第35話監視されてたまるか!
前回の第34話では、お母さんの驚愕の「クラスメイト全員猫化事件」が発覚!お母様の暴走を止めるために過去に行われていた「王子たちの交代制監視システム」が、リリィーナちゃんにも適用されることになってしまいました。第35話となる今回は、記念すべき監視ライフ初日(月曜日)の朝!じゃんけんで見事月曜日を勝ち取ったオフィカール王子が、ドヤ顔でリリィーナちゃんの家の前に待ち伏せていたのですが……。タイトル通り「監視されてたまるか!」と本領を発揮したリリィーナちゃんの、およそ令嬢とは思えない異次元の登校劇をどうぞお楽しみください!
結局、昨日校長先生から魔力を抑える物(物々しい首輪兼ブレスレット)を貰っちゃったけれど……。
おまけに今日から王子たちの監視もつくみたいだし、本当にやだなぁ。
学校行きたくないぃぃぃ!!
「でも行かなきゃ授業遅れるし……
いくかぁーー!!」
私は重い身体をどうにか起こして、
学校へ向かうことにした。っていうか、あの魔力道具の存在、お母さんは知ってるのかな? いやいや、お母さんに
「学園でこんな首輪を嵌められました」なんて言ったら何が起きるか本当に分からないし、言わなくて
大丈夫だよね……?
命の安全のために、黙っておこう。
うん。そう自分に言い聞かせ、憂鬱な気分のまま重い玄関のドアを開けたら、
そこには――!
「遅せぇよ。どんだけ家出る時間おせぇーんだよ。俺を待たせすぎだ」
「ひえっ!?」
腕を組んで仁王立ちしていたのは、
第一王子のオフィカールだった。
朝日の光を浴びて、その顔はどことなく得意げだ。
(クックッ……! 昨日、誰が監視するか4人で真剣にじゃんけんで決めて、見事月曜日を勝ち取ったのはこの俺なんだよなー! マジで嬉しいぜ!)
※心の声が嬉しさでダダ漏れです、
王子。
「な、なんでうちの前にいるのよ!?
監視って学校の中だけじゃないの!?
なんで家まで来るのよ……!?」
「文句言うなよっ! ササッと学校
行くぞ、ササッと!」
「…………」監視されてたまるか。
私は返事すら贅沢だと判断し、文字通り一人で『ササッ』と、もの凄いスピードでその場から走り去ってやった。
「おいっ!? 待てよ!!」
後ろから何やら焦ったような大声が
聞こえるけれど、気にしなくて
いいよね?
「ま、待っ……てくれ野生リリィーナ! はぁ、はぁ……っ、お前、早すぎる
だろ……! さすが野生だけあるな……っ!」
私の後ろを必死で走って追いかけてくるオフィカールは、驚愕に目を見開いていた。それもそのはず、私の登校ルートは普通の人とは違う。
走行してくる馬車や魔導車が通れば、
野生の跳躍力でその屋根をポンポーンと軽やかにジャンプして飛び越えていくし、何より純粋な走りのスピードが常人の域を超えて早すぎるのだ。
「くそっ、あいつ……障害物を利用してさらに加速してやがる……!」
オフィカールは必死に足を進めて追いつこうと頑張るが、野生のトップスピードには逆立ちしても勝てず、登校開始からわずか3分で、遥か彼方へと置いてけぼりになってしまうのだった。
◇「ふぅ、やっぱり朝の運動は気持ちがいいね!」
オフィカールを完全にぶっちぎった
私は、息一つ乱さずに余裕の表情で学園にゴール。自分の教室の席につき、
優雅に授業の準備を始めていた。
キーンコーンカーンコーン……。
無情にも、朝のホームルームの開始を
告げるチャイムが学園中に鳴り響く。
その、まさにコンマ1秒後のこと
だった。ガララッ!!! と、
教室の扉がものすごい音を立てて弾け
飛ぶように開いた。
「はぁっ……ぜぇっ……はぁ……っ、ま、間に合っ……た……!」
そこに立っていたのは、息をゼーハーと激しく切らし、髪はボサボサ、制服のあちこちに泥や草がついて完全に満身創痍となったオフィカール王子だった。
息が完全に上がってしまっており、扉に肩を預けたまま、その場にズルズルと
崩れ落ちていく。
「キャー!? オフィカール様!?
一体どうされたのですか!?」
「誰に襲撃されたのよ!? 朝からどんな激しい死闘を繰り広げたらそんな
姿に……!?」
教室中のモブ令嬢たちが悲鳴を上げ、
ガタイの良い男性教師も
「お、王子!? 医療班を呼ぶか!?」
と大慌てだ。
クラス中が蜂の巣を突いたような
大騒ぎになる。
当のオフィカールは、教師の言葉に首を振り、血走った目でじっと私を睨みつけてきた。
(く、くそっ……! まさか朝の登校だけで、体力の限界まで追い詰められるなんて……っ! だけど、車の上をジャンプして疾走するあの野生の姿、めちゃくちゃ格好良くてシビれたぜ……! ますます手に入れたくなった!)
※これだけ酷い目に遭わされてなお、
脳筋の恋心は加速しているようです。
「……リリィーナ、お前……次からは、絶対に、置いていくなよ……っ」這いつくばりながらそう怨嗟の声を漏らすオフィカールに、クラスメイトたちの視線が一斉に私へと突き刺さる。
「まさか、あの新入生がオフィカール様をあんなボロボロに……!?」という、さらにとんでもない恐怖と誤解の眼差しを浴びながら、私の監視ライフ初日の
朝は、別の意味で完全に詰んで
しまうのだった。
(第35話 終わり)
第35話をお読みいただきありがとうございました!リリィーナちゃんの野生の身体能力、馬車や車を跳び箱みたいにジャンプして進むのは完全にアクション映画のそれですね(笑)。じゃんけんで勝ってあれだけ喜んでいたオフィカール王子が、登校初日の朝から満身創痍で教室に倒れ込む姿は最高に哀れで爆笑してしまいました!しかし、ボロボロにされてなお「格好良くてシビれたぜ!」と好感度を爆上げしているオフィカール、さすが脳筋王子です。ブレませんね!次回、朝から大騒ぎになってしまった初日の授業はどうなってしまうのか!?続きが気になる!オフィカール頑張れ!という方は、ぜひ下にある【ブックマーク登録】や【評価の☆】を押して応援していただけると、毎日の執筆の大きな励みになります!次回、第36話もお楽しみに!




