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第16話逃げ切れる?逃げきれない?

前回のあらすじ:恥ずかしさのあまり通常の3倍のスピードで爆走したリリィーナは、中庭の「うんてい」の上に避難することに。オフィカール王子の鋭い直感をギリギリでやり過ごしたものの、真下にはミディティ王子に変身したカルトナージュ王子が待ち構えていて……!?第16話、うんていからの大脱出作戦スタートです!

(どうしよう。このままここに居る訳にはいかないし、下にはカルトナージュ

王子がいるし、どうしよう……っ!)

私はうんていの鉄パイプをぎゅっと握り締めたまま、冷や汗を流して脱出方法を考えていた。真下を見下ろすと、

カルトナージュ王子は相変わらず綺麗に両腕を広げたまま、とろけるような笑みを浮かべてこちらを見上げている。

「もう諦めて降りてきたら? 逃げ場はないと思うけれど」カルトナージュ王子の甘い声が中庭に響く。

(早く降りてきてくれないかなぁ? ずっと腕を上げてる状態って結構きついんだけど……。まぁ、君のためなら何時間でもこのまま待てるけどね)

(ひぃぃぃ! 腕がきついなら今すぐ下ろしなさいよ! 執念深すぎて怖いー!!)王子のヤバすぎる過保護本音に頭を

抱え、どうやって飛び越えて逃げようかと悩んでいた、まさにその時。

ガサガサッと近くの茂みが揺れて、

まさかの人物が姿を現した。

「なーに? カルトお兄様。そこにいるの? ――あ、リリィーナちゃん!」

「ひゃあ!? ミ、ミディティ王子!?」最悪のタイミングで、今度は本物の

ミディティ王子までここにやって来てしまったのだ。ミディティ王子はうんていの上にいる私と、その下で両腕を上げているカルトナージュ王子を交互に見て、あざとい笑顔の奥の瞳をピキッと

怒らせた。

(なんでカルトお兄様が先に見つけ

ちゃうかなぁ? 二人は赤い糸でも結びついてるの? ――あはは、今すぐ切りたいな、その赤い糸。ハサミじゃなくて、

根元から粉々にすり潰して

消し去りたい!)

(ミディティ王子の本音の殺意がいつもより物騒すぎるよぉぉぉ!!)

そんなミディティ王子のドス黒い心の声に気づく様子もなく、カルトナージュ王子は広げた腕をキープしたまま、

平然と答える。

「ん? そうだよ。リリィーナはうんていの上にいるんだ。だけど、なかなか降りて来ないんだよね。降りた方が

楽なのに」

「へぇー、お兄様、ずいぶんと楽しそうだね?」ミディティ王子がウフフと笑いながら一歩前に踏み出す。

うんていの下は、一瞬にして王子たちの嫉忑と独占欲がバチバチにぶつかり

合う、恐ろしい修羅場と化していた。

(で、でも、この方法なら行けるかな? まず、私の……そう、ドレスの裾を破く姿を見せたら……? 一瞬、2人の気を

逸らすことはできるんじゃないかな!?)私は恥ずかしいとか言っている場合ではないと考えた。あの4人にガチガチに

監視・監禁される未来に比べたら、

ドレスの一着や二着、安いものだ。緊張でうんていの鉄パイプを握る手が滑りそうになるのをグッと堪え、私は大きく息を吸い込んで、作戦実行に移った。両手に力を込め、自分のドレスの裾を掴んで、一気に引き裂く!――バリバリ、ビリビリ

ビリッ!!!静かな中庭に、およそ令嬢の立てていいはずのない、豪快な布の裂ける音が響き渡った。当然、真下にいたカルトナージュ王子とミディティ王子は、驚愕のあまり完全にフリーズした。「な、何をしてるんだいリリィーナ!? ドレスを破くなんてはしたないよ!?」カルトナージュ王子が慌てて両手を下ろし、顔を真っ赤にして上を見上げる。

(な、なぜドレスを破く必要があるの

だろう……!? もっと走りやすくする

ため? それとも、俺に対して何か、

もっとすごい誘惑を仕掛けてきている

のか……!? ああ、刺激が強すぎる!)「ちょっと、何してるんだよお姉さん! 早く隠しなよ! 僕、

見てらんない……!」

ミディティ王子も両手で顔を覆い、指の隙間から真っ赤な顔でこちらを

覗き込んでいる。

(何してんのあの子、恥ずかしさのあまり頭がおかしくなっちゃったの!? それとも、僕を惑わすためのセクシーな罠なのかな!? ど、どうしよう、心臓のバクバクが止まらないんだけど……!)

2人の王子のピュアな脳内が大混乱に

陥り、本音の音量が爆音で響き渡る。

作戦通り、完璧に隙が生まれた!「ふっふふーん! 動きやすくなった足を舐めないでくださいねー!」私はむき出しになった足をうんていのパイプに引っ掛け、驚異的なバネの力で、2人の頭上を大きく飛び越えた。そのまま芝生へと綺麗に着地し、振り返ることもなく全力でダッシュを開始する。

「よし! 今度こそ、完全に逃げれる――!!」勝利を確信して学園の角を曲がろうとした、その時。ガシッ。

「……捕まえた」

「ひゃうん!?」

突如、曲がり角の影から伸びてきた力強い腕に、私の手首がガッチリと掴まれた。見上げると、そこには不敵な笑みを浮かべたオフィカール王子と、その隣で怪しくノートにペンを走らせるキミラカーデ王子が待ち構えていたのだった。

後ろからはドレスを破かれて大興奮したカルトナージュたちも追ってくる。

一瞬の自由から、一転して今度こそ四方八方を完全に塞がれてしまった。

(逃げれると思ったのに、やっぱり

逃げられないのぉぉぉーー!?)

第16話をお読みいただきありがとうございました!まさかの「ドレス自らビリビリ作戦」でカルトナージュ王子とミディティ王子の動揺を誘い、見事に逃げ切った……と思いきや、回り込んでいたオフィカール王子たちにガッチリ捕まってしまいました!「逃げれる?逃げられない?」の答えは、無念の「逃げられない」でした……!次回、第17話はついに捕獲されてしまったリリィーナを巡り、4人の王子たちによる「リリィーナ独占デスマッチ(?)」が始まります!続きが楽しみ!と思ってくださったら、ぜひブックマーク登録や評価(☆☆☆☆☆を★★★★★に!)で応援をよろしくお願いいたします!

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