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第77話 深夜の校長室は、言い訳と執着の修羅場

いつも『二重人格(お上品&最強魔法)な私も野生な私も四人の王子から溺愛中!〜心の声は丸聞こえですが、卒業までに一人を選ぶなんて全員の執着が凄すぎて選べません!〜』をお読みいただきありがとうございます!前話では深夜のグラウンドで大騒動を起こしてしまったリリィーナたちですが、案の定、深夜の校長室へ強制連行されてしまいました……!果たして王子たちはリリィーナを守りきれるのか? そしてリリィーナが聞いた、王子たちの意外な本音とは――!?それでは、第77話をお楽しみください!

そして私たちは、深夜の校長室へと連行され、重苦しい空気の中で話を始めることとなった――。 


カルト、オフィ、ミディ、ミキラの四人の王子たちに囲まれるようにして、私はふかふかの椅子に腰をかける。 

居心地が良いはずの高級な椅子なのに

室内に張り詰めたピリピリとした空気のせいで、全く生きた心地がしない。


 何か恐ろしいお咎めを受けるのではないかと、私の心臓はヒヤヒヤと不穏な音を立てていた。


「では話を始めようかのぅ。早速じゃが……あの場にいた王子たちが魔物を倒した、という認識に間違いはないのかのぅ? もし違っているのなら、今のうちに正直に言いなさい」 


校長先生はデスクの奥で深く椅子に腰掛け、鋭い眼光で王子たちと私を見つめながら質問を投げかけてきた。


 まず一歩前に出たのは、眼鏡をかけた秀才王子、ミキラ様だった。


「間違いありません。僕たちの連携により、あのS級魔物を討伐し、光の粒へと消滅させました」

(ミキラの心の声:これでリリィーナさんが罪を問われることはないでしょう。こう言っておけば校長も納得するはずですし、オフィも魔力が暴走していたと言えば筋が通ります。……ふふ、これでリリィーナさんに一つ貸しができましたね。ご褒ベに、次の休みはデートにでも誘いましょうか) 


ミキラ王子は、眼鏡の位置を直しながら一切の動揺もなく嘘を吐ききった。

 けれど、頭の中は「ご褒美のデート」のことでいっぱいのようで、案外普通の男子高校生みたいなことを考えているな、と私は思った。


(リリィーナの心の声:ミキラ様、完璧な嘘をありがとう! だけど嘘だってバレたらどうするのよ!? しかもご褒美がデートだなんて……、……え、ちょっと嬉しいかも。――って、へ!? わ、わ、私、今何考えてんのよーーーっ!?)


 お上品な笑みを浮かべながら、私は自分の心の声に猛烈にセルフツッコミを入れた。まさか、ミキラからのデートのお誘いを想像してときめいてしまうなんて、私の心臓はどうにかなってしまったのだろうか。 


続いて、末っ子気質のあざとかわいい王子、ミディティ様が口を開く。


「そうだよぉ、校長先生! 僕たちが倒しただけで、リリィーナちゃんはちょっと逃げ遅れちゃっただけなんですぅ」

(ミディティの心の声:リリィーナちゃんはただの被害者なんだから、これでお咎めなしになるよね? でも、ピンチから守ったんだから『格好いい王子様』のポイントはゲットできたよねー! さてさて、僕へのご褒美は何にしてもらおうかな〜♪)


 ミディティはリリィーナに非がないことを証明しようと、あざと可愛く首を傾げるおねだりポーズを決めている。嘘が悟られないための演技力は、さすがの

一言だ。


(リリィーナの心の声:ミディ王子まで私を守ろうとしてくれてるんだ……。

うん、純粋にめちゃくちゃ嬉しい! 嬉しいけれど!! 嘘をつくと後が怖いって言うし、やっぱり正直に言ったほうが身のためだよぉぉおーーーっ!?) 


私を必死で庇ってくれる王子たちの愛

(と下心)は嬉しいけれど、国家転覆レベルの嘘の代償を考えて、私の胃はキリキリと痛み出していた。 


すると今度は、いつもは独占欲全開のカルトナージュ様が、すました顔で大真面目に話しだした。


「そうだよ、校長先生。僕たちで力を合わせて、あのS級魔物を倒したんだ。

ちょっと危ない場面もあったけど、無事に光の粒になって消えてくれて本当に良かったと思う。リリィーナは魔物に襲われかけていたから、僕たちが必死に守り抜いただけさ」


(カルトナージュの心の声:嘘をつくのはあんまり良くないことだけど、これもリリィーナを学園の厳しいお咎めから守るためだからね。彼女のためなら、これくらい人肌脱ぐなんてどうってことないさ)


 カルトナージュは、いつものお調子者な表情を一つも変えず、堂々たる態度で完璧な王子を演じきっていた。


(リリィーナの心の声:えっ……!? いつもはあんなに独占欲丸出しで『ご褒美くれ』ってうるさいカルトナージュが、今回はご褒美を求めないだと……!?

しかも心の中でめちゃくちゃ格好いいこと言ってるんだけど! 一体何があったのよ!?)


 私はカルトナージュの意外すぎる心の声を聞いて、目を見開いてびっくりしていた。 ミキラもミディティも下心をチラつかせていたのに、カルトナージュだけは「リリィーナのためなら人肌脱ぐ」なんて、超イケメンなセリフを心の中で呟いている。……まあ、実際顔は文句のつけようがない超絶イケメンなんだけどさ!!


 最後に、不機嫌そうに声を荒らげたのは、俺様ツンデレ王子のオフィカール様だった。


「そうだろ!! 俺たちはただ魔物からリリィーナを守っただけじゃねえか! 何も怪しまれる筋合いはねえはずだろ、

校長!」


(オフィカールの心の声:俺たちはなーんも悪いことしてねえし、疑いをかけられる筋合いもねえ。だって俺たちは、ただリリィーナと一緒にあの戦いを終わらせたんだからな。……本当のことを言えば、俺たちだけの力じゃ到底敵わなかった相手だ。だけど、リリィーナがいてくれたからこそ、あいつの光があったからこそ倒すことができたんだ!)


 校長先生にジロジロと見つめられ、居心地が悪くなったらしいオフィカールは、ついカッとなったように言い放った。けれどその言葉の裏には、ただ必死に私を信じ、守ろうとする熱い想いがあった。


(リリィーナの心の声:……な、何これ。オフィカール王子の言葉、めちゃくちゃキュンとくるのはなぜ……!?

しかも、こんなに優しくて熱い人だったっけ? ツンデレな態度はいつも通りだけど、こんなに真っ直ぐに私への信頼と思いをぶつけてくれる心の声は初めて……!)


 お上品に微笑みながらも、私の胸の奥はさっきまでとは違う意味でバックンバックンと大きく脈打っていた。 未だに、なぜ自分の耳に彼らの「心の声」が丸聞こえになってしまうのか、その呪いの謎は解けていない。 


けれど、今この瞬間だけは、四人の王子たちの本音――私をどこまでも大切に想ってくれる優しい心の声が聞けて、本当に良かったと心から思った。


「……ふむ。本当に守っただけなんじゃな。まあ、嘘はいけないよー? だが、

女子を守ろうとする君たちの強い意志と、彼女に恋をしているというのは

よーく分かった」 


四人の必死の弁明を聞いた校長先生は、フッと目元を和らげると、悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべた。


「去年もそうだったが、我が学園の王子たちは、どうしてこうも一人の女子にメロメロじゃのぉ。……リリィーナさん。もし一人を選ぶのが難しかったら、

いっそのこと四人全員を夫にしてしまっても構わんぞ? 法律の特例など、私がいくらでも手配してやろう。ふぉっふぉっふぉ!」


 国家の最高権力者から飛び出した

まさかの『逆ハーレム公認発言』。


 その瞬間、さっきまで格好つけていたミキラも、ミディティも、カルトナージュも、オフィカールも、全員が顔を耳まで真っ赤にして口を金魚のようにパクパクと開閉させ、完全にフリーズした。 


そして私はといえば、茹で上がったタコのように顔を真っ赤にしながら、心の中で夜空の向こうに向かって全力の悲鳴をあげていた。


(リリィーナの心の声:ふぁっ!? 待って、このお話の題名『卒業までに一人を選ぶなんて選べません!』なんですけど!? 四人全員選んでもいいなんて

前提から話が全く違いますわーーー!!! しかも校長が一番ノリノリで

応援モードになってるってどういうことなの!? ――ねえ、どうしたらいいのよ〜〜〜っ! 作者(神様)ーーーーーーっっっ!!!!!)


 物語の根底を揺るがす校長の斜め上の提案と、真っ赤になってこっちを見つめてくる王子たちの視線に耐えかねて

私はついに天(作者)に向かって救いを求める声をあげるのだった。


(だって、一人を選ぶお話なのに全員選んでいいなんて、本当にタイトル詐欺じゃありませんのーーー!?)

第77話をお読みいただきありがとうございました!王子たちがそれぞれのやり方(と下心や不器用な優しさ)で必死にリリィーナを守ろうとする姿に、書いていて私自身もキュンとしてしまいました。カルトナージュがまさかの無償のイケメンムーブを見せたり、オフィカールの真っ直ぐな信頼が聞けたりと、リリィーナにとっても少し心の変化がある回になった……と思いきや!まさかの校長先生からの「全員夫にしちゃえば?」という爆弾発言。これにはリリィーナも思わず、画面の前の私(作者)に直訴してきてしまいました(笑)。タイトル詐欺と言われても、こればかりは校長先生がノリノリなので仕方ありません……!四人全員が真っ赤になってフリーズしてしまいましたが、この後の校長室からの帰り道、一体どうなってしまうのでしょうか?【作者からのお願い】もし「今回のカルトやオフィ、格好良かった!」「校長先生ナイスアシスト!」と思ってくださったら、ぜひページ下部にある【いいね】や【ポイント評価(☆☆☆☆☆)】、【ブックマーク登録】で応援していただけると、第78話を書く大きな励みになります!次回もどうぞお楽しみに!

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