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第17話もうこれは逃げきれない

前話では、まさかの「ドレスを引き裂いて大跳躍」という、令嬢らしからぬ(物理)作戦で見事に王子たちの隙を突いたリリィーナ。

これで無事に逃げ切れるかと思いきや、曲がり角の先にはあの二人が待ち構えていて……!?

第17話、ついにタイトル通りの絶体絶命(?)がリリィーナを襲います!

今回も王子たちの激しすぎる脳内本音(爆音)と共にお楽しみください!

オフィカール王子に腕を

ガシッと掴まれた。

私は慌てて逃げ出そうと身をよじった

けれど、オフィカール王子の手の力は

信じられないほど強くて、びくとも

しない。

「やっと捕まえたぜ、野生リリィーナ! これでもう、逃げられねぇよな?」

(なんでそこまで逃げるんだ? 俺たち

4人に目をつけられた上に、クラスまで一緒なんだぞ? 普通の女子ならすげえー喜ぶところだと思うんだけど!)

オフィカール王子は不敵な微笑みを

浮かべ、「もう逃がさない」と言わんばかりに私の手首をさらにぎゅっと握り

締めてくる。

「な、なんでそこまで私にこだわるん

ですか!? 私、そこまで可愛い女じゃあないです!」

(ほんとになんでこの4人は私に執着するの!? 私、まだ今日、入学式を受けに来ただけなのに……っ!!)

キミラカーデ王子は、怪しくペンを走らせていたノートをパタンと閉じ、眼鏡の奥の瞳を光らせて言い放った。

「私は、世間一般の『可愛い女』とやらに興味はありません。君のその規格外の身体能力や、魔法の常識に囚われない姿……この国では完全に想定外の存在です。私はそういう女子が好み……っ、コホン。気になるんですよ」

(君のその愛らしいところや、僕たちをこれほど楽しませてくれる度胸、すべてがたまらなく好きなんです。僕たち4人をここまで翻弄する女子なんて、

生まれて初めてだ。絶対に手放し

たくない……!)

冷徹な口調とは裏腹に、脳内に直接響いてくるキミラカーデ王子の本音の熱量に、私は背筋がゾクッと震えた。

でも、ここで怯んでいる場合ではない。私はグッと涙をこらえ、4人の王子を

突き放すために、一世一代の大嘘を

ぶつけることにした。

「そ、それでも私は目立ちたくないんです! そう願っていたのに……す、好きでもない男の子たちと同じクラスになる

なんて、絶対に嫌ですっ!」

(よし! これだけはっきり言えば、

プライドの高い王子様たちならショックでドン引きするでしょ!? ほんの一瞬でも手が緩んだ隙に、今度こそ逃げ出してやるんだから……!)

私の予想通り、オフィカール王子は少なからずショックを受けたようで、手首を掴んでいた手の力がわずかに緩んだ。

――今だっ!!

私はその一瞬の隙を見逃さず、力任せに彼の手を振りほどいた。

もちろん、この作戦が最後まで上手くいくとは限らない。だけど、走る準備はもうできている!

「引っかかりましたね! 今度こそ、二度と捕まらないくらい遠くまで逃げます

からー!」

私は勝利を確信し、芝生を蹴って勢いよく走り出した。……――途端。

「はぁ……。この手は使いたくなかった

けれど、君がそこまで拒むなら、もう

これを使うしかないよね?」

背後から、低く、どこか冷徹な響きを

帯びた声が届いた。

その瞬間、私の背筋にドクンと激しい

戦慄が走る。

(な、何この鳥肌……!? まるで、獰猛な肉食獣が獲物を完全に仕留める時に

放つような、凄まじい殺気を感じる……っ!)

生物としての本能が「逃げられない」と警鐘を鳴らす。

あまりの殺気に気圧されて、私の身体は金縛りにあったようにピクリとも

動かない。

(動け、私の足……! このままだと本当に捕まっちゃうのよ! 殺気なんか気にしてる場合じゃない、

動けぇぇぇえ!!!)

心の中でどれだけ叫んでも、野生の防衛本能が恐怖に震えて、身体が言うことを聞いてくれない。

「もう一度言うよ? 手荒なことはしたくないんだ。だから、大人しく僕に捕まってくれないかな?」

冷徹に響く声。あまりの殺気の凄まじ

さに、今の私には相手の心の声を聞き取る心の余裕すら、一ミリも残されてい

なかった。

「嫌です! 私は……私はただの、平凡な女子高校生(仮)ですっ!」

やけくそで叫びながら、全身にありったけの力を込める。今度こそ走れる、

走った――そう思った瞬間、殺気の

プレッシャーがさっきよりも跳ね

上がった。

違う、走るどころか、重圧でその場に

立ち上がることすらできない……!?

なんで、なの……っ。

「はぁ……。どこまでも僕から逃げる気なんだね? 仕方がない。……本当は使いたくなかったけれど」

ため息混じりの声が、中庭の空気を凍らせる。

「――精霊の名のもとに願う。我が愛しのリリィーナを、束縛せよ」

直後、カルトナージュ王子の手から溢れ出た眩い光が、蛇のように私の身体に巻き付いた。

「きゃうっ!? ――な、何これ、動けない……っ!?」

それは、私の自慢の筋力(物理)でも

引きちぎることのできない、強固な

『光の縄』だった。完全に自由を

奪われ、私は冷たい芝生の上に見事に

転がされる。

(悔しい……! 魔法ってこんなこともできるの!? 私だって使えるなら使いたい! もう本当に無理なの? この光の縄、びくともしないんだけど!?)

私は冷たい芝生の上で、何度も自慢の筋力を総動員して光の縄を引きちぎろうともがいた。けれど、縄はビチビチと輝きを増すばかりで、びくともしない。

「もう諦めたら? この光の縄は、絶対に切れないように僕が特殊な細工をしてあるんだ。……これで、もう僕たちから

逃げられないね?」

カルトナージュ王子が黒い笑顔で歩み寄ってくる。

気がつけば、私の周囲には

カルトナージュ王子、ミディティ王子、オフィカール王子、キミラカーデ王子――4人全員が集結し、完全な包囲網を

作っていた。

(くっ……!!)

私は縄を力任せに引き裂こうと何度も試みながら、周囲を囲む王子たちを

「きっ……!」と鋭く睨みつけた。

……ダメだ。睨みつけたところで、なんの意味もない。

そうだ、こうなったらミディティ王子みたいに、あざとく可愛く言ってみたら

どうだろう!?

もうプライドなんて捨てて、やってみるしかない!

「か、カルト王子ぃ……! 私、もう

ちゃーんと反省したので、この縄を解いてくれませんか……?」

私のこれまでの人生史上、最高に可愛い顔と甘ったるい声を意識して、上目遣いでおねだりしてみた。

……一瞬、4人の王子たちの動きがピキッと止まる。

静寂の後、カルトナージュ王子がゆっくりと私の前にしゃがみ込み、私の頬を優しく撫でた。その瞳は、底知れない執着で歪んでいる。

「……ふふ、もしかしておねだりして

いるの? 残念だけど、もうその手に

は乗らないよ。そんな可愛い嘘には引っかからないし、まだ懲りていないみたいだね? ――だったら、僕たちで、もっと酷いこと(・・・・)をしちゃおうか?」

(ひぃぃぃぃ! 逆効果だったぁぁぁーー!!!)

王子たちの独占欲に完全な火をつけてしまい、私の頭の中には『前世(?)の記憶』以上の大危険信号が鳴り響くのだった。

第17話をお読みいただきありがとうございました!

リリィーナ渾身のおねだり作戦、まさかの大・逆・効・果!

普段はとろける笑顔のカルト王子ですが、本気を出した(魔法を使った)彼は一番ヤバいかもしれません……。

4人全員に囲まれてしまったリリィーナ、果たしてこの後どうなってしまうのでしょうか!?

「カルト王子ヤバい!」「リリィーナ逃げてー!」など、皆様からのご感想や評価(★★★★★)、ブックマークをいただけると執筆の励みになります!

次回、第18話もどうぞお楽しみに!

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