第76話『平穏なんて夢のまた夢。お説教タイムは般若の笑顔とともに』
いつも応援ありがとうございます!第76話は、前回のカオスすぎるグラウンドにミキラ様と先生たちが合流したところから始まります。般若の笑顔でお説教を始めるミキラ様ですが、王子たちの心の声はそれぞれ別の意味で大暴走していて……!?ぜひ最後までお楽しみください!
「……あなたたち、一体何をしてるんですか! 心配になって早く戻ってきたのはいいですが、この状況を説明お願いします」
ミキラはにっこりと、けれど完全に目は笑っていない「般若の笑顔」を作ったまま、こちらに向かって歩み寄ってきた。
その背後からは、連れてこられた先生たちからの無言のプレッシャーもひしひしと感じる。
あまりの恐怖に、私とカルトナージュ、配置についていたミディティは同時に息を呑み、ゴクリと喉を鳴らした。
「えーっと、なんですか……。カルト、褒美としてキスを迫るのは男としては最低だと思いますよ? もっといい方法が
あると思いますがー」
(ミキラの心の声:はぁ……。まぁ、そこがカルトらしいといえばらしいんですけどね。子供の頃からカルトはリリィーナに夢中でしたけど、成長してさらにぞっこんなのは本当に変わってないですね)
ミキラは深くため息を吐きながら、呆れつつも、変わらないカルトナージュの
重すぎる愛に半ば諦めの境地に達していた。
当のカルトナージュはといえば、
どこ吹く風で不満げに口を尖らせる。
「えー、でも女子って、こういう強引なのが好きなんじゃないの? 僕、そういう風に本で読んで勉強してきたからさー」
(カルトナージュの心の声:なんでそんなに怒るのかな、ミキラは。僕、そんなに悪いことしてる? むしろリリィーナが喜ぶことしかしてないと思うんだけどな……)
カルトナージュは一体自分の何がいけないのかさっぱり分からないようで、大真面目な顔で首を傾げていた。この天然腹黒王子、一体どこでそんな偏った知識を仕入れてきたのだろうか。
そしてミキラの冷ややかな視線は、足元でジタバタしているミディティへと
移る。
「ミディ? 疲れすぎて子供というか、
赤ん坊に戻ってしまったのですか? ……クスクス、そういう甘えは、リリィーナの前ではなく自分の部屋で一人でやったらどうです?」
「だってぇ、リリィーナちゃんがご褒美くれないだもーん! あと、お姫様だっこして僕の部屋まで連れてってくれないだもん!」
(ミディティの心の声:色々アプローチを試してきたけど、なんだかんだリリィーナちゃん、こっちに振り向いてくれないからさ。思考を変えて『あざかわ作戦』に出てみたんだよねー)
なんと、この赤ん坊返りは100%計算された作戦だったらしい。どうにかしてリリィーナの気を引きたくて必死なよう
だった。
(リリィーナの心の声:えっ、えええっ!? ミキラ様すら知らないミディの一面だったの!? まさかこれがホントのミディじゃないよね……? どれが本物の性格なのか分からなくて怖いわ!!)
完璧な淑女の笑顔を浮かべつつも、
私は目の前で「いやいや」と幼児退行しているミディティをじーっと見つめて戦慄するしかなかった。
そんな中、私の背後では、オフィカールががっしりとバックハグで抱きついたまま硬直していた。「オフィカール、いい加減後ろから抱きつくのはやめた方がいいですよ。寝ているなら尚更です」
(ミキラの心の声:昔はそんなことしなかったのに……。やっぱり、みんなリリィーナさんのことが好きなんですね。
──僕も、好きですが……)
ミキラはすっと私に歩み寄ると、他の王子たちを遮るようにして、眼鏡の奥の熱い視線で私をじっと見下ろしてきた。
エリアを引き離す素振りを見せながら、私にだけ聞こえるような低い艶のある声で、「僕のことも、ちゃんと見て
くださいね?」と耳元で意地悪く囁く。
(リリィーナの心の声:ひゃんっ!? ミ、ミキラ様までどさくさに紛れて男の顔をしてくんじゃねええ! 真面目にお説教してくれ! 心臓に悪いわ!!)
ミキラは説教をしている最中、兄弟たちがこぞって同じ女子にベタ惚れしている現状を、つくづく実感して内心複雑な気持ちになっていた。
しかし、ミキラに叱られているオフィカールの心の中は、別の意味で大パニックを起こしていたのだ。
(オフィカールの心の声:俺だって好意を持って抱きついてる訳じゃあねぇ!! なんで回した手が離れねぇんだよクソッ!! 早く離れろオレの手ーーーっ!!)
なんとオフィカール、実はとっくに目が覚めていたらしい。しかし、魔力の暴走か疲労のせいか、リリィーナを抱きしめた腕がガチガチに固まって離れなくなり、心の中で必死に叫んでいたのである。
「……あ、あの、王子たち。大変盛り上がっているところ非常に申し訳ないのだがね?」
ここで、ミキラの後ろでずっと呆然としていた先生たちの一人が、引きつった声でようやく口を開いた。
その視線は、王子たちのカオスな体勢を通り越し、夜のグラウンドで綺麗さっぱり消滅している
「かつてS級魔物だった場所」へと向けられている。
「四人の王子が一人の令嬢を奪い合っている凄まじい光景は一旦置いておくとして……。……国家転覆レベルの
『S級魔物』は、一体どこへ消えたんだね!?」
あ。 先生の一言に、グラウンドの
空気がピキッと凍りつく。 カルトナージュは私を掴んだままピタリと動きを止め、ミディティは幼児化の体勢のまま固まり、オフィカールは腕がロックされた状態で冷や汗を流し、ミキラの般若の笑顔がすっと真顔に戻る。
当然、私の心臓はバックンバックンと警報を鳴らし始めた。
(リリィーナの心の声:やっっっばい!!! オレの最強魔法で美しい光の粒にして消滅させちゃいました、なんて絶対に言えるわけなぁぁぁい!!!)
全員の視線が、一斉に私へと集まる。
「……ここでは話がまとまりそうにありませんね。先生方、この者たちを全員連れて、場所を移しましょう」
ミキラの冷徹な一言により、私たちは深夜の『学園長室』へと強制連行されることが決定したのだった。
(お願いだから、次回こそは……次回
こそは本当に、平穏な日常が戻ると思いたいですわーーーっ!!!)
私は引きつった笑顔のまま、心の中で本日一番の悲鳴をあげて夜空を仰ぐのだった。
第76話をお読みいただきありがとうございました!ミミディティの幼児退行が実は計算だったり、オフィカールの手が離れなくて焦る野生の心の声が発覚したりと、王子たちの個性が大爆発の回でした。そしてどさくさに紛れて独占欲を出してきたミキラ様……リリィーナの心臓がいくつあっても足りませんね!「王子たちのギャップが最高!」「オフィカールの心の声に笑った!」と思ってくださったら、ぜひ作品へのブックマークや、下の【☆☆☆☆☆】を評価(★★★★★)にしていただけると、執筆の凄まじい励みになります!次回の第77話(ついに先生たちからの追及編?)もどうぞお楽しみに!
投稿する曜日で投稿しょうかなと思っています
毎日見てくださる方いつも見ていただきありがとうございます。
理由は仕事しながら投稿してたんですが、仕事の方が忙しためです、すいません。
投稿する曜日は 火曜 水曜 木曜日 土曜日 日曜日
お休みする日 月曜日 金曜日です
私の都合で申し訳ないです
これからもリリィーナを物語をした作品を応援していだけたら嬉しいです




