第88話「次元障壁突破」
いつもお読みいただきありがとうございます!第88話をお届けいたします。前回、作者のスマホを人質(?)に取り、お上品品な尋問会議を始めたラトラ。しかし、彼女が放った冷気で凍りついたスマホから、突如として不穏な煙が立ち上り始めます。スマホが爆発するのかと思いきや、ワンルームを包み込んだのは強烈な光。光が収まった6畳一間のアパートの畳の上に、現れたのはまさかの……!?作者のワンルームが物理的にぎゅうぎゅうになる第88話、開幕です!
「ば、ばぶぶぶぅーーー!!
(消したくても、パソコンのキーボードが恐怖で叩けないよぉぉぉ!!)」
私が短い手足をバタバタさせて絶叫した、その直後のことだった。さきほどまでお上品品なラトラが放った
『絶対零度』の冷気によって、カチコチに凍りついていた私のスマートフォン。
異世界から次元の壁を無理やりこじ開けようとする、王子たちの異常なまでの
執着。
そして、それを裏で制御している暴走
『プロット・メーカー』のハッキング
負荷。その2つの凄まじいエネルギーが、氷を内側からパキパキと押し戻していく。
ーーミシッ……。
静まり返った私のワンルームに、不穏な亀裂の音が響き渡った。ラトラが凍らせていたスマホの画面に、いきなりピキピキと大きなひびが入ったのだ。
それだけではない。ひび割れた液晶の
隙間から、ぷすぷすと黒く不穏な煙が立ち上り始めた。
「バブ!?(ひえっ!? スマホから煙! 打ち切りを通り越して物理的に爆発するのーー!?)」
私が短い手足を縮めて頭を抱えた瞬間
だった。スマホから煙が出るかと思いきや、次の瞬間、ワンルームの天井を突き破らんばかりの凄まじい閃光が弾け飛んだ。
ひびの奥から溢れ出した強い光が
私の狭いアパートを瞬く間に白一色に
染め上げる。あまりの眩しさに目がチカチカして、何も見えない。視界が完全に遮られる中、パチパチと空間が焦げるような、次元の摩擦音が部屋中に鳴り響いた。
どうやら、暴走のハッキングと王子たちの最強魔力が、本当に異世界の接続に
成功してしまったらしい。
まばゆい光が、ゆっくりと霧のように収まっていく。
その後、私のワンルームの、少しくたびれた畳の上に立っていたのは……。
カルトナージュ、ミディティ、オフィカール、ミキラカーデ。私の脳内プロット(設定資料)に描いた通りの、きらびやかで豪華な衣装を身にまとった
4人の王子たちだった。信じられない
ことに、本当に次元を超えて、現実世界の日本に来てしまったのだ。
「ば、バブうぅ?!?(ほんとに次元を超えて日本に来ちゃった!? 狭いアパートに男子4人来ると、めちゃくちゃ狭く感じるなぁ!!!)」
私のワンルームは、家賃が破格のたったの6畳一間だ。そこに、ただでさえ存在感のある高身長のイケメンたちが
一気に4人も現れたのだ。
物理的な圧迫感と暑苦しさが半端では
ない。私は、野生の女の子であるリリィーナと恐怖のあまりぎゅっと抱き合いながら、今まさに目の前で起きている超展開に、ただただ立ち尽くすしか
なかった。
「あぁ……? なんだこの部屋。部屋ちいせーし、暑苦しいところじゃねえか」
オフィカールは美形な眉をこれでもかとひそめ、不快そうに狭い部屋を見渡しながら、これみよがしに嫌味な言葉を放った。
いくら異世界の偉い王子とはいえ
日本の家賃相場と、汗水垂らしてアクセス数を稼ぐ作者の苦労を完全に無視した暴言である。
すると、私の腕の中でぎゅっと体を縮めていたリリィーナが、すかさず私の前に立ちふさがった。
「ねぇ!オフィカール! 人の縄張りに
勝手に入ってきて、いきなり文句言わないでよ! 狭くたって、ここは居心地がいいのよ!」
ふん、と小さな鼻を鳴らして、野生の
女の子らしくぷくっと頬を膨らませる
リリィーナ。
お上品品なラトラの時とは違い、ちょっと柔らかめではあるものの、一生懸命に自分の居場所(と、作者のワンルーム)を守ろうとする彼女の姿に、他の王子たちの鋭い視線が一斉に注がれた。
その時、一人の少年がトコトコと
私のちゃぶ台のすぐ近くにまで歩み寄ってきた。第3王子のミディティだ。
くりくりとした大きな子犬のような
瞳に、あどけない顔立ち。いかにも優しく守ってあげたくなるような可愛いショタ王子だが……
その本性はドス黒い執着に染まっている。
「わあ、本当だ! すっごく狭くて貧乏臭いお部屋だね、リリィーナ!」
ミディティはキャハハとあざとく無邪気に笑いながら、床にいる私の頭を冷たい指先でチクチクと突っついてきた。
「ねえリリィーナ、そんな汚くて丸っこい赤ん坊、早く床にポイして僕を抱っこしてよ。……それとも、その出来損ないの芋虫みたいな生き物のこと、僕よりも優先しちゃうのかな? もしそうなら
この部屋ごと『塵』にして、リリィーナだけ連れて帰っちゃうけど、いいよね?」
(ば、ばぶぅーーー!?!? 顔は天使みたいに可愛いのに、言ってることのドス黒さと物騒さがエグすぎるーーー!?!?)
ミディティはニコニコと愛らしい笑顔を浮かべたまま、手元でどす黒い暗黒魔法の火花をパチパチと爆発させている。
完全にヤンデレ黒ショタのそれだ。
逆らうと一瞬で消される。私は恐怖で
リリィーナの服の裾を強く握りしめ
必死に心の中で叫んだ。
「お、おいミディティ、やめて! その子はわたしに美味いうどんを作ってくれた、めんつゆの神様なんだから!」
リリィーナは両手を精一杯に広げて
ちゃぶ台と、小さな私を必死に
かばった。
野生の女の子らしく、一生懸命に私を守ろうとしてくれる背中が、小さな
野生の小動物みたいでちょっと可愛いと思ってしまったのだ。4人の王子たちの重すぎる執着と、それを現実世界に引っ張り込んだ暴走の影。
狭すぎる6畳一間のワンルームで
いよいよ神様(赤ん坊)の命をかけた
前代未聞の「逆ハーレム修正会議」が
始まろうとしていたーー。
(第88話 おわり)
第88話をお読みいただきありがとうございました!ついに次元の壁を突破して、カルトナージュ、ミディティ、オフィカール、ミキラカーデの4人の王子たちが現実世界に雪崩れ込んできてしまいました……!6畳一間に高身長イケメン4人は、物理的にも暑苦しさ的にも限界突破です。しかも、第一声から部屋をディスるオフィカールに、笑顔で物騒な暗黒魔法をパチパチさせるあざと黒ショタなミディティ。言動のドス黒さがエグすぎて、ばぶ神様のライフはもう残りわずかです。野生の女の子らしく、一生懸命に背中を広げて守ってくれるリリィーナだけが心の癒やし(小動物みたいで可愛い)ですが、王子たちの執着の視線が怖すぎます……!果たして、この狭すぎるワンルームで始まる前代未聞の「逆ハーレム修正会議」はどうなってしまうのか!?「ばぶ神様、黒ショタに消されないで!」「リリィーナ頑張って!」と応援してくださる方は、ぜひ画面下部からブックマーク登録や、評価の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にポチッとしていただけると嬉しいです!皆様の応援の星が、恐怖で震える作者の執筆の原動力になります!次回、第89話もお楽しみに!




