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第36話監視なんていらない!

いつもお読みいただきありがとうございます!前回の第35話では、監視ライフ初日の朝からリリィーナちゃんの野生の爆走が炸裂!馬車や車を軽やかにジャンプして進むリリィーナちゃんに置いてけぼりにされ、オフィカール王子は朝から満身創痍で教室に倒れ込みました。第36話となる今回は、授業中もべったり監視してくるオフィカールに、リリィーナちゃんが「監視なんかいらない!」と反旗を翻します。お母さんの野生児アドバイスを頼りに、お昼休みの脱走を企てるリリィーナちゃんですが……お母様特製のあの「ヤバいアイテム」が、とんでもない牙を剥くことに!? どうぞお楽しみください!

朝からクラスメイトたちの

「あの令嬢が王子をボロボロに……」

という視線が痛い。


だけど、誰に何と思われようと、

王子たちにべったり監視されるのなんて絶対にヤダ!私はぷいっと窓の方を向いて、気持ちを切り替えて授業に集中しようとした。


……けれど、真横から刺さるような熱い視線を感じて、どうしても授業に

集中できない。

恐る恐る目線の先を確かめてみると、

そこには案の定、私をじーーっと穴が開くほど見つめ続けているオフィカール

王子の姿があった。


だけど、オフィカールは朝の全力疾走のダメージがまだ残っているらしく、

机に肘をつきながら

「はぁ、はぁ……」

と肩を上下させて荒い息を吐いている。


それでも右手には例のリモコンをぎゅっと握りしめ、目線だけは執念深く私に向けられていた。


(はぁ、はぁ……っ! クソ、まさか朝の登校だけで、こんなに疲れるほど爆走しやがるとは思わなかったぜ……っ。監視ってこんなにキツい任務

だったのか……!? いや、違う、相手が『野生リリィーナ』だからだ! 普通の

令嬢相手ならこんなに

疲れねぇ……っ!)

※王子、気づくのが遅いです。あなたの担当相手はアマゾンの野生児並みの身体能力なんですよ。


そんなオフィカールの心の苦しみをよそに、授業の終わりを告げるチャイムが

学園中に鳴り響いた。

キーンコーンカーンコーン……。

昼休憩! そう、ついにやってきた!


この鬱陶しい監視から合法的に逃げられる、ちゃんとしたチャンスの時間だ!

せっかくの昼休みくらい、誰にも邪魔さ

れずにゆっくり過ごしたい。


そういえば、家を出る前にお母さんがこんなことを言っていたのを思い出す。

『リリィーナ、もし学園でゆっくり過ごしたいお気に入りの場所が見つからなかったら、木の上に登るといいわ。

風が通って涼しいし、とっても心が安らぐのよ?』

(お母さん、やっぱり学生時代に木の上で過ごしてたのね……)


と心の中で突っ込みつつも、私は

お母さんのアドバイス通り、今日は

誰も来ない静かな木の上でゆっくりお

弁当を食べようと決めた。


だけど、隣のオフィカールは疲れ果てているくせに、私から絶対に目を逸らそうとしない。どうやって撒こうかとタイミングを計っていると――その時、オフィカールが疲労の限界を迎えたのか、

ほんの一瞬だけ、ガクッと力尽きて下を向いた。


「今だ……!」


そのコンマ1秒の瞬間を、私の野生の勘が見逃すはずがない。私は椅子から立ち上がると同時に、猫のように完璧に足音を消して、オフィカールの視界から文字通り煙のようにシュッと教室の外へ逃げ出したのだった。


◇「ふぅ……! ここなら誰も来ないし、すっごく涼しい!」


オフィカールを完璧に撒いた私は、学園の裏庭にある一番大きな大木へとスルルッとしなやかに登り、太い枝の上にちょこんと腰掛けた。


お母さんの言った通り、木の上は風が通り抜けて最高に気持ちがいい。


「やっぱり私に監視なんかいらない

よね!」


ふふん、と勝利の笑みを浮かべ、布に包まれたお弁当をウキウキで広げようとした、その時だった。

ピピピピピピピピピピピ!!!!!

突然、私の手首に嵌められたお母様特製の魔力遮断ブレスレットが、鼓膜を突き破らんばかりの大音量でアラートを鳴らし始めたのだ。

「ひゃあ!? なにこれ、うるさ――」


『警告! 警告! 監視対象が一定距離

(30メートル)以上離れました! 監視員のリモコンへ強制通知を

送信します!』


機械的な音声が響き渡ると同時に、

はるか遠くの校舎から、

「うおあああああ!? 野生リリィーナがいねぇぇぇえええ!?」


という、オフィカール王子の絶叫が風に乗って聞こえてきた。

(う、嘘でしょ……!? 一定距離を離れたらアラートが鳴る仕様なんて聞いてないよお母様ーーー!!!)


私が大パニックで頭を抱えている間にも、裏庭の草むらを激しく掻き分ける音が近づいてくる。

ズサァァァアアアッ!!!

「はぁっ……はぁっ……見つけ、たぞ……野生リリィーナ……っ!」草むらから飛び出してきたのは、朝よりもさらに制服をボロボロにし、顔を泥だらけにしたオフィカール王子だった。


完全に疲労で白目を剥きかけながらも、右手のリモコンを天に掲げ、ゾンビのような執念深い笑みを浮かべて大木を見上げている。


(はぁ……はぁ……死ぬかと思った……っ! だけどアラートが鳴った瞬間、俺の野生の勘が『リリィーナが逃げた!』って告げて、体が勝手に動いてたぜ! 木の上にちょこんと座るリリィーナ、

小動物みたいでマジで気絶するほど

可愛いな……っ!

追いかけた甲斐があったぜ!)

※脳筋王子の恋のサバイバル能力を

ナメてはいけませんでした。


「お前……っ、お昼休みも……絶対に、逃がさねぇ、からな……っ!」ゼーハーと激しい息を吐きながら、執念の笑みで

木を登ろうとしてくる満身創痍の

第一王子。お母様の鬼畜アイテムの

せいで、私のステルス作戦は初日から

完全に破綻し、私の平穏なランチタイムは文字通り絶望の淵へと叩き落とされるのだった。(第36話 終わり)

第36話をお読みいただきありがとうございました!完璧に気配を消してオフィカールを撒き、お母さんお墨付きの「木の上」へ避難したリリィーナちゃん!しかし、お母様特製の首輪ブレスレットに仕込まれた「30メートル以上離れたらアラート爆音通知」という鬼畜トラップによって、すべてが台無しになってしまいました(笑)。アラートを聞いて、朝の疲労も忘れてゾンビのように泥だらけで大激走してきたオフィカール王子、カッコ( )の中の本音が相変わらず前向きな脳筋で最高です。木の上のリリィーナちゃんを「小動物みたいで可愛い」って思える余裕、さすがですね!次回、このまま木の下で力尽きそうなオフィカール王子と、お弁当を食べたいリリィーナちゃんの奇妙なランチタイムはどうなってしまうのか!?続きが気になる!オフィカールの執念に笑った!という方は、ぜひ下にある【ブックマーク登録】や【評価の☆】を押して応援していただけると、毎日の執筆の大きな励みになります!次回、第37話もお楽しみに!

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