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第31話誰か王子達を止めて

いつもお読みいただきありがとうございます!前回の第30話では、魔力テストで困ったリリィーナちゃんが水晶玉を全力で握りしめた瞬間、バラバラの教室から王子4人が大激走してすっ飛んできました!「紳士的」という大義名分を盾にした、逃げ場のないアプローチに大ピンチのリリィーナちゃんですが……。今回は、心の中で「誰か王子たちを止めて!」と願ったリリィーナちゃんに、まさかの救世主(?)が登場!さらに、リリィーナちゃんの中に眠る『もう一つの人格』がついに覚醒します。どうぞお楽しみください!

(誰か……誰か、この暴走している王子たちを止めてーーー!!!)


心の中で涙ながらに叫ぶ。オフィカールは後ろから抱きつこうとしてくるし

ミディティは部屋に連れ込もうと、


するし、カルトナージュは手を握って

離さないし、キミラカーデの目は実験動物を見るマッドサイエンティストの


それだ。「紳士的」という大義名分を得た彼らのアプローチは、昨日より確実にタチが悪くなっている。


その時だった。

『――そこまでですわ、バカ息子たち』


教室全体の空気を一瞬で凍りつかせるような、低くて冷ややかな女性の声が

響き渡った。


声の出どころは、私の席のすぐ近くにある窓。そこに、いつの間にか一羽の

美しい白い鳥(伝送魔法の使い魔)が

留まっていた。

「ひっ……!? お、お母様……の、拡声

魔法……!?」


声を聴いた瞬間、4人の王子たちの顔

から一瞬にして血の気が引いた。

昨日、王宮で盛大に「バカですわ!」

と怒鳴られた恐怖の記憶がフラッシュバックしたのだろう。


彼らはロボットのようにギギギ……と

首を窓の方へと向ける。


白い鳥の口からは、容赦のない王妃様の声が次々と紡ぎ出された。


『オフィカール、後ろから抱きつこうとするのは紳士ではなくただの不審者

ですわ。

カルトナージュ、袖の裏に特製の手錠を隠し持っているのが見えていますわよ?

キミラ、あなたの言っている研究室は、どう見ても昨日壊したはずの監禁部屋のレプリカですわね?』

「ギクッ……!!!」


(手錠!? 監禁部屋のレプリカ!?

紳士の仮面を被って、みんな裏でとんでもないこと企んでたんじゃない

のーーー!?)


王妃様の鋭すぎる監視の目に、私は背筋が凍りつく思いだった。


『全員、今すぐリリィーナ様から

3メートル以上離れなさい。

さもなくば、今から王宮の近衛騎士団を向かわせ、全員まとめて

【追加の物理お説教(再教育)】

を執行いたしますわ』


「「「「申し訳ありません

でした!!!!」」」」

お母様の「物理処分」の予告が入った

瞬間、4人の王子たちはバッと私から

飛びのいた。


そのまま教室の四隅へと全力で散らばり、壁に背中をぴったりとくっつけて

ピシッと直立不動の姿勢を取る。


その姿は、まるで怒られたばかりの大型犬のようだ。王子たちが壁にぴったりと張り付いたのを見て、私はようやくホッとして、止まっていた魔力テストに

意識を戻した。


目の前には、まだ私が力を込めたままの測定用水晶玉がある。

(魔法の出し方は分からないけれど……確か、今朝お母さんが名前を出して、

自分の中の二重人格を呼び出して

いたよね? そしたら、私にも心当たりがある名前を出したら、その人格が出てくる説があると思うんだけど。

うーん……)


深く考えたことはなかったけれど、

なぜか私の野生の勘が、ある一つの名前を告げていた。

私は水晶玉に手を触れたまま、その

実感を口にしてみる。

「……ラトラ……」

――カチッ。

私は『ラトラ』と呼んでみた。そんな感じがしたからだ。次の瞬間、私の内側から今までにない不思議な力がブワッと溢れ出し、私は一瞬にして、圧倒的な魔力をまとった二重人格ラトラ

と切り替わった。


リリィーナ(ラトラ)の身体から

立ち上る、見たこともない密度の魔力。


壁に張り付いたままそれを見た王子たちは、あまりの凄まじさに驚愕で目を

見張った。

「まじかよ……! 名前を唱えるだけで

魔法ができるっていうのかよ!?」


オフィカールが壁に背中をつけたまま戦慄する。

(俺が知らない魔法……国家に影響するほどの魔法ってことかよ、有り得ねぇ……! どこまで俺を驚かせれば気が

済むんだ、野生リリィーナ! その圧倒的な強さ、ゾクゾクするほど愛おしい!)


「僕、そんな魔法見たことないよ! またあの入学式の時みたいに、巨大魔法でも使うつもりなの!?」


ミディティが興奮を隠せない様子で

叫ぶ。

(またあの時のすごい魔法が見れる

なんて、めちゃくちゃ幸運じゃん!

早く僕にその輝きを見せてよ、

リリィーナちゃん! 君のその特別な姿、僕だけのものにしたいな……!)


「……ラトラって、いい名前だよね。

でも、ラトラは魔法の名前というより、人の名前に近いよね。一体何をするん

だい?」

カルトナージュが壁際から熱い視線を送りながら、優しく問いかけてくる。


(リリィーナが魔法を使っている時に話しかけたら、どんな反応をするん

だろう。魔法がすごすぎて、私の声に気づかないほど動けなくなっちゃうのかな? その隙に、

優しく抱きしめてしまいたい……)


「こういう風に魔法を使う人は初めて

見ますね。非常に興味が注がれて、

さらに観察したくなりますね」


キミラカーデが眼鏡をクイッと

押し上げ、その瞳を怪しく輝かせた。


(展開的にこれからどうなるのか、

気になって仕方がありませんね。

もっと、もっと君の魔法が見たい

ですよ……! 君という存在そのものを、僕のすべてを賭けて解き明かしたい!)


(壁際からみんなめちゃくちゃ喋るし、心の声の視線がさっきより熱くなって

刺さるんですけどーーー!!)


意識の奥でリリィーナとしての私が

ツッコミを入れるが、表に出た

『ラトラ』の魔力はもう止まらない。

名前を唱えただけで発動した、国家を

も揺るがす謎のチート魔法。

王子たちの独占欲と興奮が最高潮に

達する中、私の触れている水晶玉が、

かつてない異様で凄まじい七色の輝きを放ち始め――!?(第31話 終わり)

第31話をお読みいただきありがとうございました!王妃様の拡声魔法での遠隔お説教、最高にナイスタイミングでしたね(笑)。袖の裏に手錠を隠し持っていたカルトナージュ王子や、監禁部屋のレプリカを作っていたキミラ王子、紳士の皮を被っても裏では相変わらずヤバすぎます!その後、壁にピッタリ張り付いた王子たちをよそに、リリィーナちゃんが野生の勘で呼び出したもう一つの人格『ラトラ』。名前を唱えただけで国家レベルの魔法が発動し、王子たちのカッコ( )の中の本音と興奮も、さらに限界突破して大変なことになっています!次回、ラトラが呼び出されたことで、この魔力テストと学園はどうなってしまうのか!?続きが気になる!ラトラの覚醒にワクワクした!という方は、ぜひ下にある【ブックマーク登録】や【評価の☆】を押して応援していただけると、更新の大きな励みになります!

「お詫びの2話連続更新でした、お楽しみいただけたでしょうか?投稿時間を変更してしまいご心配をおかけしました。

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