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第49話 吹っ飛ばされた王子たち

いつもお読みいただきありがとうございます!前回、怒れる最強の白猫ラトラの「世界崩壊級猫パンチ」によって、盛大に吹き飛ばされてしまった4人の王子たち。煙が晴れた廊下で、彼らの身に一体何が起きたのか……!?そして後半、物語の根幹を揺るがす『予想外の新展開』が開幕します!ぜひ最後までお楽しみください!

ドガァァァァァンッ!!!!


 怒れる最強の白猫ラトラが放った渾身の猫パンチによって、4人の王子たちは一瞬にして、長い廊下の遥か向こうの

壁まで吹き飛ばされた。 その周辺は、一体どれほどの威力が込められていたのか、ゴホゴホと白煙が激しく立ち込めている。


 私が目を細め、漂う煙の向こうを少しずつ覗いてみると……。

「……嘘でしょ?」 そこには、

吹き飛ばされた4人の王子たちの形が

【くっきり】と残る、見事な人間型の跡が壁に刻まれていた。 


しかも、全員が両手両足を大の字にパッカーンと開いた感じの、なんともマヌケな格好の跡である。


「あぁっ、いってぇーーっ!! クソ、猫ってあんなに強いかよ!? ……

ちげぇ、これはラトラの仕業だ!!」 ガラガラと壁の破片を崩しながら、最初に這い出してきたのはオフィカール王子だった。 


最初は普通の猫だと信じ込んでいた彼だったが、今しがた全身に浴びた

「世界崩壊級のパンチ」の規格外すぎる威力を体験し、ついにその猫の中身が

ラトラであると気づいたのだ。


(オフィカール:『やっと普通に猫に触れたと思ったのによぉ! おかしいと思ったんだよ、この俺様が猫に逃げられずに触れる時点で、中身がアイツ以外に

いるわけねぇだろっ!!』)


 オフィカール王子の悔しそうな心の声が、私の脳内に丸聞こえで響き渡る。 気づくのが早い! さすがは意外と勘が鋭い野生派王子である。


 一方、そのすぐ横では、ミディティ

王子が文字通り「バタンキュー」の状態で倒れ伏していた。 ぐるぐると目を回しながら完全に白目を剥いており、自力ではまったく起き上がれなくなって

いる。 


さらにその横では、カルトナージュ王子が、自分が派手にめり込んだ壁の跡をじっと見つめながら、

「凄まじい跡がついたなぁ……」と、今起きた大惨事をどこか冷静に分析して

いた。


「まさか猫に飛ばされる……いや、

ラトラ猫にぶっ飛ばされて、かえって目が覚めたよ。お陰様で、なんだか猫へのトラウマがちょっと消えた気がする」 


カルトナージュ王子は服のホコリを払いながら、少し耳を赤くして視線を

逸らした。

(カルトナージュ:『リリィーナに

あんな姿を見られるなんて複雑だなぁ……。猫を怖がって情けなく取り乱す僕の姿なんて、一番見られたくなかったのに……っ』)


 そんな中、キミラカーデ王子は爆風でボサボサになったトレードマークの髪を、手櫛でスッと後ろへ整えていた。 けれど……。

 なんだかいつもと雰囲気が違う?

 いや、顔立ちが……? ――ちょっと待って。誰、これ!? キミラカーデ王子じゃあない!? 前髪を整えただけで、見違えるほどの絶世の美形へと変貌を遂げたその姿に、その場にいた全員がただただびっくりして言葉を

失っていた。


 私――リリィーナでありラトラの白猫は、思わず猫語で声をあげる。

「にゃ!!? にゃにゃなぁ!?」

(ラトラ:『なんですのあの方は!? わたくし、確かに世界崩壊級の力はありますが、あんなに美形に変えるほどの整形魔法は使えませんわ! キミラカーデ王子と思えないほど、まるで違う人みたいですわ……!』) 


ラトラの心は驚きつつも冷静に状況を判断しようとしていたが、自分が無意識に発した『違う人』という言葉に、何か奇妙な引っかかりを覚えていた。


 オフィカール王子は目の前で起きている現状がまったく受け入れられないようで、開いた口が塞がらない状態に

なっている。

「お、お前……っ! 一体何があったらそんなに美形になるんだよぉぉ!?」

(オフィカール:『確かに、キミラカーデが髪を下ろしたところとか、メガネを外したところなんて一度も見たことはねぇけどよ……。人間、前髪とメガネがなくなっただけであんなに別人に化けるものなのかよ……っ!?』)


 その時だった。 カルトナージュ王子がハッと何かに気づいたように目を見開いた。


 彼の脳裏に、かつて国を揺るがした

『ある存在』の記憶が、濁流のように駆け巡る。今目の前にいる少年の美貌は、その記憶の中の顔と、あまりにも残酷なほど酷似していたのだ。


 カルトナージュ王子の顔はみるみるうちに血の気が引いて青ざめていき、信じられないような、けれど信じたくないような、絶望の表情を浮かべていた。


 学園の空気が一変する中、

キミラカーデ……否、彼はとうとう髪を下ろし、メガネを拭きながら、こちらがその正体に気づいたことを察したようだった。


「……はぁ。まさか、こんな形でバレるとは思いませんでしたね。

卒業の日まで、完璧に隠し通せると思っていたのですが……。あなた方にここまで見られた以上、仕方ありませんね」


 少年は、いつもの陰気な口調とは全く違う、どこか不敵で、けれど酷く甘やかな声で呟く。


「僕はキミラカーデと名乗っておりましたが――本当の僕の名前は」


 まさかの、キミラカーデの名前を被っていた謎の少年は、一体誰なんでしょうか? 4人の王子から溺愛されるはずの学園生活に、あまりにも予想外で危険な『真実』が開幕しようとしています。

(第50話へつづく)

第49話をお読みいただきありがとうございました!前半のドタバタ猫パンチから一転、キミラカーデ王子がまさかの『偽物』だったという衝撃のラスト、いかがでしたでしょうか……!カルトナージュ王子が顔を青ざめさせた、過去の記憶とは? そして、少年の口から明かされる本当の名前とは――!?次回、ついに大台の【第50話】に突入します!物語の大きな転換点となる記念すべき回になりますので、ぜひ楽しみに待っていてください!面白いと思っていただけたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆)で応援していただけると、毎日の執筆の大きな励みになります!

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