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第29話そして翌朝

いつもお読みいただきありがとうございます!前回の第28話では、王妃様にこれまでの暴走がすべてバレてしまい、盛大な「バカですわ!」を喰らった王子たち。「正々堂々、紳士的に落としなさい!」と釘を刺されましたが……。今回は、実家で『衝撃の真実』を知ってしまったリリィーナちゃんの、大混乱の「翌朝」からスタートです!お母さんの驚きの秘密や、玄関を開けた先で待つ王子たちの「まさかの姿」をどうぞお楽しみください!

外からチュンチュンと雀が鳴き、爽やかな朝を告げる声が聞こえてくる。

だが、私の心はそんな風にいい気持ちではいられなかった。


何がそんなにいい気持ちではないのか?理由はただ一つ。昨夜、お母さんから信じられない「真実」を告げられた

からだ。


今でも、お母さんの言葉を思い出すだけで頭が痛くなってしまう……。

『いい、リリィーナ。あの学園の王子

たちはね、毎年ターゲットになる人数が変わるの。彼らはある特定の女性に興味を持ち――すなわち、その女性を

【落とさないと卒業できない】という

決まりになっているのよ』


そう。今回、その「興味を持たれたターゲット」になってしまったのが、この私、リリィーナなのだ。そんな衝撃の事実をいきなり受け入れるには、いくらなんでも時間がかかる。


そもそも、あんな個性的な王子たちを私が本気で好きになれるかどうかも分からない。どうしようもなく不安で、

怖いのよ……!今日も学校だと

いうのに、またあの

「入ったら二度と出られない

(監禁未遂の)教室」に入ることになるなんて、考えただけでも学校に行きたくない!!」


そう私がベッドの上で頭を抱えて全力で拒否している間に、部屋のドアを

コンコンッと叩く音が聞こえた。


「リリィーナ、例の王子たちが玄関の

ドアの前で待ってるわよ〜」


お母さんのあまりにも呑気な声が響き、私は跳び起きて叫んだ。「えっ!?」


(なんで王子たちが私の家の前にいるのよ!? 何、昨日逃げたから!? それとも、最高級ヴィンテージワインの樽を物理的にぶち割って浴びせたから怒りに

きたの!? なんでなんで???)


脳内パニックになりながらも、私は大急ぎで制服を着ようとする。


が、そこで手がピタリと止まった。

……そういえば昨日、必死に王子たち

から逃げる時、ロングスカートのままだと動きづらかったから、自分自身の手

(パワー)で思いっきり制服をビリビリに破いちゃったんだっけ!


どうしよう、これじゃ破廉恥すぎて

学校に行けない!

「お母さん〜! 制服、今から

直せるー!?」


私が慌てて部屋のドアを開けて助けを

求めると、お母さんは人ごとのように

小首を傾げた。


「んー、直せるかな? リリィーナに

魔法のこと話したし、もう使っても

いいわよね? ――ミリス」


お母さんがその名前を呟いた、次の瞬間だった。目の前のお母さんの雰囲気が

カチッと切り替わり、


一瞬にして表情が野性味あふれるもの

に変わる。

「これなら直せるにゃあ、リリィーナ

ちょっと待ってにゃ」なんと、お母さんの中にいるもう一つの二重人格――

『ミリス』が表に出てきたのだ!ミリスは人間離れした超スピードでお作法


(針仕事)を始め、魔法の力を織り交ぜながら綺麗に縫い進めていく。


自分で豪快に破ってしまった私の

制服は、残像が見えるほどの神速の技によって、あっという間に新品同様に直されてしまった。

「こんなもんにゃー! さぁ、ササッと行くにゃあ、行ってらっしゃい

にゃれ!!」


そう言い残した瞬間、お母さんの意識は再びカチッと元に戻った。


(お母さん、二重人格はねこなの!?)しかも、お母さんは我に返った瞬間、

「あら? 私、今何してたかしら?」


みたいなとぼけた顔になっている。

魔法はすごいけれど、性格がコロコロ変わってお母さん自身にその記憶がないなんて、色々と大変そうだなと初日から遠い目になってしまった。


しかし、感心している場合ではない。

玄関の向こうには、あの4人の王子たちが待っているのだから――。


私は意を決して、勢いよく我が家の

ドアを開けた。次の瞬間、目の前に広がっていたとんでもない光景に、私は驚きを隠せなかった。


「な、何してるんですか!? か、顔をあげてくださいっ!!」


(なんで王子たちが全員揃って地面に

這いつくばって土下座してるのよ!?

一国の王子でしょーに! こんなところを近所の人に見られたら、恥ずかしすぎて引っ越さなきゃいけなくなるわよ!?)


冷や汗を流す私を前に、地面に額を擦り付けたまま、まず口を開いたのは第一王子のオフィカールだった。


「野生リリィーナ、昨日はすいませんでした。俺のフェロモンで倒れない奴はいなくて、それで思わず強く出しすぎて……迷惑かけてごめんなさい」


(すまない、許されることでないと分かってはいるが、お前が気になって仕方がなかったんだ。こんな俺でも、お前はこれから関わってくれるのかな……)


あのいつも強気でオレ様だったオフィカールが、見違えるほどのまともな人になっている。


続いて、第二王子のミディティが涙目で顔を上げた。

「ぼ、僕もごめんなさい! 意地悪な

聞き方をして、困らせてごめん

なさい!」

(僕、もう意地悪しないから。君に心から好きになってもらえるように努力するから、僕のこと好きになってね)


あんなに可愛くおねだりしつつ裏で腹黒かったミディティ王子が、めちゃくちゃ素直で、健気になっている……!?


さらに、第三王子のカルトナージュが

真剣な眼差しで続く。

「リリィーナ、同意を得ずキスをしてしまいごめんなさい。そして俺が怒ってる時、巻き込んでごめん」


(キスとかもう脅したりしない。ここからは一人の男の勝負として君を落としていくから、覚悟してね、リリィーナ)


いつものとろける甘々束縛系から一転、男らしい真剣な表情でのド直球な

宣戦布告だ。


最後に、第四王子のキミラカーデが眼鏡を直しながら静かに頭を下げた。


「僕も君を軟禁するような教室に連れて行ってしまい、申し訳なかった。あの教室は皆と同じ普通の教室に変え、俺たちはバラバラの教室になりました。


これで許して貰えるとは思ってないですが、君を傷つけたことに変わりない」

(君を観察したいばかりで君の配慮を考えてなかった。今度は君が、僕と一緒にいて楽しいと思えることをたくさん

していきたい)

「…………」

昨日までの拉致監禁(未遂)暴走モードが嘘のように、4人とも深く反省し、これ以上ないほど紳士的な態度で私を迎えにきていた。


お母さんから告げられた

『女性を落とさないと卒業できない』

という真実。


そして、目の前で必死に私のご機嫌を

伺っている、変わり果てた王子たち。

(みんな、本当に反省してるみたいだけど……な、なんか心の声というか、目がギラギラしていて逃がしてくれないオーラが昨日より強くなってない!?)


お母様に怒られて「紳士的な溺愛」へとシフトした王子たちの、底知れない執着心を感じ取り、私の本能(野生の勘)が再び警報を鳴らし始める。


魔法の秘密、お母さんの二重人格、そして逃げ場のない王子たちからの全力アプローチ。私の前途多難すぎる学園生活の第二幕が、今、強制的に幕を

開けようとしていた。

(第29話 終わり)

第29話をお読みいただきありがとうございました!玄関を開けたらまさかの王子4人が全員揃って全力土下座……!一国の王子たちのプライドはどこへ行ったのでしょうか(笑)。王妃様に絞られた効果が抜群に出ていますが、カッコ( )の中の本音がダダ漏れで、リリィーナちゃんへの執着心はむしろ「紳士的」になったことで余計にタチが悪くなっている気がします……!そして、残像が見える神速の技で制服を直してくれたお母さんの猫人格「ミリス」も最高でしたね。次回から、普通の教室ただしバラバラになった王子たちによる、逃げ場なしの「紳士的な(?)猛アタック」が始まります!続きが気になる!王子たちの土下座と本音のギャップに笑った!という方は、ぜひ下にある【ブックマーク登録】や【評価の☆】、【いいね】をぽちっと押して応援していただけると、毎日の執筆の大きな励みになります!大台となる次回、第30話もお楽しみに!

お知らせ

投稿時間を昼12に戻します。

投稿時間がコロコロ変わってしまい申し訳ありません

お詫びに

いつも1話だけ投稿致しますが、

5月30日土曜昼12時と21時10分に投稿させていただきます。ぜひ明日見ていただけると嬉しいです


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