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第38話令嬢の正体は…ラトラ

いつも『天然令嬢(物理)』をお読みいただきありがとうございます!前回の第37話では、カルトナージュ王子とミディティ王子に包囲されたリリィーナが、なんと突然倒れて上品な別人に豹変してしまいました……!今回は、その中に眠るもう一つの人格「ラトラ」が本格始動します。普段の野生児リリィーナとは180度違う、完璧な(?)お嬢様っぷりに大混乱する王子たちをお楽しみください!それでは、第38話スタートです!

「君は一体誰なんだい?」


カルトナージュ王子の張り詰めた声が、静かな屋上に響く。

(あのお転婆なリリィーナ

なのかな……? それにしてもお嬢様って感じの喋りだねー? 魔力を解放した訳でも無さそうだけど……)


「リリィーナちゃん? そんなさっきまでお転婆だったのに、どうしちゃったの?」

ミディティ王子も、困惑を隠せない様子で私を見つめている。


(なんか不思議……こんなお上品な立ち回り、冷静な判断、ましてやリリィーナはそんなお上品ではないはずなのに)


向けられた二人の視線を受け流し、私は──いいえ、私の中に眠るもう一つの

人格『ラトラ』は、小さく首を傾げた。


「いかがなさったの? わたくしを見つめられたら照れますわーっ」


そう、わたくしはラトラ。急に

リリィーナと変わってしまったけれど、中身はちゃんとラトラだし、姿はリリィーナ。それにしても、王子達は何故このように固まっているのかしら?私は

フワリとドレスの裾を持ち上げ、

完璧な淑女のカーテシーを披露

する。


「申し遅れましたわ、わたくしの名前はラトラ。リリィーナの意識がないため、わたくしが前に出てきましたの」


「ラトラ令嬢、あなたは巨大な魔法を使いますね? 今ただ入れ替わっただけ

なのかな?」

カルトナージュ王子の目が、鋭く私を

観察する。彼の背中からは、

冷や汗がダラダラと流れていた。


(この不思議な魔力……優しい魔力だけど、怒らせたら間違いなくこの学園が無くなるぐらいの魔力がある。

だからこそ、怒らせないように慎重に

言葉を選ばないと……っ!)


そんなカルトナージュの焦りを察してか、ミディティはラトラの放つ底知れない魔力に完全に圧倒されていた。

すでに口を開くこともできず、その場に立ったまま足をプルプルと震わせて

いる

そこへ、バタン!


と屋上の扉が勢いよく開いた。


「はぁ、はぁ……っ! 待ちやがれ野生リリィーナ!! 宇治抹茶で国家機密を

壊すな!!」


泥だらけで服が汚れててるオフィカール王子が、息を切らせて飛び込んでくる。


彼は今度こそ捕まえてやるという

ギラギラした目で私を睨みつけた──が、その場に漂う異様な空気にピタリと動きを止めた。


「……あ? なんだよこれ。

カルトにミディティ、お前らなんでそんなにビビって……。っていうか

リリィーナ、なんでそんな、借りてきたお嬢様様みたいに背筋伸ばしてんだ?」


「お初にお目にかかります、

オフィカール殿下」ラトラは極上の

微笑みを向ける。


「なっ……!?!?!?!?」


オフィカールの顎が外れんばかりに

開いた。頭を抱え、冷や汗を流す3人の王子をよそに、ラトラの視線は床に広げられたお弁当へと向いた。


リリィーナが用意した

『肉厚ジューシー唐揚げてんこ盛り弁当(総重量1キロ)』である。


「あら……。あの子、こんなに美味しそうなものを残して眠ってしまったのですね。お行儀が悪いことですわ。仕方がありません、わたくしが代わりに美味しくいただきましょう」


ラトラは優雅にお箸を取り出すと、

まるで高級フレンチを頂くような気品で、巨大な唐揚げを上品に口へと

運んだ。

「──美味、ですわね」


ゴクリ、と王子たちの生唾を飲み込む音がシンクロした。中身がお上品になっても、胃袋と身体能力はリリィーナの

ままである。


「……ねぇ、ラトラちゃん。それ、本当に全部食べるの?」プルプル震えるミディティが恐る恐る尋ねる。


「ミディティ王子さん、淑女の食事をジロジロ見るものではありませんわ。

……さあ、お腹も膨れましたし、

わたくしはこれでおいとまさせていただきます」


「待て! その状態でどこに行く気だ!」


カルトナージュが手を伸ばす。しかし、ラトラはフワリとステップを踏んでそれをかわすと、屋上のフェンスへと足をかけた。「皆様、楽しい時間をありがとうございました。ごきげんよう」

そう言い残し、ラトラは完璧に優雅な

姿勢のまま、3階建ての校舎の屋上から軽やかに飛び降りた。

「「「おいぃぃぃぃぃぃぃぃーーーっっっ!!!???」」」


屋上に、王子たちの絶叫が校舎に

響き渡っていた。

(第38話 終わり)

第38話をお読みいただき、ありがとうございました!ついに目覚めてしまったもう一つの人格、ラトラ。所作は100点満点の淑女ですが、中身(魔力)は学園を消し飛ばせるレベルのバケモノでした。しかもお上品に1キロの唐揚げ弁当を平らげた挙句、優雅に屋上からダイブしていくスタイル……。ミディティ王子は恐怖で足をプルプルさせていましたが、果たして飛び降りたラトラ(リリィーナ)の運命は──!?続きの第39話では、屋上から飛び降りた先での大騒動後第4王子キミラカーデ王子をを描く予定です!【作者からのお願い】

「ラトラのお上品ダイブに笑った!」

「王子たちの焦り顔がもっと見たい!」と思ってくださった方は、ぜひ下にある【☆☆☆☆☆】の評価ボタン(星をタップ!)や、ブックマーク登録で応援していただけると励みになります!感想などもお気軽にいただけるとめちゃくちゃ嬉しいです!

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