第21話3人の王子の突撃開始
いつも応援ありがとうございます!『魔法を知らない天然令嬢ですが、なぜか四人の王子様を次々と救って(物理)溺愛されています。』第21話をお届けします!前回、カルトナージュ王子のキス魔モードに決死の突撃を仕掛けたオフィカール、ミディティ、キミラカーデの3人。口では強がる彼らですが、実は内心ガタガタに震えていて……!?リリィーナのツッコミと、王子たちの必死な虚勢をお楽しみください!
3人がかりの決死の突撃。
普通の人間なら確実に怯むであろうその猛攻を前に――
しかし、カルトナージュは唇を離したものの、一切動じることはなかった。
それどころか、前髪の隙間から凍りつくような冷たい笑みを浮かべる。
「ふっ……あはは! あの時あれほど酷い目に遭わせたのに、リリィーナを助けるためにわざわざ来たんだね?」
「っ……!?」
カルトナージュの狂気を孕んだ笑い声に、引き剥がそうとしていたオフィカールたちの動きがピタリと止まる。
「3人揃って彼女を助けて、ヒーローのつもりかい? ――あいにくだけど、俺の怒りはそんな生ぬるいもん
じゃないよ?」
ゾク、と部屋の温度がさらに数度下がったかのような錯覚を覚える。カルトナージュは冷徹な視線で、自分にしがみつく3人の王子を順番に見下ろした。
(へぇ……リリィーナを助けに来たんだ? おかしいね。僕たちは元々、逃げ出したリリィーナを『捕まえるため』に追いかけていたはずだろう? なのに、目的がすっかり逸れてるじゃないか)
「はぁっ、はぁ……っ」
ようやく解放された唇で、荒い息を吐きながらリリィーナは戦慄していた。
(考えてる脳内がっ、怖すぎるよぉぉぉお!!)
カルトナージュの圧倒的なドSオーラに心の中で全力のツッコミを入れるリリィーナ。
だが、そこは魔法を知らない野生の天然令嬢。ただ怯えているだけではない。
(でも……! やっと私の唇から離してくれたんだから、これは大チャンスだよね……っ!?)
リリィーナはいつでもこの場から跳躍
(ジャンプ)して逃げ出せるよう、足の筋肉にじわじわと力を込め、脱出のチャンスを虎視眈々と狙い始める。
その一方で。(それにしても、あの3人の王子……この後一体どうなっちゃうんだろう……?)
迫り来るカルトナージュの魔の手を前に、顔を真っ青にさせている3人の行く末が、ほんの少しだけ気になってしまうリリィーナであった。
カルトナージュの威圧感を前に、
オフィカール王子は歯をカタカタと
鳴らしながらも、必死に敵意をむき出しにしていた。
「お、俺は怖くないぞ……っ! カルトとキスなんか、どーじねぇよ……っ!」
(((怖えぇぇぇよ!! もしあの時みたいにされたら、俺の唇がどうなってしまうんだよ……っ!!)))
「ぼ、僕だって怖くなんかないからね! 僕だってキスのひとつや二つ、食らっても耐えられるんだから……っ!」
ミディティがオフィカールに
負けじと声を張る。
(((一度カルトお兄様のキスを食らったけど、あの恐ろしいほど甘いキス……いや、意地悪キスに耐えられたことなんて、人生で一度もないよぉぉ!!)))
「カルト、私はっ……怖くないですからねっ。だから、行けるはずです……っ」
最後にキミラカーデが眼鏡の位置を直しながら、震える声で告げた。
(((嘘です無理です! あそこまで濃厚なキスは、天才の私を以てしても一切理解できません! そもそも、怒ったカルトを止められた前例なんて存在
しないんですよ……っ!!)))
口では強がりながらも、3人の王子の心の叫び(悲鳴)はリリィーナに丸聞こえだった。
というか、顔に盛大に書いてある。
(いや、みんな心の声(と顔)で怯えまくってるじゃん!!)
リリィーナは思わず、自分がキス魔に襲われていたことすら忘れて、目の前の3人を凝視してしまった。
(だ、大丈夫なのかな……。私を助けるためにあんなに無理しちゃって……。なんだか、見てるこっちが心配になってきちゃったわ……!)
捕食者であるカルトナージュを前に、
生まれたての小鹿のように震えながらも、必死にスクラムを組む3人のイケメン王子。
そんな彼らを、カルトナージュはとろけるような甘い笑みを浮かべたまま、冷徹な目で見つめ返した。
「ふふ……そんなに僕の『お仕置き』が恋しいなら、まずは君たちから思い出させてあげようか?」
カルトナージュが容赦なく、3人に向かってゆっくりと一歩を踏み出す。
「ひ、ひぃぃぃぃっ! 来るなァ!」
「カルトお兄ちゃん、ボクもう良い子にするからぁ!」
「だ、誰か、この異常者を止める数式を……っ!!」
リリィーナを救いに行ったはずの
ヒーローたちは、一瞬で大パニックに陥る。天然物理令嬢リリィーナの逃亡チャンスは、今まさに目の前に転がっていた――。
果たして3人の王子たちの唇の運命は!? そしてリリィーナはこの隙に逃げ切ることができるのか!?
第21話をお読みいただき、ありがとうございました!リリィーナを助けに来たはずが、過去のトラウマ(濃厚すぎる意地悪キス)を思い出して大パニックになってしまった王子たち……(笑)。見ているリリィーナの方が心配になってしまう始末です。カルトナージュお兄様の一歩に絶叫する3人と、逃走チャンスを迎えたリリィーナの運命やいかに!「王子たちのヘタレ可愛い姿に笑った!」「リリィーナ逃げてー!」と思ってくださった方は、ぜひ下にある【ブックマーク登録】や、広告下の【ポイント評価(★★★★★)】での応援をよろしくお願いします!次回、怒涛の第22話もお楽しみに!




