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第42話「勝負の行方」

いつもお読みいただきありがとうございます!さかやさらです。前回の第41話、カルトナージュ様の「キス魔」発言の引きで終わりましたが……。なんとラトラ様、イライラしていたはずが、いつの間にか「キスに動揺しない勝負」としてカルトナージュ様に挑んでしまいます。最強の王子すらへたり込むカルト兄様のお仕置きタイム。果たしてラトラ様は、腕を封じられた状態で勝つことができるのでしょうか!?

「そ、そんなに近づいても、わたくしは負けませんわ! き、きすなんかで動揺なんか、絶対にいたしません!!」


カルトナージュ様がどれだけ顔を近づけてきても、ラトラは強気の姿勢を崩さなかった。……と、ここで何かを忘れてはいないだろうか?

ラトラはついさっきまで、色んな意味で「苛立っていた」はずである。


それなのに、カルトナージュ様にグイグイと迫られ、さらには顎をクイッと持ち上げられているうちに……なぜか苛立っていたこと自体を綺麗さっぱり忘れてしまっている気がする。


いつの間にかラトラの頭の中は、

「この男にどうやって勝つか」という

勝負論にすり替わってしまっていた。


「ねぇラトラ、負けるとわかっていて私に挑むのかい? 勝負はすでに、ついていると思うけれど?」


カルトナージュ様が、余裕の笑みを浮かべて囁く。

(もう、あの時のように容赦なくするつもりはなかったけれど……今回は相手がラトラだからね。もし本気で怒らせてあの魔法(物理)なんかを使われたら、学園が壊される怖さもある。それなら、ちょっと変わったアプローチをしてみようかな)


「おほほっ、わたくしが負けますの!? そんなことあるわけありませんわ!

実際、王子たち全員でかかってきても、わたくしには敵いませんのに!」


ふん、と鼻を鳴らすラトラ。


(わたくしがこんなことで負ける? そもそも、わたくし人生で一度も負けたことなんてありませんのに。一体どうやって負けるというのかしら? 魔法でも使われるのかしら?)


ラトラが内心で首を傾げているその背後では、とんでもない光景が広がっていた。なんと、ミディティ、オフィカール、キミラカーデの三人の王子たちが、カルトナージュ様の

「過去のお仕置き時間」を思い出しただけで、揃って足がガクガクと震え、腰に力が入らなくなってその場にへたり込んでいたのだ。


あの最強の王子たちが、完全にトラウマを刺激されている。そんな味方の惨状など露知らず、カルトナージュ様はさらに妖しく目を細めた。


「前はキスだけで終わらせていたけれど、今度は少し違うことをしてみようか。……そうだね、こうして両腕を上に上げてしまえば、いくら君でも抵抗できないでしょう?」


「なっ……!?」カルトナージュ様の

長い指が、ラトラの両手首を優しく、

けれど絶対に逃がさない強さで頭の上へと固定する。


「あとは、デリケートな耳元に熱い吐息を吹きかけたり……甘い言葉でじっくり翻弄したら、君は一体どうなってしまうのかな?」


「ひゃっ……!? み、耳元で喋らないでくださいまし! そんなことで、わたくしは屈しませんわ!」あまりの至近距離からの猛攻に、ラトラの口から思わず可愛らしい悲鳴が漏れる。


(な、なんなんですのこれ……! 甘い言葉を囁かれるだけで、身体の力が抜けてしまいそうになりますわ……っ。これが、この男のアプローチというやつですの!?)


「ふふ、ラトラは本当に威勢がいいね。その威勢、一体どこまで続くのかな?」カルトナージュ様が、楽しそうに喉を鳴らした。


(ふふ、やっぱりラトラはやりがいがあるなぁ。その威勢のいい口から言葉が出なくなるくらい、とろとろに甘やかしてあげたいな)


「……っ!? んんんっ!!!」反論しようと開いた唇が、一瞬で彼の熱い唇によって塞がれた。強引に、けれど吸い付くような深い口づけ。


(な、にこれ……っ! 口の中で、お互いの舌が激しく混じり合って……っ。逃がそうとしても、すぐに捕まえられて絡め取られてしまう……! なのに、耳たぶに優しく触れられながらキスされると、頭が真っ白になってしまいそうですわ……!)


「んんぅ、んっ!!!」わたくしは絶対に負けない。そう自分に言い聞かせ、

頭上で固定された手をグイグイと動かして彼を突き放そうとする。少しだけ隙間ができて口が離れても、その度にさらに強い熱が襲いかかってきて、息が満足にできない。


(──ダメですわ、これでは勝てませんわ……! でも、わたくしは知っていますの。どんなに強い男子にも、一箇所だけ絶対に弱い『致命的な弱点』があるということを……! 股のところを足で狙えば、男子はどんな強者でも痛さで動けなくなりますわ!)


「ん……どうしたの? 急に静かになったね。……もしかして諦めたのかい? 大人しく降参する?」


キスを少しだけ離し、勝ち誇ったような、とろける笑顔で問いかけてくるカルトナージュ様。


「し、しませんわ! こうすれば良かったんですわ!!」


わたくしは、全力の筋力をその右足に

集中させ、カルトナージュ様の股間を目がけて思いっっっきり足を振り上げましたわ。


これで見事命中し、カルトナージュ様が悶絶して崩れ落ちる瞬間が、完全に脳内で想像できた──はずでしたのに。


「なっ……! ?」ゴブシャッ、という

鈍い音は響きませんでしたわ。


なぜなら、わたくしが渾身の力で振り上げたはずの足は、彼の大きな手によってガシッと完璧に受け止められていたからです。


「ちょっと焦ったね? まさか、男子の急所を的確に狙って来るとは

思わなかったな」


カルトナージュ様は片手でわたくしの足首を掴んだまま、微塵も揺らがない美しい笑顔でクスクスと低く笑った。

その瞳の奥にある独占欲が、さらに色濃く、妖しく燃え上がる。


「……でも、それだけ暴れる元気がまだあるみたいだ。ふふ、いいよ。君がその気になるまで、じっくりと、

何度でもお相手してあげるからね?」


(わ、わたくしの全力の蹴りを受け止めるなんて……!? この男、一体どうなっていますの……っ!?)


頭上では両手首を固められ、下半身の自由まで奪われてしまったラトラは、人生で初めて「本当の絶体絶命」という言葉を身を以て理解したのだった。

(第42話 終わり)

第42話をお読みいただきありがとうございました!ラトラ様の男前すぎる「股間への全力キック(物理)」が炸裂するかと思いきや……なんと、カルトナージュ様がそれを片手で完璧にキャッチ! 怒らせると本当に手がつけられないカルト兄様、強すぎます……!両手両足を完全に封じられ、退路どころか身動きすら一切取れなくなってしまったラトラ様。人生初の敗北の危機に、一体どうやってこの窮地を脱するのでしょうか!?(そして後ろで腰を抜かしている3人の王子たちは助けに来てくれるのか……笑)続きが気になった方、カルト兄様ドSで最高!と思ってくださった方は、ぜひ評価やブックマーク、感想などで応援していただけるとめちゃくちゃ励みになります!次回、第43話もお楽しみに!

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