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第44話「王子たちの作戦」・「主人公の視点」

第44話をお読みいただき、ありがとうございます!前回、カルトナージュ王子の怒涛の10分間キスによって、最強の野生児・ラトラちゃんがまさかの降参……!そして目覚めたリリィーナちゃんは、記憶がないのに唇に残る生々しい余韻に大混乱のまま逃げ出してしまいました。今回は、残された王子たちの「不穏(?)な作戦会議」と、家に逃げ帰ったリリィーナちゃんの視点の二本立てです!王子たちが大真面目に決めた、とんでもない「3つのルール」とは……!?どうぞお楽しみください!

【前半:王子たちの作戦】

あれから、リリィーナが

猛スピードで走り去っていった後の出来事だ……。


何やら王子たちはぞろぞろと

空き部屋に移動すると、手慣れた様子でホワイトボードを引っ張り出し、席に着き始めた。


どうやらこの場を仕切るのは、カルトナージュ王子がする

みたい。ちょっとその様子を

覗いてみようか? チラっ。


「じゃあ、これからリリィーナ&ラトラに恋に落ちてもらう作戦だけど……まずは、ラトラの

対策をしようか」


ホワイトボードの前に立った

カルトナージュが、ペンを片手に一同を見回す。


「えーとまず、今日はどうしてラトラになってしまったのか、理由が分かる人?」


その問いかけに、真っ先に元気に手を挙げたのはオフィカール王子だった。


「今日は俺が当番だったからな! 俺様が分からないとでも思ったのかぁ? 

……って言いてえところだけど、じゃねえんだな。今日は

野生リリィーナを追いかけるのに必死で、疲れたと思ったら

姿を消して、木の上に

いたんだ」


「あはは、木登りかぁ。そこはちゃんとリリィーナちゃんだよね。さすが運動神経がいいから、木登りできちゃうじゃん」ミディティがクスクスと笑いながらお転婆な彼女を褒め

始める中、キミラカーデだけは


「なんという失態……あのお方を解剖……調査したかった……」と、まだ激しく現実逃避を行っていたため、完全に上の空って感じだった。


カルトナージュは呆れ顔で

ホワイトボードにトントンと

ペンを打ち付ける。


「木登りかぁ……リリィーナらしくてさすがだけど、監視から

距離が離れ過ぎたらアラームが鳴る予定

だったよね? オフィカール、防衛魔法のブレスレットはどうしたの?」


「あぁ、アラームが鳴ったから急いで向かったんだ。そしたらさ……(ゴゴゴオォ!)あいつ、お茶でブレスレットを破壊しやがったんだぜ! 俺たちの

お母様が作った、あの頑丈なブレスレットが壊れたんだ……!」


「えっ! 嘘でしょ!?」


ミディティは机をバンっと叩き、びっくり仰天して立ち

上がった。


「お母様たちが作ったあの

ブレスレットが、お茶だけで壊れるなんて……!? だって、ラトラちゃんの魔法は最強な

はずじゃん! 魔法で壊すならともかく、お茶だよ!?」


「しかもだぜ! ブレスレットをお茶で壊した瞬間の、野生リリィーナの俺を見下ろすあの目が一番腹たったわ!」


オフィカールは思い出すだけでも怒りが湧いてくるのか、

顔をぶすっとハブて(拗ねて)させている。


「で、オフィ兄様、その後

どうなったの? リリィーナ

ちゃんは」


「ふん! 俺を置いてさっさと屋上に行ってたよーだ、

フンッ!」


ミディティはようやく話が繋がってきたぞ、と「なるほど」という顔をした。


「それで屋上にリリィーナちゃんがいたんだね。カルトお兄様がそこに駆けつけたんだ。

ようやく話が見えてきた

じゃん!」


一方で、上の空だったはずの

キミラカーデは、なぜかブツブツと独り言を言いながら、

リリィーナの行動パターンや

魔力回路の予想図をホワイトボードに凄まじいスピードで描き始めていた。


それを見たカルトナージュは、何かにハッと気づいたように目を見開く。


「……そのお茶、多分リリィーナのお母様特製のお茶だと思う。あれには魔力をコントロールする薬や、人格が入れ替わりにくくするための薬が入って

いるんだ……。――なるほど、そういう事か!」


カルトナージュの言葉に、王子たちの視線が集中する。


「リリィーナの魔力が強すぎるせいで、普段からコントロールが上手くいかないんだ。

そして僕たちのお母様が作ったブレスレットは、彼女が僕たちから離れると鳴るし、

魔力を抑える機能が

入っている。……だとすれば、

ブレスレットにお茶がかかったことで、お茶の『薬の成分』とブレスレットの『魔法の機能』が一緒になって、反発して故障したんだね。今、リリィーナがお茶を飲んでいないってことは、入れ替わりと魔力のコントロールが効いていなかった

から、ラトラに変わった

んだよ、ラトラの場合は機嫌を取らないといけないって

こと」


カルトナージュの見事な

推理に、オフィカールはまだ納得がいかない様子で

噛みついた。


「じゃあなんだよ、ラトラ機嫌ってわかるように教えろよ

カルト!」

オフィカールは机をバンっと叩いて立ち上がる。


「機嫌……? カルトお兄様、リリィーナちゃんの場合は普通に接していいんじゃない? 

ラトラちゃんに変わった

時だけ、機嫌取りが必要って

こと?」


ミディティは考え込みながら、必死にカルトナージュの話に

食らいつこうと頑張っていた。


キミラカーデは相変わらずブツブツ言いながら、

ホワイトボードの端に

しっかりと、

【……リリィーナさんはいつも通り……ラトラは機嫌取り必要】と、分かりやすくまとめて

書き記していた。


「そう」とカルトナージュは

頷く。

「リリィーナの時には、特に

気を付けることはない。だけど問題はラトラだね。僕たちに

出会った時はまだイラッとしていなかったから、その後に何かあって苛立ちが増して、魔法を使おうとしたんだろうね。

もしラトラの機嫌を悪くしたら、今日見たように何を

しでかすか分からないよ」


話し合いは綺麗にまとまり、

明日からの作戦ルールは

こう決まった。【作戦ルール】1.リリィーナの時は、

必ずリリィーナのお母さん

特注のお茶を飲ませること


2.ラトラに変わった場合、

絶対に怒らせない、苛立ちを

させない(全力の機嫌取り)


3.もし暴走し仕掛けたら――即、キス直行


「で、いいかな?」カルトナージュが不敵に微笑むと、

他の王子たちも力強く頷いた。「おうよ!!」「おけーっ♡」「わかりました、データを取ります」


(自分たちの熱い独占欲や、心の中の下心がリリィーナにすべて『丸聞こえ』になっているとは、この時の王子たちは夢にも思っていなかったのである……)


【後半:主人公の視点】

王子たちの恐ろしい作戦が綺麗にまとまっている中、逃げ出した私、リリィーナはというと

――。


「はぁ、はぁ……! なんなのよもう! しかも、なんでお弁当は!? 授業は!? 色んな

意味で、本当にわけが分からないよ……!」


私は走りながら、パニックで

顔を真っ白(白面層)にしな

がら、一目散に家へと向かっていた。


カルト王子に何されたか全く

記憶はないのに唇だけが生々しく熱くて、心臓が爆発しそうだ。バタバタと玄関に

駆け込み、靴を脱ぎ散らかして廊下を走る。


「ただいまぁー! 

帰ったよー! お母さん〜〜、お弁当美味しかったよ(?)」


記憶はないけれど、とりあえずお礼を言おうとお母さんのいるキッチンへ向かった。すると、お母さんはいつも通りに会話すると思いきや、私の顔を見た瞬間にピキッと料理の手を

止めて、ものすごい勢いで

こっちに向かってきた。


「リリィーナおかえり。……って、あなた、今日もお茶ちゃんと飲んだ〜? 飲まないと魔力のコントロールが上手くいかないって……待って。リリィーナ、今日お茶飲んでないでしょ!」


「な、何お母さん、急に怖い顔して! たしかに今日は飲む暇がなくてお茶飲んでないけど、

それくらいで大袈裟だよー!」


「大袈裟なことじゃないわよ! リリィーナ、ここに着くまで何分で着いたの?」「えっ? えっと、学校から全力で走って20分? かな。何急に……学校を出たのは14時頃だけど……?」不安そうな顔をする

私に、お母さんは頭を抱えてため息を吐いた。


「やっぱりね。リリィーナ、

あなたお弁当の時間からずっと記憶がないんでしょう?

 さっき学園の先生から、

お母さんのところに連絡が

あったのよ」


「えっ、先生から!? な、何か言ってた……?」


「『リリィーナさんが誰も解けないような難解な魔法数式を完璧に解いて、14時に帰られ

ました!』って大絶賛の

連絡よ。


でも、先生に煽られたことで、あなたの中のラトラが相当イライラして問題を解いていた

みたいね」


「えええっ!? ラ、ラトラが問題を解いたの!?」「ええ。しかも先生の話だと、教室を出た後にチャラチャラした男子

生徒に絡まれて、

ラトラの苛立ちが完全に限界に達したみたいって……。

あなた、その後に王子様たちに会ったんじゃない?」


お母さんの言葉に、私の脳裏にあの瞬間の記憶――カルト王子の腕の中に閉じ込められていた時のことがフラッシュバック

した。

(……う、嘘……。じゃあ、

ラトラが怒り狂って最強魔法で学園を爆破しそうになっていたところに、カルト王子たちが

やってきて……。……あ!)


そこで私は、目覚めた瞬間に流れ込んできた、カルト王子のあの不健全すぎる『心の声』を

思い出した。『今日のキスの

余韻、まだ残ってるかな?』

『僕の味だけで塗り潰して

あげたいな』


(……ま、まさかカルト王子、

暴走しかけたラトラを止めるために、あんな濃厚なキスをしたの……!?)


すべての点と線が繋がってしまった。だけど、だけどさぁ!!!


(……って、ちょっと待ってよカルト王子!! ラトラの暴走を止めるためだからって、10分間も濃厚なキスをする必要がどこにあるのよーーー!?

 それ、絶対にラトラを止めるっていう建前を使った、ただの下心全開な男子じゃないのーーーっ!? 記憶は一ミリもないのに、唇だけが生々しく熱くてカルト王子の味が残ってる

なんて……これじゃ明日から、

一体どんな顔して王子たちに

会えばいいのよぉぉぉーーー!!!(大発狂))


自分を落ち着かせるための

お茶をがぶ飲みしながら、

私はベッドにダイブしてゴロゴロとのたうち回るのだった。

明日からの登校が、恐怖で

しかない。


(※翌朝、王子たちが

「暴走したら即キスルール」

を引っ提げて待ち構えている

とは、この時のお転婆

リリィーナはまだ

知る由もないのである――)

(第44話 終わり)

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!王子たちの作戦会議、ホワイトボードまで出してめちゃくちゃ本気でしたね(笑)。キミラカーデ王子は相変わらず通常運転の変態(天才)っぷりですが、カルト王子の「暴走したらキス直行」というルール、下心が隠しきれていません……!そしてお母さんの口から明かされた、ラトラちゃんがイライラしていた真相。カルト王子のキスの理由がわかった時の私の思ったことは

どうしたらいいのーーー!?って感じでした

自分の本音(心の声)がリリィーナちゃんに丸聞こえだとは知らない王子たちと、明日からその爆音の下心を喰らうことになるリリィーナちゃん。次回、第45話はいよいよ「恐怖の登校日!王子たちの完璧な包囲網」が始まります!もし「今回のツッコミ最高!」「王子たちの作戦不健全すぎる!」と思ってくださったら、ぜひブックマークや評価、感想で応援していただけると執筆の励みになります!次回もどうぞお楽しみに!



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