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第30話初めてあった時と印象が違う

いつもお読みいただきありがとうございます!おかげさまで、ついに大台の第30話に到達いたしました!いつも応援してくださる皆様のおかげです。本当にありがとうございます!前回の第29話では、王妃様に怒られた王子たちがまさかの玄関先で全員土下座。しかし、カッコ( )の中の本音は相変わらずリリィーナちゃんへの独占欲で溢れかえっていました。今回は、学園に到着してからの「初めて出会った時と印象が違う」王子たちの様子、そして「魔法を知らない」リリィーナちゃんに訪れる学園最初の試練です。どうぞお楽しみください!

玄関先で一国の王子4人に全力で土下座をされた後。彼らは何事もなかったかのようにパッと立ち上がると、泥を払って信じられないほど爽やかな笑顔を私に

向けた。


「さあ、野生リリィーナ。学園までの

馬車を用意してある。

……ほら、手、貸せよ」


オフィカールが耳を少し赤くしながら、すっと綺麗な手を差し伸べてくる。

いつもの「おい野生児!」みたいなオレ様発言はどこへやら、まるで本物の騎士のようなスマートさだ。


「リリィーナちゃん、馬車の中には君が少しでもリラックスできるように、ふかふかの特注毛布を敷いておいたよ?

さぁ、こっちにおいで?」


ミディティが小首を傾げながら、天使のようなあざとい笑みで私の背中を優しく促す。


「足元に気をつけてね、リリィーナ。

君の大事な制服が、また汚れたら大変

だからね」


カルトナージュがとろけるような甘い声で囁きながら、私が馬車に乗るのを自然な動作でエスコートしてくれた。


「馬車の中の温度や湿度は、君にとって最適な数値に調整してあります。

体調に違和感があれば、何でも僕に

言ってください」


キミラカーデが眼鏡の奥の瞳を真面目に輝かせながら、お茶の入った水筒を差し出してくる。

(な、なんなのこの人たち……!? 初めて出会った時と印象が違いすぎて、

逆にめちゃくちゃ怖いんですけどーーー!!!)


拉致監禁しようとしたり、強引にキスしてきたりしたあの暴走モードは一体どこへ行ったのか。馬車に揺られている

間も、4人は私を全方位からそれはそれは優しく、紳士的に扱ってくれた。


だが、向けられる視線の熱量

(ギラギラした目の奥の独占欲)だけは昨日より確実に増している気がして、

私は生きた心地がしなかった。


やがて馬車が学園に到着する。キミラ

カーデの言葉通り、あの不気味な

「入ったら二度と出れない教室」

は綺麗さっぱり無くなっており、

4人は私の教室の前まで送ってくれた。


「じゃあな、野生リリィーナ。

また後で」


「リリィーナちゃん、寂しいけど自分の教室に行ってくるね?」


「良い子で待っていてね、僕の可愛い

リリィーナ」


「では、また次の休み時間に観察に

伺いますね」4人は私に優しく手を振ると、宣言通りそれぞれのバラバラの教室へと向かっていった。


「ふぅぅうう……っ!!!」4人の姿が見えなくなった瞬間、私は盛大にため息を吐き出して、その場にへたり込みそうになった。


(やっと……やっと解放されたわ! 4人がバラバラの教室に行ってくれたおかげで、これでようやく、私の一人だけの静かで平和な学園生活が送れる

のね……!)


私は胸をなでおろし、自分の教室の席について、晴れやかな気持ちで授業が始まるのを待った。自分の席に座り、ようやく一息ついた――と思った、次の

瞬間だった。


私の席の横からも、前からも、ものすごい気迫をまとったクラスの女子たちがドタドタと詰め寄ってきたのだ。


「ちょっと、あなた何様なのよ! 王子たちは私たちが愛する王子様なのよ!?」キィィィン! と耳が痛くなるほどの大きな金切り声が、私の目の前で炸裂する。


中心にいる一人の女子が、私をキッと

睨みつけながら捲し立てた。

「あなたが王子たちを独り占めするなんてふさわしくないわ! どう見たってただの普通の女子って感じだし、可愛くないし、化粧もしない! そんな人が王子様に釣り合うわけないんだから!!」


真っ向から容姿も存在も全否定

される。……だが、私はその

「釣り合わない」という言葉に、心の底から大共感してしまったのだ。


「よくぞ言ってくれましたわ! 私、あの王子様たちにちっとも興味ありませんの! 関わってくるのはあっちのほう

からで……!」


「えっ……?」


ひどい言葉をぶつけて泣かせるつもりだったらしい女子たちは、私が目を輝かせて大喜びしている姿を見て、完全に毒気を抜かれたようにハトが豆鉄砲を食ったような顔になった。


そのまま

「な、なんなのこの子……」

という感じで、ドン引きしながら少し

後ろへ引いていく。


キーンコーンカーンコーン――ッ。

ナイスタイミングで、朝の始まりを告げるチャイムが学園内に鳴り響いた。

「皆、席につけ! 朝の会を始めるぞ」


ガラガラと音を立てて、ガタイのいい男性教師が教室に入ってくる。女子たちは慌てて自分の席へと戻っていった。


ホームルームが始まっても、私は上の空だった。ふと今朝の出来事を振り返っては、あの監禁未遂を起こした暴走王子たちが、どうしてあんな風に

「まともな紳士」へと変わってしまったのか、不思議で仕方がなかった。


――空間を裂く、大きなチャイムの音。いよいよ始まった1時間目の授業。内容は、学園恒例の『魔力テスト』だった。「あっ、私、風魔法ですわ!

あなたは?」


「ふっふっふ、私は火が使えますのよ、おーっほほほ!」


クラスのあちこちから、自分の魔力や属性適性が分かってテンションの上がった令嬢たちの声が聞こえてくる。

だが、私はというと、完全に

固まっていた。


(魔力テストって言われても……私、

どうやったら魔法が使えるのか

【全くわからない】

んですけど……!?)


目の前には、魔力を流すと光るという大きな測定用の水晶玉が置かれている。


周りのみんなは優雅に手をかざして

光らせているけれど、私にあるのは野生の勘と圧倒的な筋力だけだ。

(魔法の出し方は分からないけれど……とりあえず、ここに力を込めればいいのかしら?)

私はごくりと唾を飲み込むと、魔法ではなく全身の筋力を右手に集中させ、測定用の水晶玉を「フンッ!」と全力で握りしめた。――その時だった。


ガラララッ!!! と、教室の頑丈な前後両方のドアが、同時に凄まじい勢いで跳ね開けられた。

「リリィーナ!!!」鼓膜が震えるほどの息の合った大音量。


そこに立っていたのは、それぞれの

バラバラの教室にいたはずの、

あの4人の王子たちだった。

しかも、肩を激しく上下させて、

息をゼーゼーと切らしている。


「お、王子様たち……!? なんでここにいるんですか!?」


朝の会を担当していた男性教師が、

驚きのあまり持っていた出席簿を床に

落とす。


クラスの女子たちからも黄色い悲鳴と

困惑の声が上がった。

真っ先に私の席へとスライディング気味に駆け寄ってきたのは、


第一王子のオフィカールだ。

「はぁ、はぁ……! 野生リリィーナ、

魔力テストのやり方が分からなくて困ってんだろ!? 俺が教えにきてやった!

ほら、手、貸せよ。俺が後ろから手を重ねて魔力の流し方を――」

(リリィーナに魔法を教えるという建前なら、合法的に後ろから抱きしめる形で密着できる……! 紳士的、かつ完璧な

アプローチだろこれ!)


「あ! オフィ兄様ずるいです! 抜け駆けは禁止って言ったじゃないですか!」

ミディティがオフィカールを強引に押し退け、私の顔を覗き込んできた。


「リリィーナちゃん、魔法なんて難しくて分からないよね? 僕の教室に来てくれたら、僕がつきっきりで、優しく、手取り足取り『マンツーマン』で教えてあげるよぉ?」

(僕のプライベート空間に連れ込めば、誰の邪魔も入らない。そこで僕のことをたっぷり好きになって

もらうんだにゃあ)


「二人とも、リリィーナが困惑しているよ。そこは僕の出番だね」

カルトナージュがとろけるような笑顔で、私の右手を水晶玉からそっと引き剥がし、自分の胸元へと引き寄せた。


「リリィーナ、魔法の適性なんてどうでもいいんだ。君がどんな属性でも、僕が一生君を僕の隣で、過保護に守り続けてあげるからね?」


(これで僕なしでは生きられないように、優しく、紳士的に、じっくりと外堀を埋めて甘やかしてあげるからね、

リリィーナ)

「……皆さん、お母様の言いつけを忘れたのですか。あまり彼女を怖がらせてはいけませんよ」


最後にキミラカーデが、他の3人を冷ややかな目で見下ろしながら眼鏡を

クイッと直した。


「リリィーナ、君の魔力構造は非常に興味深い。ぜひ僕の特設研究室で、

二人きりでじっくりと魔力の波長を

『観察』させてくれませんか?」

(監禁がダメなら、彼女が自発的に僕の部屋に通い詰めたくなるような、

最高に知的なデートプランを提供する

までです)


「…………」


(いや、バラバラの教室にした意味、

全くないじゃないのーーー!!!)

お母様に「紳士的にアプローチしろ」と怒られた結果、彼らは拉致監禁こそしなくなったものの、『紳士的な大義名分』を盾にして、むしろ昨日より堂々と全方位から詰め寄ってくるように

なっていた。カッコ( )の中の本音が

ダダ漏れなギラギラした視線が、一斉に私へと注がれる。


「初めて出会った時と印象が違う」

なんて、今朝の馬車の中でのんきに思っていた自分を殴りたい。


彼らはまともになったのではない。紳士の仮面を被った、さらにタチの悪い溺愛モンスターに進化してしまっただけ

なのだ。


「あの……私、やっぱり今日、学校休んで帰ってもいいですか……?」


私の消え入りそうな呟きは、王子たちの「次は僕の番だよ!」「俺が教える!」という熱いアプローチの嵐にかき消されていくのだった。

(第30話 終わり)

第30話をお読みいただきありがとうございました!おかげさまで30話の大台です!嫉妬に燃えるクラスの女子たちに容姿を否定されたのに、「よくぞ言ってくれましたわ!」と全力で大共感して喜ぶリリィーナちゃん、さすがブレない天然野生児です(笑)。そして1時間目の魔力テスト、魔法が分からないリリィーナちゃんが力任せに水晶玉を握りしめた瞬間、案の定我慢できなくなった王子4人が廊下を大激走してすっ飛んできました。お母様の言いつけを守って「紳士的」に振る舞ってはいますが、カッコ( )の中の本音の重さと肉食っぷりはむしろパワーアップしている気がします……!次回、このカオスすぎる魔力テストはどうなってしまうのか!?続きが気になる!30話到達おめでとう!という方は、ぜひ下にある【ブックマーク登録】や【評価の☆】をぽちっと押して応援していただけると、毎日の更新の大きな励みになります!次回、第31話もお楽しみに!

「いつも応援ありがとうございます!投稿時間を元の

【お昼12:00】に戻しました!そして、時間をコロコロ変えてしまったお詫びに!!

本日【夜21:10】にもう1話更新します! ぜひ夜も見に

来てください!」

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