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第28話酔いが覚めた王子達は

いつもお読みいただきありがとうございます!前回の第27話では、王子たちが最高級ヴィンテージワインで完全に泥酔し、幼児退行からバク転未遂まで大惨事(お宝映像)になってしまいました。オフィカールに水をぶっかけられてようやく目が覚めた王子たちですが、ここからさらに嵐が巻き起こります……!今回は王子サイドの反省会(?)とお母様の登場です。どうぞお楽しみください!

そこへ、カツカツと小気味よい上品な足音を響かせて、再び王妃様が楽しそうに歩み寄ってきた。


「ふふふっ、面白く見させてもらったわよ、息子たち! それで――カルトが

言っていた『リリィーナ』の件は、

一体どういうことかしら?」

「……っ!? お、お母様、いらっしゃったんですか!? ……い、一体どこから見ていたんですか……?」


水の滴るいい男(ただし全員パニック中)になった王子たちを代表して、

オフィカールが引きつった顔で尋ねる。


王妃様は優雅に扇子で口元を隠しながら、極上の笑顔を浮かべた。

「当たり前じゃない? 全部見ていたわよ。オフィ以外は、お酒を飲むとあんな感じになってしまうのねぇ。ふふ、

とっても可愛らしかったわっ」


母親からの直球の「可愛い」に、王子たちの顔がそれぞれ違う理由で引きつる。これ以上泥酔中の醜態を突っ込まれてはたまらないと、

オフィカールは必死に話を本筋へと

逸らした。


「お、俺から話すわ、あの野生児リリィーナのこと!……あれは入学式でのことだ。恒例の『フェロモンに耐えられるかどうか』の試験で、あいつを試したんだ。……ただ、あの野生児には俺のフェロモンが全然効かなかったんだよ!

しかも、出力を強くしたら、あいつの中から別人のようなリリィーナが出てきて……マジでビビったわ」


オフィカール王子は思い出すだけでも

興奮が蘇るのか、身振り手振りを交えて熱っぽく語る。


すると、その隣からミディティが、まだ少し潤んだ瞳をウルウルとさせながら

乗っかった。


「僕のフェロモンも全然効かなくてぇ〜。オフィ兄様が出力を強くしたら、リリィーナちゃん、二重人格みたいになっちゃったんですぅ。しかも、その時の

魔法の強さが、校長先生より強かったんですよぉ?」


「ふふ、本当にリリィーナは、いつも僕たちを驚かせてくれるよね?」

カルトナージュがとろけるような笑みを浮かべ、うっとりと会話に加わる。


「……それで、僕たちはあの子がこれ

以上暴走したら手が付けられないと

思ったから、俺たちだけで監視することにしたんだよ」


「……それで、僕たちは彼女を教室に連れて行ったわけですが」

眼鏡をクイッと直しながら、

キミラカーデが淡々と、しかしどこか早口で付け足す。


「まぁ、いわゆる『ここに入ったら二度と出られない』感じの怪しい部屋だったわけですが、彼女はそこから逃げようとしましてね。

僕たち総出で追いかけたのですが、あの野生的な素早さには、この僕ですら感心してしまいました」


「だから、僕がキレてキスをして足止めしたんだ。けど、それでも逃げられて……。そのあと、兄弟たちにもキスをして回っていたら……」


カルトナージュのさらなる爆弾発言に、オフィカールが


「おい待て!」と割り込む。


「そこを、俺たちはカルトにお仕置きで

(キス)されてる時がリリィーナが助けてくれたんだぜ! 樽をぶち割って俺たちを巻き込んだのはアレだが……とにかく! 命の恩人だし、めちゃくちゃ気に入った! だから、ぜってぇ俺のこと( 好き)にさせてやる!」


「あ! オフィ兄様ずるいです! 抜け駆けしないでください!」


「うるせぇ! 早い者勝ちだろ!」オフィカールとミディティが子供のようにギャーギャーと言い合いを始めた、

その瞬間。――ゴンッ!!!部屋中に、信じられないほど鈍くて重い、いい音が響き渡った。


「……ぶふっ!? い、痛ぇっ!?」


「……あなたたちを育ててきて、今、

人生で一番ショックですわ」


地を這うような低い声。見れば、王妃様が手にした硬い扇子を振り下ろした

ところだった。


王妃様は怒りのあまり肩を震わせ、

息子たちを恐ろしい形相で睨みつけ

ている。

「女の子を、一体なんだと思っているのーーー!! あなたたちだけの部屋!?

二度と出られない部屋!?

……バカですわ!!」


「ひ、一言、弁明させてください、

お母様! 僕たちはただ、彼女の規格外の魔力を国のために管理しようと――」


キミラカーデが青ざめた顔で必死に論理的な言い訳をしようとするが、

王妃様はそれを鋭い眼光でピシャリと

撥ね退けた。


「黙りなさい、キミラ! 管理という名の監禁でしょう!? 学園のフェロモン試験で強引に覚醒させた挙句、力づくで閉じ込めようとするなんて……。そんな野蛮で男らしくない真似をするから、ワイン樽で物理的にブチのめされるのよ!」


王妃様のあまりにも真っ当すぎる正論に、4人の王子たちはぐうの音も出ずに一斉にうつむいた。


あの豪快なワイン樽粉砕の光景を思い出し、全員の背中にサーッと冷や汗が

流れる。


「いい? あんなに面白くて、強くて、型破りで可愛らしい女の子、そうそういないわ。私はあの子がすっかり気に入ったの。だから、絶対に我が王家の嫁にしなさい!」


王妃様はパチンと扇子を叩き、息子たちを一人ずつ強い目で見据えた。

「ただし! 拉致も監禁も、強引なキスも、金切り声でのオレ様発言も一切禁止! 正々堂々、紳士的にあの子を溺愛して、あの子の心を射止め落としなさい! もし次にあの子を泣かせるような真似をしたら……この私があなたたちを物理的に処分しますわよ?」


にっこりと聖母のように微笑む王妃様だったが、その背後には尋常ではない暗黒のオーラが立ち上っている。

冗談ではない。本気だ。


4人の王子たちは、ゴクリと唾を飲み込んで同時に深く頷いた。


「わ、分かったよ、お母様……。紳士的に、だな。おいお前ら、お母様の言う通り、これからは正々堂々だ。

抜け駆けはナシだぞ」


オフィカールが耳まで真っ赤にしながら、きゅっと拳を握りしめる。


「ふふ、お兄様たちに負ける気はありませんよ? これからはあざとさ全開で、

紳士的に甘えてみせます」


ミディティはすでに目をキラキラと輝かせ、次の完璧なアプローチ作戦を練り始めている。「紳士的、ですか。


……では、リリィーナが僕から二度と離れたくなくなるような、極上の甘やかしを計画しましょうね」

カルトナージュがさらにとろけるような独占欲に満ちた笑みを浮かべる。


「物理的な処分は困りますね。ならば僕の知略のすべてを、彼女を紳士的に

『新薬の開発デート』へ誘うために費やします」


キミラカーデも眼鏡の奥の目を怪しく

光らせた。こうして、お母様の愛のスパルタ教育によって、王子たちの

「リリィーナ奪い合い戦」は新たなステージへと突入したのだった。

拉致監禁というバカな真似は卒業し、誰が一番彼女を紳士的に溺愛できるかと

いう、さらに熾烈なバトルへ――。


◇一方その頃。実家でお母様から信じられない「衝撃の真実」を告げられ、すでにあらゆる事実を知ってしまった

リリィーナは、自室のベッドの上で

一人、頭を抱えて盛大に首を傾げ

ていた。

「まさか、あの時のことが、そんな真実に繋がっていたなんて……」


お母様の言葉を思い返し、リリィーナは端整な顔をこれでもかと歪ませる。

王子たちが自分を紳士的に溺愛しようと、今か今かと待ち構えているとは露知らず、リリィーナは知ってしまった真実の重みに、ただただ困惑するばかりだった。(第28話 終わり)

第28話をお読みいただきありがとうございました!王子たちのヤバい行動がすべて王妃様にバレてしまい、盛大な「バカですわ!」を喰らってしまいました。お母様、めちゃくちゃ強くて常識人です(笑)。ここから王子たちのリリィーナ溺愛バトルは「紳士的(?)な奪い合い」へとシフトしていきます!そしてラスト、実家で衝撃の事実を知ってしまったリリィーナは一体どうなってしまうのか……!?続きが気になる!王子たちとお母様のやり取りに笑った!という方は、ぜひ下にある【ブックマーク登録】や【いいね】、【評価の☆】をぽちっと押して応援していただけると、執筆の励みになります!

次回29話もお楽しみください

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