第24話そして長い1日の入学日が終わる
前回の第23話では、リリィーナが投げた最強のワインによって、カルトナージュを含む4人の王子全員が眠りにつくという衝撃の結末を迎えました。今回は、そんな大騒動のあとの物語。王子たちを助け出し、長い1日を終えたリリィーナですが、ふと重大な事実に気づいて大パニック!?さらに学園側でも、残された王子たちとワインを巡って大騒動が巻き起こります!
王子たちが深く眠っているのを見届けた私は、そっと息を吐き出した。
状況的には逃げることとはちょっと違うけれど、追いかけ回され……そして最後には王子たちを助けるという、私の人生で一番長い1日がようやく終わりを迎えようとしていた。
「これって、私の勝ちってことだよね?……本当に色んなことがあったけど、長い1日だったな」
しみじみと呟いた瞬間、頭の中にさっきまでの光景がフラッシュバックする。
(しかも、カルトナージュ王子がまさかあんなキス魔だったなんて……!
っていうか、私、初めてのキスもされ
ちゃったじゃん!?嘘、お嫁に行けないかも……!?)
誰もいない部屋で、赤くなったり青くなったりと、一人で激しく百面相をしてしまう。
すると、廊下の向こうからガヤガヤと人の気配や声が聞こえ始めた。
ハッと我に返った私は、この場から離れるべく急いで部屋を飛び出した。
廊下を走っていると、ちょうどよく先生の姿が見えたので、私は息を切らせながら駆け寄る。
「あの! 先生、あの部屋で王子様たちが倒れてます! なので、急いで保健室に運んであげてください!」
私は何事も無かったかのような顔をして、「王子たちが倒れているところを偶然発見した」
という嘘の報告をでっち上げた。
先生が慌てて走り去るのを見送ると、
私は今度こそ何食わぬ顔で、
そのまま家へと帰り始めるのだった。
私の長い1日は、
これでようやくおしまい……。
――しかしその頃、私が後にした学園の方では、大変な大騒ぎになっていた。
「今、女子生徒から王子たちが倒れていると連絡があったぞ! 急いで人を集めてあの部屋へ行くんだ!」
バタバタと慌てふためきながら、先生
たちが部屋へと踏み込む。だが、そこに広がっていた光景に、全員が驚きを隠せなかった。
「な、なんなんだこれは……
床が真っ赤だぞ、血か!?
いや……ワインの匂いがする……。
……って、まさか、これはこの国に数本しか存在しないと言われている、あの幻の超高級ワインじゃないか!?
しかも、木っ端微塵に
割れているぞ!?」
あまりの経済的損失(?)に先生たちはその場に崩れ落ちそうになったが、
今はそれよりも王子たちの体の方が
大切だ。急いで4人を抱え、保健室へと連れて行くことにした。ところが、
保健室のベッドに寝かせた王子たちを
いくら起こそうとしても、強烈なワインの度数で深ーい眠りに落ちている
お陰で、まったく起きる気配がない。
「仕方がない……王妃様と、陛下に直接ご連絡して、お迎えにきてもらおう。
理由は……そうだな、ワインを被ったのでその衝撃で眠りについてしまった、
と説明しよう……」
先生たちが冷や汗を流している間、
保健室の周りには噂を聞きつけた
女子生徒たちが集まり、「きゃーっ!」と黄色い歓声を上げてざわめいていた。
「あれ、見て! この国の王子たちだよ! しかも寝てるところもすっごく
かっこいい!」
「ねえ見て、あの服がちょっと着崩れてる所も色っぽくて格好よくない!?」
集まった生徒たちに、先生が慌てて拡声器で注意を促す。
「はーい、みなさーん! 騒がないで教室に戻り、さっさと下校
してくださーい!」
先生の言葉に背中を押され、女子生徒たちは名残惜しそうにしながらも、
ぞろぞろと教室に戻り、静かに下校を
開始し始めるのだった……。
第24話をお読みいただきありがとうございました!リリィーナは無事に嘘の通報(笑)で難を逃れましたが、カルトナージュにファーストキスを奪われていたことに気づいて大慌てする姿が可愛かったですね。そして学園側では、国に数本しかないワインの紛失と、眠れる森の美女ならぬ「眠れる4人の王子」のせいで大パニック!着崩れた姿で眠る王子たち、ぜひ間近で拝んでみたいものです。次回、第25話では、ついに王様や王妃様まで登場する予感……!? 王子たちが目を覚ました時、リリィーナの嘘はバレてしまうのか? ぜひ次回を楽しみにお待ちください!




