指で銀縁のメガネをクイッと上げながら、今まさに目の前で起きている異常事態について、その天才的な頭脳をフル

回転させていた。


「ふむ……ここが、僕たちを生み出した紙(プロット資料)と、その作者のいる現実世界ですか。……それにしても

この国には奇妙な四角い物や、不快な音が溢れすぎていて耳が痛いですね」


(なんという騒々しい国なのでしょうか。僕たちの暮らす宮廷とは完全に勝手が違いますね。音の響き方も、光の放ち方も、さらには料理をする仕組みすらも、何かが決定的に異なっています。

科学、とやらでしょうか……?)


ミキラカーデはいつもの冷徹な表情とは裏腹に、初めて目にする現代日本の家電や家具に興味津々の様子だった。彼は

「冷蔵庫」の扉を勝手に開けて冷気に

驚いたり、「電子レンジ」のボタンを突っついてみたり、「テレビ」の画面に映る自分の顔を観察したりと、忙しなく

狭い部屋の中をキョロキョロと見て回っている。


知的好奇心が完全に暴走していた。


そんな王子たちの勝手極まる振る舞いに、私の家賃数万円のワンルームの空気はいよいよ混沌を極めていく。


そこに、ドスッ、と音を立てて畳の上に力任せに座り込んだのはオフィカールだ。彼は太い腕をがっしりと組みながら、短い手足をバタバタさせている私を鋭い眼光で睨みつけてこう言った。


「で! 作者さんよぉ、リリィーナを早く俺たちに返して、とっとと元の世界に戻せよ! ついでに、ササッと物語のプロットを進めろや。ぐずぐずしてんじゃねえぞ」


(ぶっちゃけ、この狭くて暑苦しい部屋なんか、1秒たりともいたくはねぇんだよ。けどよ……俺はリリィーナを連れ戻すために、必死で次元の壁をこじ開けてここまで来たんだからな。逃がすわけねぇだろ。……にしても、なんでこの赤ん坊の作者は何がどうなってこんな姿になっちまったんだ?)


相変わらず口調も態度も乱暴極まりないが、とにかくリリィーナを最優先で連れて帰りたい一心なのが丸わかりだ。


同時に、赤ん坊の姿になってしまっている私(作者)の異変を、彼なりにちゃんと心配してくれているあたり、意外と

4人の中で一番常識人であり優しい男なのかもしれない。


不器用な優しさが心の声からダダ漏れ

だった。すると今度は、ミディティが、子供のように地団駄を踏みながら

短い足をバタバタとさせて甘えるような声で叫んだ。


「ねぇぇ! いつまでこんな狭くて貧乏臭いところに僕たちを居させるつもりなのぉー? 早く元の世界に帰りたーい!

ここ、全然お姫様にふさわしくないよ!」


(もう! せっかく次元を超えてリリィーナちゃんに会えたっていうのに、全然

ロマンチックじゃないし話が進まないじゃん! こんな変な部屋に閉じ込められることになったのも、ぜーんぶ、ぜーんぶ、この無能な作者のせいなんだから……っ!)


ミディティは愛らしい天使のような顔をこれでもかと不機嫌そうに歪ませていた。彼は狭い部屋のストレスで、その

ドス黒いイライラが完全に爆発寸前

だった。


手元から漏れ出る暗黒魔法の禍々しい火花が、さっきより確実に大きく

そして激しくパチパチと弾けている。


危ない。本当にお願いだからやめて

ほしい。もしその魔法が暴発したら

私のなけなしの家具や、今月の生活費が入った財布が一瞬で塵になって消えてしまう。


「(ば、ばぶぶぶぅーーー!?!?

だからみんな心の声の独占欲と破壊衝動が強すぎるんだってぇぇぇ!!!

この6畳間で魔法なんか使われたら

アパートごと吹き飛んじゃうよぉぉぉ!!!)」


私が短い手足をジタバタさせながら必死に心の中でツッコミの悲鳴を上げていると、隣でその様子を見ていたリリィーナの顔が、さらに青ざめていく。


(み、みんなこの狭い部屋の中で鬱憤が限界まで溜まってるのか、めちゃくちゃイライラしてるじゃん……!

カルトナージュはお仕置きとか言い出すし、ミディティの魔法は今にも爆発しそうだし……! 作者、いやバブ! お願いだから早く元の姿に戻ってよぉぉ!)


四方八方から容赦なく飛び交う

王子たちの「嫉妬とイライラと独占欲に満ちた心の声」をダイレクトに脳内で受信してしまったリリィーナ。


彼女はぐったりと肩を落とすと

はぁ……と、本日一番の深いため息を

つくことしかできなかった。


ギスギスとした濃厚なイケメンの圧迫感が、狭い6畳間の畳の上に充満し

空気はまさに一触即発。神様(赤ん坊)である私の命と、このアパートの敷金・礼金の未来は、文字通り風前の灯火だった――。


(第89話 おわり)

第89話をお読みいただきありがとうございました!まさかの現実世界の畳の上で、王子たちの重すぎる執着とマウント合戦が始まってしまいました。カルトナージュのお仕置きキス宣言に、ミキラの家電チェック、オフィカールの不器用な心配、ミディティの爆発寸前のイライラ……全員の個性が強すぎて、狭い部屋の空気は一触即発です(笑)。そして全員の心の声を受信してぐったりしているリリィーナ、がんばれ……!次回、このギスギスした6畳一間の会議に、さらなる現代日本のリアルな洗礼(トラブル)が襲いかかる……!?第90話もどうぞお楽しみに!【読者の皆様へお願い】もし「面白い!」「今後の展開が気になる!」と思ってくださったら、ページ下部にある【いいね】や【星(ポイント評価)】、【ブックマーク登録】をしていただけると、執筆の大きな励みになります!どうぞよろしくお願いいたします!

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