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第78話『作者(神様)への直訴状』

いつも応援ありがとうございます!前話では、国王でもある校長先生から「一人に絞れないなら四人全員を夫にしちゃえば?」という、物語の前提を揺るがすトンデモ提案が飛び出しました。第78話は、その爆弾発言の直後、校長室から出てきた一同の様子をお届けします。いつもは余裕たっぷりの王子たちが茹でタコ状態になる中、彼らの『心の声』は大暴走! そして、リリィーナとラトラも絶体絶命のピンチ(?)を迎えてしまい……!?タイトル通り、ヒロインからの切実な叫びをぜひお楽しみください!

そして私たちは、どうにかこうにか深夜の校長室から脱出することに成功した。


 何とかお咎めなしで乗り切れたみたいだけれど……。 私は、廊下に並んだ王子たちの顔を、隣からチラッと盗み見た。 


そこには、これまで見たこともないようなカオスな空間が広がっていた。


「……よ、四人全員で夫になる、ということですか……? これまで誰にも渡すまいと、お互いに奪い合ってきた前提そのものが無くなると言うこと……? な、なんか一っぺんに事が起こりすぎて、頭の処理が追いつきません……」


(ミキラの心の声:も、もし、リリィーナさんが本当に僕たちを全員選んだとしたら、す、素直に喜べばいいのですよね……? いや、そんな都合よく全員を夫にするなんて、ははっ……現実はそこまで甘くないですよね。夢……これは夢ですか?) 


いつもなら一瞬で正解を導き出す天才肌のミキラ王子が、今は茹でダコみたいに顔を真っ赤にして、頭からプスプスと白い煙が立ち上っている。あまりの衝撃に、完全に脳のキャパシティを超えてしまっているようだ。


(リリィーナのツッコミ:ミキラ!? あなたのいつもの超高速な回転頭脳はどうしちゃったのよ……! ま、まあ、たしかに『夫が四人』なんて未来、私だって予想がつかないし動揺するのも無理はないけどさ……。でも、いつも完璧なミキラがここまでテンパってる姿は、ちょっと新鮮かも)


(ラトラの心の声:お、お、夫が四人だなんて破廉恥な……! 想像しただけで、わたくし恥ずかしさで爆発してしまいそうですわ……っ!) 


隣でフリーズしているミキラの様子に納得しつつも、リリィーナとラトラの二つの人格はそれぞれ違ったベクトルでパニックになっていた。 


すると今度は、あざかわ王子のミディティ様が、頬を少し染めながら口を開いた。


「……キャハッ、僕、リリィーナちゃんの夫になっちゃうの〜? すっごく嬉しい! ――けど、完全には僕だけのものにはならないのかなぁ?」


(ミディティの心の声:でもでも、リリィーナちゃんを一人占めできなくなるのはやっぱり嫌だなぁ〜。僕はリリィーナちゃんにいっぱい甘えて、よしよししてもらうのが理想の結婚生活なんだよね〜! 他の男がいたら邪魔されちゃうじゃん!) 


ミディティは夫になれるという事実そのものには大喜びしているようだけれど、リリィーナを一人占めできないという一点に関しては、全く納得がいっていないようだった。


(リリィーナの心の声:えっ、夫になれること自体は喜ぶんだ!? そこは拒否しないのね!? ……でも、一人占めはできない、か。……やっぱり、好きな子のことは自分だけのものにしたいって

男子なら誰でも思っちゃうのかなぁ)


(ラトラの心の声:よ、よしよしですって……!? 殿方をよしよしするなんて、そんなの、そんなの……っ!(真っ赤になって身悶え))


 ミディティ王子の素直すぎる独占欲に触れて、「男子の本音ってそういうものなのかな」と、私はどう答えるべきか分からずにぐるぐると悩み始めてしまうのだった。


「……はぁ。一体何を考えているんだ、あの親父は。僕たちの恋を邪魔するなら、いくら親父でも許さないよ。もっとリリィーナの気持ちを考えろって言うんだ」


(カルトナージュの心の声:僕はいつだって、リリィーナの気持ちを一番に尊重していきたいんだよね。彼女の意思を無視して強引に付き合うような真似は

男として絶対に嫌だからさ。彼女が嫌がることはしたくないんだ) 


いつもなら「本で読んだ強引なテクニック」で迫ってくるはずの、独占欲が半端ないカルトナージュ。


それが今はいつになく真面目なトーンで、私を思いやる言葉を口にしている。 あの甘々で強引なカルトはどこへ行ったのかと思うくらい、今の彼は大人の男の顔をしていた。


(リリィーナの心の声:えっ? 待って待って……えええっ!? 校長先生って、王子たちのお父様(国王陛下)だったのーーー!? ってことは、私、今さっき実質的に『婚約を認められた』ってこと!? 何この、いきなりご両親に挨拶しちゃいましたみたいな急展開は!! 理解が追いつきませぇぇぇん!!) 


なんと、校長先生が王子たちの父親であるという超初耳な情報が発覚。 

お上品なラトラも心の中で

「お、お義父様へのご挨拶が終わって

しまいましたわ……!」

と泡を吹いて倒れそうになっていた。


「チッ、やってられねぇ。何考えてんだ、あの父上は……」


 オフィカールが大きくため息を吐きながら、不機嫌そうに頭を掻いた。


「……でもよ、父上の提案、考えようによっては『アリ』だよな。そしたら、誰も引き下がることなく、みんなでリリィーナを愛し合えるわけだし」


(オフィカールの心の声:いや、でも待てよ。あの野生児みたいなリリィーナの気持ちを考えると、男四人から同時にプロポーズされるなんて刺激が強すぎるか? だっていっつも俺たちから逃げ回ってるリリィーナだぜ? そんな度胸、あいつにあるわけねぇよな) 


オフィカールはため息を交えつつも

父上である国王の提案がちょっと良いなと思い始めていた。


けれど、心の中では私がプレッシャーで逃げ出してしまうのではないかと、私の「やんちゃ(チキン)な一面」を本気で心配している。


(リリィーナの心の声:ちょっとオフィカール!! 私を一体なんだと思ってるのよ……! 私だってそんなにヤワじゃないし、プロポーズされたからって逃げる気なんか、最初からサラサラないんだからねっ!!) 


――あ。 オフィカールの心の声に

ムカつきすぎて、つい勢いで

「プロポーズから逃げる気なんかサラサラない」なんて思ってしまったけれど、それってつまり。


 私が四人全員を受け入れるってことに、なっちゃいませんこと……!? 

ハッと我に返った私は、あまりの恐怖と恥ずかしさに全身から変な汗が吹き出した。 


このまま王子たちの執着に流されて

校長の提案通りに進んでいったら、私の未来はどうなってしまうのだろう。


 危機感を覚えた私は、天を仰ぎ、今

まさにこの物語を書いているであろう

【作者(神様)】の脳内に直接響き渡るくらいの、本日一番の大きな心の声で絶叫した。


(リリィーナの心の声:ちょっと作者さーーーっん!!! 今すぐ題名を変えるか、今後の展開を変えてくださいませ!!! このままじゃ私、本当にあの重すぎる王子様四人と同時に付き合って、四人全員と結婚することになってしまいますわよーーーっ!!!)


 画面の向こうの作者(神様)に涙目で必死の直訴状を送りつける私を置き去りに。 茹でタコ状態から少し復活した四人の王子たちは

「まずは部屋まで送るよ」「僕が隣を歩く!」と、いつもよりさらに熱くて重い視線をこちらに向けて、じじわと距離を詰めてくるのだった。


(本当にお願いですから、誰か私

(とラトラ)に平穏な学園生活を返してくださいましーーーっっっ!!!)

【第78話 終わり】

第78話をお読みいただき、ありがとうございました!なんと、あのノリノリな校長先生が王子たちのお父様(国王陛下)だったという衝撃の事実が発覚しました。実質、親への挨拶と婚約内定(しかも4人同時)が一瞬で終わってしまったリリィーナです。ミミキラの脳内フリーズ、ミディティのよしよし願望、カルトナージュのまさかの男前な気遣い、そしてオフィカールの不器用な心配……。4人それぞれの本音がどれも最高でしたね!オフィカールに煽られて、勢いで「プロポーズから逃げない」と宣言してしまったリリィーナ。自分で自分の首を絞めてしまい、ついに私(作者)のところに直訴状が届いてしまいました(笑)。リリィーナ、ごめんね。でも王子たちの愛が重すぎて、私にもこの暴走は止められそうにありません……!四人全員からじわじわと距離を詰められるリリィーナ(とラトラ)の運命やいかに――!?【作者からのお願い】「茹でタコ王子たちが可愛かった!」「リリィーナ、がんばれ……!」と思ってくださった方は、ぜひページ下部の【いいね】や【ブックマーク登録】、【評価の☆】をポチッと押して応援していただけると、第79話(大台!)へ向かう執筆の大きなエネルギーになります!次回もどうぞお楽しみに!

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