第68話『絶体絶命が生む独占欲』
いつも『二重人格(お上品&最強魔法)な私も野生な私も四人の王子から溺愛中!』をお読みいただき、本当にありがとうございます!前回、オフィカールとミディティの「炎×雷」の合体魔法が大炸裂し、見事な大勝利を収めました!しかし、グラウンドの反対側ではカルトナージュとミキラが属性相性最悪の魔物を前に、未だかつてない大苦戦を強いられています。絶体絶命の二人の王子。そこへ、あの「置いてけぼり」にされて怒り心頭のあのヒロイン(?)が、凄まじいスピードで駆けつけます……!王子たちの心の声と本音のギャップにもご注目ください。それでは、第68話をお楽しみください!
グラウンドの反対側では、オフィカールとミディティがド派手な合体魔法を使って魔物を一掃していた。その華々しい光景とは裏腹に、こちら側ではカルトナージュとミキラが、最悪の相性を持つ
魔物を前に苦戦奮闘を強いられていた。
「へぇ……なかなかやるね。僕をここまで追い詰めるなんて、魔物のくせに生意気だよ……っ」
カルトナージュは膝に手を付きながら、はぁはぁと激しく息を荒くしていた。
その端正な顔は滝のような汗で滲み、まぶたを伝う汗のせいで、目を開けるのすらやっとの極限状態だった。
その頃、ミキラカーデは自身の魔力で生成した頑強な鎖を展開し、強大な魔物を縛り上げてどうにか動きを封じ込めていた。しかし、その拘束を維持するための魔力消費は凄まじいものだった。
ミキラは目を充血させ、歯を食いしばりながら、必死に魔物の猛攻を食い止めていた。
「……はぁ、はぁっ……! 去年までは、こんなに強い魔物には一度も遭遇してこなかったはずです……。もしかして、リリィーナさんが来てから、学園の何かが変わり始めているのでしょーか……!?」
ミキラの脳裏に、ふとある仮説がよぎる。もし、強力な魔物が現れるようになった引き金が、リリィーナの「覚醒」によるものだとしたら──。
──そのころ、当のリリィーナは、
とうとう廊下に置いてけぼりにされていた。王子たちから
「危険だから安全な場所に避難しろ」
と言われたからだ。
だが、そう簡単に逃げるような彼女ではない。
「か弱い私は安全なところに避難しろ、と? かっこよく決めゼリフを吐いて魔物に向かっていく……ふーん、それが王子たちの気持ち。……ふざけないで貰いたいわ。私、か弱くないし、戦うことくらいできるよ」
(心の声:上品ぶっていらっしゃる場合ですの!? あれ、わたくしを何だと思っていらっしゃるの。かっこよく決めゼリフを言えばいいと思って大間違いよ。普通は『一緒に戦おう』じゃあないの……!)
リリィーナは相当怒ったようで、避難
なんてするわけなく、魔物の出ている
現場まで直接行くことにした。完全に
王子たちに舐められていると思ったからだ。
「なめないでいただきたい。私は走るスピードだって、めちゃくちゃ早いのですわよ!」
凄まじい脚力で地面を蹴り、そそして一瞬にして魔物が出ている現場まで辿り着いた。けれど、そこに広がっていたグラウンドの光景は、見るに堪えないぐらいの惨状だった。
「カルト……! ミキラ……!?」
リリィーナが息を呑んで姿を現した瞬間、激闘を繰り広げていた王子たちは一斉にびっくりをして、あまりの驚きに動きが止まってしまった。
いち早く気づいたオフィカールが、驚愕の声をあげる。
「えっ、お、前……! 防御壁がある安全なところに行ったんじゃあねぇのかよ! ここは危ねぇから早く逃げろ!!」
(オフィカールの心の声:あともうちょい早よここに来れば、俺の格好いい見せ場が見れたのに……遅いぞリリィーナ!)
オフィカールは本気で心配して逃げろと言ったけれど、内心は来てくれたことがものすごく嬉しかったみたいだった。
一方、ミディティは自分の可愛い魔法少女のような服を見られて恥ずかしがりながらも、必死に敵を倒していた。
「リリィーナちゃん、僕のかっこいいところ見てくれた!? 待っててね、いっぱい倒した敵の宝石で、綺麗なドレスを買ってあげるから!」
(ミディティの心の声:わぁ、リリィーナちゃんに僕の可愛い服見られちゃった……! 恥ずかしいけど、可愛いって言ってくれるかなぁ……っ)
そんな二人を余所に、ボロボロのカルトナージュは目を擦りながら、まるで幻でも見ているかのような虚ろな表情を浮かべていた。
「えっ、ええ……? なんでリリィーナがここにいるの……? 僕は彼女に会いたくて、幻でも見ているのかな?
……多分、そうだよね」
(カルトナージュの心の声:会いたすぎて、僕はついに幻でも見ているのかもしれない。こんなにボロボロになることなんてないから、優しいリリィーナが迎えに来てくれたのかな……)
そしてミキラは、血走った充血した目でじっとリリィーナを見つめる。
「……リリィーナさん、なぜ貴方がここにいるんですか? 逃げ場(避難所)を使ったはずなんですけど……。目が充血しすぎて、リリィーナさんが真っ赤に見えますねぇ」
(ミキラの心の声:リリィーナさんが来たってことは、今起こっている強い魔物と彼女に何か関係がある証拠かもしれないですね。ちょっと協力して貰いましょうか)
そんな王子たちのそれぞれの視線を受け、リリィーナは眉をひそめる。
「ちょっと王子たち、そんな目で見ないでよ。私がここにいちゃあまずいわけ? ふーん、私も暴れようかな!」
(心の声:なんですの! その目は! まるで私の存在自体が信じられないって顔されてますわ! いやいや、もともと私を置いていった王子たちが悪いのよ!)
リリィーナは助けに来たのはいいけれど、王族たちの信じられないといった視線が痛くて、ちょっとイライラしていたのだった。
──その一瞬の隙を、不気味な魔物が見逃すはずはなかった。
「キィィィィィィッッ!!」
リリィーナが喋り出した途端、魔物が牙を剥き、彼女に向かって猛然と襲いかかってきたのだ。
「あ、危ない……っ!」
ドンッ、と激しい衝撃音がグラウンドに響き渡る。 攻撃を避ける間もなかったリリィーナの前に、カルトナージュが咄嗟に飛び込み、魔物の鋭い一撃をその身で受けてしまった。
「うぅ……っ。だ、大丈夫……?
リリィーナ……。怪我はなさそうだけど……あぁ、ちょっとだけ、顔に傷が着いちゃったなぁ……」
カルトナージュは自分の傷の痛みなど目もくれず、まずは愛しいリリィーナの身を心配した。しかし、リリィーナの白い頬にうっすらと赤い擦り傷が着いているのを見つめた瞬間──カルトナージュの瞳からすっと光が消え、底冷えするような暗い怒りが湧き上がってきた。
(次回、大切な人を傷つけられたカルトナージュが、凄まじい独占欲と怒りをあげて暴走しはじめる──!)
第68話をお読みいただき、ありがとうございました!自分のボロボロの身体よりもリリィーナの頬の小さな傷を心配し、そして理性を失うほどの暗い怒りを宿したカルトナージュ。普段は冷静なお上品王子が、大切な人を傷つけられて見せる【独占欲の暴走】……一体どんな戦いになってしまうのでしょうか!?次回、カルトナージュの怒りの覚醒と、それを見守るミキラたちの動向から目が離せません!(心の声:リリィーナちゃんのヤンキー風の心の声も、相変わらず絶好調ですわ……!)少しでも「面白い!」「カルトナージュのブチギレ姿が楽しみ!」と思ってくださったら、ぜひ画面下のほうにある【ブックマーク登録】や、【評価の星(★★★★★)】をぽちっと押して応援していただけると、執筆の凄まじい励みになります!感想や「こんな展開が見たい!」というコメントもお気軽にどうぞ!次回もお楽しみに!




